「朝鮮労働党(新)規約」入手 (2021年6月11日)
11日、「朝鮮労働党(新)規約」を入手した。北朝鮮から流出、韓国経由で日本に入ってきたものと思われるが、データの形で流出したか、文書を韓国で入寮串直したのか分からないが、使用されているフォントは朝鮮フォントではない。
本物かどうかについては、ざっと見ただけではよく分からない。きちんと調べるのであれば、過去に流出した「(旧)党規約」と比較することが必要となろうし、特に「第5章 党の基層組織」組織部分を「党第8回大会」報道の中で公開された内容と比較してみる必要があるが、その作業はしていない。
注目されているのが「第3章 党の中央組織」である。
まず、「総秘書」についてだが、次のように書かれている。
*********
第23条
党大会の事業は次のとおりである。
1) 党中央委員会の事業を総括する。
2) 党の綱領と規約を修正、補充する。
3) 党の路線と政策、戦略戦術の基本問題を討議決定する。
4) 党中央委員会を選挙する。
5) 朝鮮労働党総秘書を選挙する。
*********
上述のように、「(旧)党規約」と比較しなければならないが、「5) 朝鮮労働党総秘書を選挙する」という「党大会の事業」が「第8回党大会」で実施され、「元帥様」が「総秘書」に就任した。その際にも書いたが、「将軍様」を「永遠の総秘書」(2012年、第4回党代表者会)とし、このポストは空席とするような決定をしているので、その際にこの条項がどのようになったのかは確認しなければならない。少なくとも「第7回党大会」(2016年)で、「元帥様」は「総秘書」となっていないので、「永遠の総秘書」と「総秘書」就任問題は依然として不明のままである。
いずれにせよ、形式的には国防委員会の上に国務委員会を作り「国務委員長」に就任し、今回、「総秘書」に就任していることからすると、少なくとも「将軍様」と同じ格になったことは間違いない。次は「首領様」と同じ格になるために、今回と同様に特段の説明もなく、スルッと「永遠の主席」が存在する中で「主席」になるのかであるが、「将軍様」と「首領様」とは格が違うので、そこまでやるのかは疑問である。
次に注目されるのが「第1秘書」設置である。
************
第26条
党中央委員会は、全員会議を1年に一度以上招集する。
党中央委員会全員会議は、当該時期、党の前にある重要な問題を討議、決定し、党中央委員会政治局と政治局常務委員会を選挙し、党中央委員会第1秘書、秘書達を選挙して秘書局を組織し、党中央軍事委員会と党中央検査委員会を選挙する。
党中央委員会に部署(非常設機構を含む)を設置し、必要な場合、党規約を修正して執行し、党大会に提起して承認を受ける。
党中央委員会第1秘書は、朝鮮労働党総秘書の代理人である。
***********
「全員会議」で「党中央委員会第1秘書」を「選挙」するという規定がある。そして、「党第1秘書」について特に「朝鮮労働党総秘書の代理人である」と書かれている。この「第1XX」という職責について、例えば「第1副部長」を「部長の代理人である」と規定するのが一般化しているのであれば、「第1秘書」を「代理人である」とするのも形式的に整合させただけである。しかし、他の「第1XX」にこうしたことが書かれていないとなると、敢えてこのように書いていることには重要な意味が含まれていると考えられる。
「代理人」という言葉を「我々民族同士」の「朝鮮語大辞典」で調べてみると「ある人の代わりに、その人が持つ権限と任務を担って行使する人」と書かれている。北朝鮮では、「元帥様」が参加しない会議で「委任により」司会などをするケースはあるが、「代理として」というケースはない。したがって、場合によっては、「代理人」には「元帥様」同様の権力が付与されることになる。特に「第6章 朝鮮人民軍内の党組織」の第47条には「朝鮮人民軍は・・・朝鮮労働党の革命的武装力である」と書かれており、第30条には「朝鮮労働党総秘書は、党中央軍事委員会委員長となる」と規定されているので、「総秘書」の「代理人」は形式的には人民軍も掌握することになる。
