「元帥様」、人民のワクチン接種が次の課題 (2021年9月10日)
9日、「朝鮮中央TV」で報じられた「閲兵式」や「記念撮影と宴会」の動画の記事にも書いたが、北朝鮮にコロナ感染者が、少なくとも現時点で確認されている限りでは「いない」というのは事実だと思う。
日本の感染症の専門家が「2週間、完全なロックダウンをすれば、理論上は新規感染者は出なくなる」と言っているのを聞いたことがあるが、それに近いことを実行したのが中国であり、公式にはロックダウンこそしていないが(韓国から戻ってきた脱北者がいた開城市を除く)、早い時期に国境閉鎖をしたのが北朝鮮である。
昨日、放送された「閲兵式」の舞踏会には、青年学生が多数参加して踊り、観衆も密着した状態で大声を出していた。そして、大同江に浮かぶ「食堂船」などから見ていた人々はマスクをしていたが、閲兵広場にいた人々は誰もマスクをしていなかった。
愛知県の音楽フェスで感染対策が蔑ろにされ、感染者が発生していると報じられているが、昨日の「閲兵式」は入場者数が最大でも8000人の愛知県の音楽フェスの比ではない。北朝鮮に日本の1000分の1の感染者、それも流入経路が完全に遮断されているデルタ株のがいたとすると、昨日の「閲兵式」のようなことをすれば大クラスターが発生しても不思議ではない。
朝鮮人民はワクチン接種はしていないだろうし、医療体制も日本と比べて遙かに脆弱なはずだから、とんでもないこととなるのは火を見るよりも明らかだ。「元帥様」もそんな危険を冒してまで、あんなイベントはしないであろう。さらに、年初に開催された「閲兵式」の結果、大クラスターが発生したという様子もない(そうなっていたら、なおさら今回の半端な年度の「閲兵式」はやらなかったはずだ)。
しかし、国境はいずれ開かなければならない。今、北朝鮮がゼロ・コロナの状態だとすると、国境を開くことは大変な冒険となる。ワクチンを接種していることを条件に、検査と隔離を徹底すれば、コロナの流入はある程度防げるかも知れないが、それでも心配は残る。仮に北朝鮮以外の国でコロナがインフルエンザに近い扱いになったとしても、ゼロ・コロナを続けている北朝鮮では、他国が経験した悲惨な状況に陥ることになろう。
「国家核武力完成」を達成した「元帥様」に課せられた今の課題は、「米帝」の侵略から朝鮮を守ることではなく、新型コロナから人民を守る「大戦」でどのように勝利するのかだと言える。確かに、「非常防疫体系」が機能して今は人民を守れているのかも知れない。しかし、「自立経済」の北朝鮮とはいえ、経済を回すためには、少なくとも中朝国境を開けなければどうにもならなくなる。不幸中の幸いと言うべきか、2017年から強化された制裁慣れで、ある程度は持ちこたえられるだろうが、それが来年まで続けられるのかどうか。
ともかく、人民に対するワクチン接種は、いずれかの時点で始めなければならないはずだ。
数日前、『聯合ニュースTV』の報道を見ていたら、バイデンに近い下院議員がホワイトハウスに北朝鮮へワクチン供与をするようにという文書を手渡し、ホワイトハウスはそれを受け取ったという。バイデンはアフタにスタンで忙しく、北朝鮮どころではないのかも知れないが、政治家なのだから、アフガニスタンでの失点を北朝鮮で取り返すという策略を考えても良いのではないだろうか。
インドは多数の死者を出しながら集団免疫に近い状態が作り出されたというが、インドの感染症専門家は「絶対にまねして欲しくない」と言っている。当然、これは北朝鮮にも当てはまる。
「元帥様」はワクチンの確保さえ出来れば、「非常防疫体系」の統制の中、まさに「代議員選挙投票」のように人口の100%近いワクチン接種を実施できるはずだ。医療設備は貧弱でも、従軍看護婦まで動員すれば、打ち手はいくらでも確保できるに違いない。
