金剛山歌劇団「ソル(青松)」西東京公演、「朝鮮中央TV」で放送された金剛山歌劇団関連動画 (2021年12月20日)
20日、金剛山歌劇団の公演「솔(青松)」の西東京公演を観覧した。そもそも、新潟の焼き肉屋に公演のポスターが貼ってあったのがきっかけなのだが、さすがに新潟までは行けなかったので東京公演を見ることにした。
金剛山歌劇団の公演は中学時代に1度だけ見た。通学路に「朝鮮会館」があり、同歌劇団のポスターが張り出されていた。「朴チョンヒ傀儡一味」が極悪非道だと信じていた、自作ラジオで「朝鮮中央放送」のリスナー少年は、「朝鮮会館」でチケット買った。今でも覚えているのは、朝鮮会館の人に奇妙な顔をされたことだ。中学生料金があったのかどうかは分からないが、500円ぐらいでチケットを売ってもらった記憶がある。
中学時代に行った公演は、「愛国歌」だったか「金日成将軍の歌」だったか覚えていないが、開演に先立ち全員立ち上がって歌っていた。
今回の公演では、「愛国歌」も「金日成将軍の歌」もなかった。微妙なところでは「明けゆく空に(날은 밝는다)」という最初の演目で背景がオレンジ色(「大元帥様達」や「元帥様」の肖像画が映し出される時に使われるカラー)になった際に、男性歌手が観客に背を向けてオレンジ背景を見ていたことだ。本来であれば、オレンジ色のバックグランドに「首領様」の「太陽像」が映し出されるシーンなので、歌手達は「仰ぎ見」たのであろうが、さすがにそうした演出はなかった。私が中学生時代に見た公演であれば、普通に「大元帥様達」の「太陽像」を見せていたんであろうが、色々と日本社会に気を遣っているのであろう。
演じられた楽曲であるが、多くは「総連ソング」だった。そのようなこともあり、私が知っている現代「朝鮮」の歌はあまり出てこなかった。しかし、公演の題目が「ソル(青松)」だったので、「南山の青い松」はオープニングで朝鮮語と日本語で1度、そして踊りのBGMとして1度、合計2回使われていた。この楽曲はなじみがあったのでとても良かった。特に、女性ダンサーが曲に合わせて踊る「ソル」のメイン演目はとても良かった。本国でもそうだが、「女子力」は圧倒的で「人民俳優」の何チャラさんという男性の歌よりもずっとよかった。
「女子力」が発揮されたのは、上記の「ソル」の他に「手太鼓の舞(손북춤)」のBGMとして歌われた歌。「首領様」を示す「陽光」の中で豊作を迎えた歌は、「朝鮮中央TV」で聞いたことがあるような、ないような、いずれにしても直ぐに受け入れられるなじみのある曲調と歌詞だった。
そして、次に演奏された「ソヘグム」(「将軍様」により改良された民族楽器)による女子演奏家による「ひばり(종다리)」もとても良かった。この楽曲も「朝鮮中央TV」で聞いたことがあるので、なじみがあった。
朝鮮学校系の歌も良かったが、朝鮮公演で演じられた「我々を見て下さい(우리를 보시라)」は残念ながらなかった。朝鮮学校系の楽曲の背景には、朝鮮学校の静止画や動画が流れたが、一瞬「パルコルム」で使われている雲の映像もあった。
ラストの「民族の歓喜」は、ドラムの派手なソロがあったのだが、残念ながら「人民の歓喜」に移行することなく、「民族の歓喜」で終わってしまった。
中学生時代の記憶なので曖昧なのだが、その時の公演では、もっと朝鮮本国の楽曲を演奏していた思う。しかし、今回は金剛山歌劇団オリジナルソングというか総連ソングと民謡が中心であった。ま、朝鮮楽曲ファンとしては残念な楽曲構成ではあったが、今日の朝鮮総連が置かれた苦労が滲み出ていた。
一般的に日本人が悪い印象を持っている「大元帥様達」や「元帥様」は一切登場させず、「朝鮮」という国名も極力抑えられていた。「祖国」の代わりに「故郷」が使われ、「信念」も「思い」と意訳されていた。
私が見た限りでは、会場周辺で右翼団体などの抗議活動はなかったし、プログラムには市の施設が使われたこともあり、府中市長のメッセージが掲載されている。司会者の女性は「勇気を持って来場して頂き」というようなことを言っていたが、日本人の私が見た限りでは、「勇気を持って」という状況ではなかった。
「金剛山歌劇団」は、やはり在日朝鮮人の歌劇団である。なので、本国の楽曲を期待して行くと期待外れになることが今回の公演で分かった。
しかし、様々なしがらみの中で総連系として暮らしている人々、朝鮮学校に通う子供達など、色々なことを考えさせられる公演だったことは間違いない。
帰りにパンフレットのスポンサーとして名を連ねていた焼き肉店に行ってみたが、コロナの影響か、営業していなかった。
来年の公演はまだ発表されていないが、これからしばしば観覧しようと思う。
収穫物としては、「総連イルクン手帳」。朝鮮の記念日のみならず、総連関連の記念日も記入されており、「2022年主体カレンダ」に使えそうだ。
<追記>
書き忘れたが、司会者の女性は「朝日友好のために」というような表現を2回使った。本国の事情を批判することができない一方で、「朝日友好」を願う朝鮮総連系の人々の思いが伝わってきた。
<追記2>
総連オリジナルなので良いのかもしれないが、女性出演者は本国式の挨拶の動作(腰の曲げ方、腕の動き)を学んだ方が良さそうだ。朝鮮式の独特のあの「フワッとした」動作はできていなかった。
<追記3>
金剛山歌劇団関連の参考動画
