「地上対地上中長距離弾道ミサイル『火星-12』型検収射撃試験実施」:TELから発射、弾頭部のカメラ映像公開、「ロケット」から「ミサイル」へ名称変更、カメラは再突入能力誇示目的か (2022年1月31日 「労働新聞」)
Source: KCTV, 2022/01/31
<追記>
31日、「朝鮮中央TV」で「火星-12」発射に関する報道があった。地上での写真は『労働新聞』に掲載された物と変わらなかったが、「ミサイル弾頭部に設置された撮影機で宇宙から撮影した地球映像資料」が数枚多く公開された。北朝鮮は、これまでも地球の写真を公開してきた。きちんと調べてはいないが、「弾頭部」ではなく、ロケットやミサイルの下部に設置されたカメラから撮影し、切り離された胴体などが写っていた記憶がある。
今回は「弾頭部」と言っているが、「弾頭部」のどの位置にカメラが設置されているのかにもよるが、側面であれば最高高度で水平状態になったタイミング、先端部であれば下降角度に入ってからの撮影ということになる。カメラは回収不可能なはずなので、そのタイミングまで撮影を続けながら地球に映像を送信し続けたのであろう。公開された地球の写真にどのような意味合いがあるのかはミサイル学者に問い合わせてみないと分からないが、再突入技術の何かを誇示する目的があったのではないかとも考えられる。
31日、『労働新聞』などに以下。
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地上対地上中長距離弾道ミサイル「火星-12」型検収射撃試験実施
지상대지상중장거리탄도미싸일 《화성-12》형 검수사격시험 진행
国防科学院と第2経済委員会をはじめとした当該機関の計画にしたがい、1月30日、地上対地上中長距離弾道ミサイル「火星-12」型検収射撃試験を実施した。
국방과학원과 제2경제위원회를 비롯한 해당 기관의 계획에 따라 1월 30일 지상대지상중장거리탄도미싸일 《화성-12》형 검수사격시험이 진행되였다.
検収射撃試験は、生産、装備されている地上対地上中長距離弾道ミサイル「火星-12」型を選択、検閲し、全般的なこの兵器システムの正確性を検証することを目的として行われた。
검수사격시험은 생산장비되고있는 지상대지상중장거리탄도미싸일 《화성-12》형을 선택검열하고 전반적인 이 무기체계의 정확성을 검증하기 위한데 목적을 두고 진행되였다.
国防科学院は、周辺国の安全を考慮し、我が国西部地区から朝鮮東海上へ超大高角発射体制で射撃試験を行った。
국방과학원은 주변국가들의 안전을 고려하여 우리 나라 서북부지구에서 조선동해상으로 최대고각발사체제로 사격시험을 진행하였다.
国防科学院は、ミサイル弾頭部に設置された撮影機で宇宙から撮影した地球映像資料を公開した。
국방과학원은 미싸일전투부에 설치된 촬영기로 우주에서 찍은 지구화상자료를 공개하였다.
国防科学院は生産されている「火星-12」型兵器システムの正確性と安全性、運用効果性を確認した。
국방과학원은 생산되는 《화성-12》형무기체계의 정확성과 안전성, 운용효과성을 확인하였다.

Source: 『労働新聞』、2022/01/31
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TELから発射された「火星-12」だった。弾頭部に取り付けられたカメラで地球を撮影している。2017年の発射の際には「火星-12」を「中長距離戦略弾道ロケット」としているが、今回は「中長距離弾道ミサイル」と呼称を変更している。北朝鮮は、その他のミサイルに関しても「ロケット」を使わず「ミサイル」を使うようになっているが、かつて発射された呼称のある飛翔体を「ロケット」から「ミサイル」へと変更されているのは、今回初めて確認された。また、「ロケット」と共に使われていた「戦略」という文字も脱落している。
2017年9月の発射に関する報道。
http://dprknow.jp/blog-entry-2495.html
「朝鮮中央TV」で宇宙からの動画映像などが公開される可能性がある。
<追記>
2017年9月の発射の映像を見ていると、TELの運転席上部付近にあるミサイルをホールドする固定装置の形状が変わっているように見える。

Source: KCTV, 2017/09/16
2020年10月10日の閲兵式に登場したTELで採用されているホルダーのように見える。

Source: KCTV, 2020/10/10
<追記2>
2020年10月10日の閲兵式では「ロケット兵」という呼称が使われているが、彼らも「ミサイル兵」へと変更されるのだろうか。

Source: KCTV, 2020/10/10

Source: KCTV, 2020/10/10
<追記>
大型写真

Source: KCNA, 「我和民族同士」、2022/01/31