2回目接種で発熱したアバイは、党中央庁舎前のディナー・パーティーを羨ましく思いながら、こんなことを思った。
日本の感染症の専門家が「2週間、完全なロックダウンをすれば、理論上は新規感染者は出なくなる」と言っているのを聞いたことがあるが、それに近いことを実行したのが中国であり、公式にはロックダウンこそしていないが(韓国から戻ってきた脱北者がいた開城市を除く)、早い時期に国境閉鎖をしたのが北朝鮮である。
昨日、放送された「閲兵式」の舞踏会には、青年学生が多数参加して踊り、観衆も密着した状態で大声を出していた。そして、大同江に浮かぶ「食堂船」などから見ていた人々はマスクをしていたが、閲兵広場にいた人々は誰もマスクをしていなかった。
愛知県の音楽フェスで感染対策が蔑ろにされ、感染者が発生していると報じられているが、昨日の「閲兵式」は入場者数が最大でも8000人の愛知県の音楽フェスの比ではない。北朝鮮に日本の1000分の1の感染者、それも流入経路が完全に遮断されているデルタ株のがいたとすると、昨日の「閲兵式」のようなことをすれば大クラスターが発生しても不思議ではない。
朝鮮人民はワクチン接種はしていないだろうし、医療体制も日本と比べて遙かに脆弱なはずだから、とんでもないこととなるのは火を見るよりも明らかだ。「元帥様」もそんな危険を冒してまで、あんなイベントはしないであろう。さらに、年初に開催された「閲兵式」の結果、大クラスターが発生したという様子もない(そうなっていたら、なおさら今回の半端な年度の「閲兵式」はやらなかったはずだ)。
しかし、国境はいずれ開かなければならない。今、北朝鮮がゼロ・コロナの状態だとすると、国境を開くことは大変な冒険となる。ワクチンを接種していることを条件に、検査と隔離を徹底すれば、コロナの流入はある程度防げるかも知れないが、それでも心配は残る。仮に北朝鮮以外の国でコロナがインフルエンザに近い扱いになったとしても、ゼロ・コロナを続けている北朝鮮では、他国が経験した悲惨な状況に陥ることになろう。
「国家核武力完成」を達成した「元帥様」に課せられた今の課題は、「米帝」の侵略から朝鮮を守ることではなく、新型コロナから人民を守る「大戦」でどのように勝利するのかだと言える。確かに、「非常防疫体系」が機能して今は人民を守れているのかも知れない。しかし、「自立経済」の北朝鮮とはいえ、経済を回すためには、少なくとも中朝国境を開けなければどうにもならなくなる。不幸中の幸いと言うべきか、2017年から強化された制裁慣れで、ある程度は持ちこたえられるだろうが、それが来年まで続けられるのかどうか。
ともかく、人民に対するワクチン接種は、いずれかの時点で始めなければならないはずだ。
数日前、『聯合ニュースTV』の報道を見ていたら、バイデンに近い下院議員がホワイトハウスに北朝鮮へワクチン供与をするようにという文書を手渡し、ホワイトハウスはそれを受け取ったという。バイデンはアフタにスタンで忙しく、北朝鮮どころではないのかも知れないが、政治家なのだから、アフガニスタンでの失点を北朝鮮で取り返すという策略を考えても良いのではないだろうか。
インドは多数の死者を出しながら集団免疫に近い状態が作り出されたというが、インドの感染症専門家は「絶対にまねして欲しくない」と言っている。当然、これは北朝鮮にも当てはまる。
「元帥様」はワクチンの確保さえ出来れば、「非常防疫体系」の統制の中、まさに「代議員選挙投票」のように人口の100%近いワクチン接種を実施できるはずだ。医療設備は貧弱でも、従軍看護婦まで動員すれば、打ち手はいくらでも確保できるに違いない。
2回目接種で発熱したアバイは、党中央庁舎前のディナー・パーティーを羨ましく思いながら、こんなことを思った。