「総連金剛山歌劇団員が金正恩同志の偉大さを語る」
Source: KCTV, 2019/03/03
「我々を見て下さい」
Source; KCTV, 放送日不明
金剛山歌劇団の公演は中学時代に1度だけ見た。通学路に「朝鮮会館」があり、同歌劇団のポスターが張り出されていた。「朴チョンヒ傀儡一味」が極悪非道だと信じていた、自作ラジオで「朝鮮中央放送」のリスナー少年は、「朝鮮会館」でチケット買った。今でも覚えているのは、朝鮮会館の人に奇妙な顔をされたことだ。中学生料金があったのかどうかは分からないが、500円ぐらいでチケットを売ってもらった記憶がある。
中学時代に行った公演は、「愛国歌」だったか「金日成将軍の歌」だったか覚えていないが、開演に先立ち全員立ち上がって歌っていた。
今回の公演では、「愛国歌」も「金日成将軍の歌」もなかった。微妙なところでは「明けゆく空に(날은 밝는다)」という最初の演目で背景がオレンジ色(「大元帥様達」や「元帥様」の肖像画が映し出される時に使われるカラー)になった際に、男性歌手が観客に背を向けてオレンジ背景を見ていたことだ。本来であれば、オレンジ色のバックグランドに「首領様」の「太陽像」が映し出されるシーンなので、歌手達は「仰ぎ見」たのであろうが、さすがにそうした演出はなかった。私が中学生時代に見た公演であれば、普通に「大元帥様達」の「太陽像」を見せていたんであろうが、色々と日本社会に気を遣っているのであろう。
演じられた楽曲であるが、多くは「総連ソング」だった。そのようなこともあり、私が知っている現代「朝鮮」の歌はあまり出てこなかった。しかし、公演の題目が「ソル(青松)」だったので、「南山の青い松」はオープニングで朝鮮語と日本語で1度、そして踊りのBGMとして1度、合計2回使われていた。この楽曲はなじみがあったのでとても良かった。特に、女性ダンサーが曲に合わせて踊る「ソル」のメイン演目はとても良かった。本国でもそうだが、「女子力」は圧倒的で「人民俳優」の何チャラさんという男性の歌よりもずっとよかった。
「女子力」が発揮されたのは、上記の「ソル」の他に「手太鼓の舞(손북춤)」のBGMとして歌われた歌。「首領様」を示す「陽光」の中で豊作を迎えた歌は、「朝鮮中央TV」で聞いたことがあるような、ないような、いずれにしても直ぐに受け入れられるなじみのある曲調と歌詞だった。
そして、次に演奏された「ソヘグム」(「将軍様」により改良された民族楽器)による女子演奏家による「ひばり(종다리)」もとても良かった。この楽曲も「朝鮮中央TV」で聞いたことがあるので、なじみがあった。
朝鮮学校系の歌も良かったが、朝鮮公演で演じられた「我々を見て下さい(우리를 보시라)」は残念ながらなかった。朝鮮学校系の楽曲の背景には、朝鮮学校の静止画や動画が流れたが、一瞬「パルコルム」で使われている雲の映像もあった。
ラストの「民族の歓喜」は、ドラムの派手なソロがあったのだが、残念ながら「人民の歓喜」に移行することなく、「民族の歓喜」で終わってしまった。
中学生時代の記憶なので曖昧なのだが、その時の公演では、もっと朝鮮本国の楽曲を演奏していた思う。しかし、今回は金剛山歌劇団オリジナルソングというか総連ソングと民謡が中心であった。ま、朝鮮楽曲ファンとしては残念な楽曲構成ではあったが、今日の朝鮮総連が置かれた苦労が滲み出ていた。
一般的に日本人が悪い印象を持っている「大元帥様達」や「元帥様」は一切登場させず、「朝鮮」という国名も極力抑えられていた。「祖国」の代わりに「故郷」が使われ、「信念」も「思い」と意訳されていた。
私が見た限りでは、会場周辺で右翼団体などの抗議活動はなかったし、プログラムには市の施設が使われたこともあり、府中市長のメッセージが掲載されている。司会者の女性は「勇気を持って来場して頂き」というようなことを言っていたが、日本人の私が見た限りでは、「勇気を持って」という状況ではなかった。
「金剛山歌劇団」は、やはり在日朝鮮人の歌劇団である。なので、本国の楽曲を期待して行くと期待外れになることが今回の公演で分かった。
しかし、様々なしがらみの中で総連系として暮らしている人々、朝鮮学校に通う子供達など、色々なことを考えさせられる公演だったことは間違いない。
帰りにパンフレットのスポンサーとして名を連ねていた焼き肉店に行ってみたが、コロナの影響か、営業していなかった。
来年の公演はまだ発表されていないが、これからしばしば観覧しようと思う。
収穫物としては、「総連イルクン手帳」。朝鮮の記念日のみならず、総連関連の記念日も記入されており、「2022年主体カレンダ」に使えそうだ。
<追記>
書き忘れたが、司会者の女性は「朝日友好のために」というような表現を2回使った。本国の事情を批判することができない一方で、「朝日友好」を願う朝鮮総連系の人々の思いが伝わってきた。
<追記2>
総連オリジナルなので良いのかもしれないが、女性出演者は本国式の挨拶の動作(腰の曲げ方、腕の動き)を学んだ方が良さそうだ。朝鮮式の独特のあの「フワッとした」動作はできていなかった。
<追記3>
金剛山歌劇団関連の参考動画
「総連金剛山歌劇団員が金正恩同志の偉大さを語る」
Source: KCTV, 2019/03/03
「我々を見て下さい」
Source; KCTV, 放送日不明