14日、「鉄道機動ミサイル」発射地点、平安北道義州周辺、ミサイル列車は平野を白昼堂々と走行か、在韓米軍基地までと等距離、朝中国境隣接地帯からのミサイル発射の意味 (2022年1月15日)
14日午後、北朝鮮が「鉄道機動ミサイル」を発射したのは、韓国報道によると「義州郡一帯」となっている。

Source: Google Earth
上の地図にあるように、義州郡は鴨緑江を挟んで中国に接している郡である。韓国軍の探知能力が正確だとすれば、この郡内のいずれかの地点から鉄道ミサイルが発射されたことになる。前回のミサイル発射では、動画で公開されたように、トンネルの中からミサイル列車が出てきて、ミサイルを発射した。今回もそのパターンかと思ってGoogle Earthで鉄道を追ってみた。
義州郡内の鉄道は1本しかないが、南西にある新義州に向かう方向にも北東に向かう方向にもトンネルはないし、支線もないようだ。Google Earhで見た限りでは、田園地帯を走る鉄道のように見える。だとすると、延々とスパイ衛星からよく見える線路を白昼堂々と走ってきて、突然、ミサイルを出して発射したということになる。公開された写真には丘が写っているが、義州郡にはこうした丘さえ数カ所しかない。写真が撮影された方向が影で確認できればどの丘かもある程度特定できそうなのだが、残念ながらはっきりとした影が見える写真はない。
こうしたことからすると、北朝鮮国内の任意の地点を走っている貨物列車が「ミサイル機動連隊」であっても不思議ではなく、そこから「戦術誘導ミサイル」や「極超音速ミサイル」が発射された時点で、手遅れということになる。
<追記>
韓国報道によるとミサイルは430km飛行したとされている。下の地図の円弧は義州から約430kmのラインで、金策市沖合に赤い点で示した2つの島が確認できる。Google Earth衛星の解像度で確認できる他の島は円弧付近には見つからない。ミサイルが命中する写真には岩だらけの島が写っているので、下の赤い点の島と思われる。上の赤い点の島には建物があり、人が住んでいるのでさすがにターゲットには使わないであろう。

Source: Google Earth
下の赤い点の島

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義州から島付近まで直線を描いてみると下の地図のようになる。イスカンダルミサイルだとすると、弾道軌道のいずれかの地点から複雑な軌道を描きながら島に命中したことになる。

Source: Google Earth
義州付近から発射され、今回のように430km飛行したとしてもソウルは余裕で射程に入る。しかし、今回のミサイル発射で430kmに目標を定めたのはソウルとは関係ないようだ。下の地図に見られるように430kmの円弧付近には在韓米軍本部のピョンテク基地や在韓米軍空軍のオサン基地などがある。北朝鮮は、ピンポイントで在韓米軍基地を想定して着弾地点を選んだと思われる。

Source: Google Earth
北朝鮮外務省スポークスマンの、「我々はさらに強力ではっきりと反応せざるを得ない」は「空言」ではなかったようだ。
<追記2>
さらに考えていると、今回の発射地点である義州郡は上に書いたとおり鴨緑江を挟んで中国との国境地帯であることもポイントとなる。下の地図は義州駅から中朝国境までの直線距離を測ったものであるが、1.7kmほどしかない。仮にこの地点に「鉄道ミサイル機動連隊」が展開したとして、米軍は攻撃できるだろうか。ステルス戦闘機だろうが無人攻撃機だろうが、こんなところに飛来すれば、中国軍機と交戦状態になる可能性は高い。北南あるいは朝米が交戦状態になってからならまだしも、それ以前に先制攻撃をすることは中国との関係から不可能と言える。

Source: Google Earth
北朝鮮は、以前、新義州付近の宇宙ロケット発射施設から地球観測用ロケットを打ち上げたことはある。記憶の限り、そして公開されている限りでは、中朝国境付近から北朝鮮が発射した「飛翔体」はそれだけである。そのような意味からしても、今回、朝中国境に隣接した義州で「鉄道機動ミサイル連隊」の訓練を実施したことは、特別な意味があると思われる。
もちろん、こうした挑発的な行動が、中国の安全を害する行動だとして中国を怒らせ、さらなる対北朝鮮安保理制裁決議に繋がる可能性もある。しかし北朝鮮は、昨今の中米関係からして、中国は自国の側に立つと計算したのであろう。実際、14日の中国外交部定例記者会見で北朝鮮を非難することなく、各国に「冷静な対応」を呼びかけている。
Ministry of Foreign Affairs of the PRC, 2022/01/14, https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/202201/t20220114_10495788.html

