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    1月30日に発射された弾道ミサイルに関する分析 (2022年1月30日)

    30日、米国滞在中のオランダ国防大、サベルスバーグ氏とメールのやり取りをした。韓国メディアなどから得られる情報をサベルスバーグ氏に伝えて、いくつかの質問をしたところ、次のような推測グラフを送っていただいた。

    まず、メディアで公開されている情報としては、今朝方書いた記事に書いたように:

    ************
    発射時刻:7時52分頃、発射場所:慈江道ムピョン里付近、発射方向:東側日本海上、発射角度:高角、ミサイル形態:中距離弾道、発射数:1、飛行距離:800km、最高高度:2000km

    http://dprknow.jp/blog-entry-4946.html
    ***************

    に加えて、最高速度が「マッハ16以上(5.3km/s)」だったという点である。日本メディアの報道を見ていると「マッハ16以上」だったことを強調しているものもあったので、この点について「マッハ16」が意味するところについて質問してみた。

    2017年5月に発射された「火星-12」のデータを基に作成したグラフであるが、図1は発射後の時間経過と速度の関係を示したものである。

    図1
    hs12_may2017_velocity-2.jpg
    Drawn by Ralph Savelsberg

    マッハ16に近い5km/sに達しているのはロケット燃焼終了直後の180秒付近と弾頭部が地上着弾する直前の1800秒付近となっている。

    図2は、ミサイル発射後の経過時間、距離、高度の関係を示している。
    hs12_may2017_trajectory-2.jpg
    Drawn by Ralph Savelsberg

    韓国軍が発表しているように、最高高度2000km、飛行距離800kmで描いたものであるが、高度2000kmに達するには約13分、約780秒かかっている。図1では、900秒付近でV字の底になっているが、この地点がミサイルの最高高度で、その後、弾頭が落下しながら重力加速度で速度を増していくポイントであろう。

    次に図3であるが、軌道角度と時間との関係を表している。
    hs12_may2017_flightpath_angle-5.jpg
    Drawn by Ralph Savelsberg

    このグラフから分かることは、400秒辺りからミサイルの上昇角が下がりはじめ、950秒付近から下降に転じていることである。

    私は電子機器や機械を直すのは好きだが、いわゆる「数学」や「物理」はとても苦手なので、上の解釈が間違っている可能性は十分にある。しかし、グラフの方はミサイル学者が描いたものなので、信用度は極めて高い。

    ミサイルの速度が一番落ちたところを迎撃がしやすいポイントと取りあえず考えておくと、今回の発射では400km付近となる。

    赤い円が400kmの円周となり、取りあえず北朝鮮の陸地からの距離を見ると125kmほどの地点となる。迎撃ミサイルが高度2000kmのミサイルを通常迎撃するのか分からないが、速度が低下するという点からだけ設定してみた。

    20220130 400km

    今回のような高角度の発射であっても、岩国基地は射程に入りそうだ。
    20220130 800km japan iwakuni

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
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