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    北朝鮮が発射した「巡航」ミサイルと「軍需工場」について:オランダ国防大サベルスバーグ氏より返信 (2022年1月28日)

    28日夜、北朝鮮が発射した「巡航」ミサイルについて私が適した質問に対する返信がオランダ国防大サベルスバーグ氏よりあった。

    サベルスバーグ氏には、拙ブログに掲載した北朝鮮メディアで公開された写真を添付した上で以下の質問をしたところ、それぞれに対する回答を得た。

    質問:
    「前便の質問に対して、今回、北朝鮮が発射した巡航ミサイルは、米国のトマホークのようなものだとしていたが、飛行パターンも類似しているのか。また、北朝鮮が公開した飛行時間と距離から、飛行速度は平均約700km/hと計算されるが、この速度は巡航ミサイルの一般的な速度なのか。そして、この速度で飛行する巡航ミサイルを迎撃することは困難なのか、飛行中に速度を変えることは可能か。金正恩が視察した軍需工場で生産している部品から何か分かることがあるか。」

    返信:
    「トマホークは飛行コース上に定められた地点(waypoint)で何回もコースを変えながら飛行する。2021年9月に発射された巡航ミサイルと今回の巡航ミサイルは先端部分がとがっておらず、ミサイル本体に対してほぼ垂直に取り付けられた細い翼がある。このミサイルは写真で確認できるようにロケット・ブースターで打ち上げられているが、ブースター部分は発射後に脱落し、その後は小型のジェットエンジンで飛行する。ミサイルはトマホークと全体的な構成からとても類似しているように見えるし、飛行速度も類似している。
    エンジンの噴出力は制御可能なので、ミサイルのオート・パイロットは速度をコントロールできる。しかし、ミサイルは必要な飛行距離に応じて最適な飛行速度で飛ぶように設計されており、旋回をしたり高度を変える場合を除いて、大部分の区間では、その速度で飛行する。この速度自体が迎撃を困難にすることはない。トマホークは選定された飛行コースと地形に応じて非常に低空で飛行することが可能で、山の間を通過するなどしてレーダーから隠れることができる。これを実現するためには、地形に応じてどの高度で飛行するのかを計算するための進んだナビゲーション・システムと地形図が必要である。北朝鮮の巡航ミサイルにそれら全てが備わっているのかを判断するのは不可能である。
    軍需工場を報道する写真と動画を見たが、何を作っているのかは分からない。しかし、一見したところでは、何枚かの写真で見られるシリンダーは、巡航ミサイル用としてはとても大きすぎる。恐らく、彼らは弾道ミサイルのような、多種のミサイルを生産しているのではないだろうか」

    上の返信の中で出てくる、「8の字飛行」で、「7580秒、1500km飛行」したとされる2021年9月11日と12日に発射されたミサイル。

    20210913_page_2_image_0003.jpg
    Source: 『労働新聞』、2021/09/13

    dprknow, http://dprknow.jp/blog-date-202109.html

    写真を見て分かる大きな違いは、2021年9月に発射されたミサイルはエンジン付近に3枚の翼があるが、今回発射されたミサイルにはそれがない。

    「自衛2021」では、この種のミサイルも展示されていた。
    20220129 kokubou2021 cruse2
    Source: KCTV, 2021/10/12, https://youtu.be/Vvh-l3spYQY

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
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