Source: Google Earth
上の地図にあるように、義州郡は鴨緑江を挟んで中国に接している郡である。韓国軍の探知能力が正確だとすれば、この郡内のいずれかの地点から鉄道ミサイルが発射されたことになる。前回のミサイル発射では、動画で公開されたように、トンネルの中からミサイル列車が出てきて、ミサイルを発射した。今回もそのパターンかと思ってGoogle Earthで鉄道を追ってみた。
義州郡内の鉄道は1本しかないが、南西にある新義州に向かう方向にも北東に向かう方向にもトンネルはないし、支線もないようだ。Google Earhで見た限りでは、田園地帯を走る鉄道のように見える。だとすると、延々とスパイ衛星からよく見える線路を白昼堂々と走ってきて、突然、ミサイルを出して発射したということになる。公開された写真には丘が写っているが、義州郡にはこうした丘さえ数カ所しかない。写真が撮影された方向が影で確認できればどの丘かもある程度特定できそうなのだが、残念ながらはっきりとした影が見える写真はない。
こうしたことからすると、北朝鮮国内の任意の地点を走っている貨物列車が「ミサイル機動連隊」であっても不思議ではなく、そこから「戦術誘導ミサイル」や「極超音速ミサイル」が発射された時点で、手遅れということになる。
<追記>
韓国報道によるとミサイルは430km飛行したとされている。下の地図の円弧は義州から約430kmのラインで、金策市沖合に赤い点で示した2つの島が確認できる。Google Earth衛星の解像度で確認できる他の島は円弧付近には見つからない。ミサイルが命中する写真には岩だらけの島が写っているので、下の赤い点の島と思われる。上の赤い点の島には建物があり、人が住んでいるのでさすがにターゲットには使わないであろう。

Source: Google Earth
下の赤い点の島

Source: Google Earth
義州から島付近まで直線を描いてみると下の地図のようになる。イスカンダルミサイルだとすると、弾道軌道のいずれかの地点から複雑な軌道を描きながら島に命中したことになる。

Source: Google Earth
義州付近から発射され、今回のように430km飛行したとしてもソウルは余裕で射程に入る。しかし、今回のミサイル発射で430kmに目標を定めたのはソウルとは関係ないようだ。下の地図に見られるように430kmの円弧付近には在韓米軍本部のピョンテク基地や在韓米軍空軍のオサン基地などがある。北朝鮮は、ピンポイントで在韓米軍基地を想定して着弾地点を選んだと思われる。

Source: Google Earth
北朝鮮外務省スポークスマンの、「我々はさらに強力ではっきりと反応せざるを得ない」は「空言」ではなかったようだ。
<追記2>
さらに考えていると、今回の発射地点である義州郡は上に書いたとおり鴨緑江を挟んで中国との国境地帯であることもポイントとなる。下の地図は義州駅から中朝国境までの直線距離を測ったものであるが、1.7kmほどしかない。仮にこの地点に「鉄道ミサイル機動連隊」が展開したとして、米軍は攻撃できるだろうか。ステルス戦闘機だろうが無人攻撃機だろうが、こんなところに飛来すれば、中国軍機と交戦状態になる可能性は高い。北南あるいは朝米が交戦状態になってからならまだしも、それ以前に先制攻撃をすることは中国との関係から不可能と言える。

Source: Google Earth
北朝鮮は、以前、新義州付近の宇宙ロケット発射施設から地球観測用ロケットを打ち上げたことはある。記憶の限り、そして公開されている限りでは、中朝国境付近から北朝鮮が発射した「飛翔体」はそれだけである。そのような意味からしても、今回、朝中国境に隣接した義州で「鉄道機動ミサイル連隊」の訓練を実施したことは、特別な意味があると思われる。
もちろん、こうした挑発的な行動が、中国の安全を害する行動だとして中国を怒らせ、さらなる対北朝鮮安保理制裁決議に繋がる可能性もある。しかし北朝鮮は、昨今の中米関係からして、中国は自国の側に立つと計算したのであろう。実際、14日の中国外交部定例記者会見で北朝鮮を非難することなく、各国に「冷静な対応」を呼びかけている。
Ministry of Foreign Affairs of the PRC, 2022/01/14, https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/202201/t20220114_10495788.html