これ程強大な権力を持つ「第1秘書」を設置し、それをチョ・ヨンウォンに担わせるとなると、やはり何らかの形でチョ・ヨンウォンが「白頭の血統」に関わっていると考えたくなるのだが、残念ながら、「(第1)副部長同志」の夫とするには年齢差がありすぎるようだ。
また、別記事にも書いたように、1ヶ月ぶりに登場した「元帥様」はかなり痩せているように見える。当該記事ではコロナ感染症やワクチンとの関連で書いたが、もしかすると、去年辺りから「元帥様」の健康に何らかの異常が発生し、万が一の場合に備えておく必要が出たのかも知れない。そして今回、姿を見せなかった1ヶ月間で、何らかの治療を行い、体重が減ったのではという推測も成り立つ。
さらに、昨年、「(第1)副部長同志」の対外向けの発言が活発になったが、もしかすると、本来は彼女を「第1秘書」にしたかったのかもしれない。しかし、女性であるということと、いかにも経験不足というところから、チョ・ヨンウォンを選んだ可能性がある。
いずれにせよ、「第1秘書」についての公式報道はまだないし、チョ・ヨンウォンがというのもあくまでも推測である。今日辺り開催されているかも知れない「第3回全員会議」で、チョ・ヨンウォンの「第1秘書」が公言されている可能性もある。
序文にある南朝鮮関連の部分は以下のとおりである。
***********
朝鮮労働党は、南朝鮮から米帝の侵略武力を撤去させ、南朝鮮に対する米国の政治軍事的支配を終局的に清算し、あらゆる外部勢力の干渉を徹底して排撃して、強力な国防力で根源的な軍事的脅威を制圧し、朝鮮半島の安全と平和的環境を守護し、民族自首の旗、民族大団結の旗を高く掲げ、祖国の平和統一を前進させ、民族の共同繁栄を達成するために闘争する。
***********
と書かれている。「(旧)党規約」と比較していないので何とも言えないが、この文の中には軍事力による統一や北朝鮮による統一ということは書かれていない。
その他には、過去に「党員証」の記載事項を検証しながら書いたが、同「規約」の第4条(10)に「党員は、毎月党費を支払わなければならない。党費は月収入の2%である」と書いてある。
本物かどうかについては、ざっと見ただけではよく分からない。きちんと調べるのであれば、過去に流出した「(旧)党規約」と比較することが必要となろうし、特に「第5章 党の基層組織」組織部分を「党第8回大会」報道の中で公開された内容と比較してみる必要があるが、その作業はしていない。
注目されているのが「第3章 党の中央組織」である。
まず、「総秘書」についてだが、次のように書かれている。
*********
第23条
党大会の事業は次のとおりである。
1) 党中央委員会の事業を総括する。
2) 党の綱領と規約を修正、補充する。
3) 党の路線と政策、戦略戦術の基本問題を討議決定する。
4) 党中央委員会を選挙する。
5) 朝鮮労働党総秘書を選挙する。
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上述のように、「(旧)党規約」と比較しなければならないが、「5) 朝鮮労働党総秘書を選挙する」という「党大会の事業」が「第8回党大会」で実施され、「元帥様」が「総秘書」に就任した。その際にも書いたが、「将軍様」を「永遠の総秘書」(2012年、第4回党代表者会)とし、このポストは空席とするような決定をしているので、その際にこの条項がどのようになったのかは確認しなければならない。少なくとも「第7回党大会」(2016年)で、「元帥様」は「総秘書」となっていないので、「永遠の総秘書」と「総秘書」就任問題は依然として不明のままである。
いずれにせよ、形式的には国防委員会の上に国務委員会を作り「国務委員長」に就任し、今回、「総秘書」に就任していることからすると、少なくとも「将軍様」と同じ格になったことは間違いない。次は「首領様」と同じ格になるために、今回と同様に特段の説明もなく、スルッと「永遠の主席」が存在する中で「主席」になるのかであるが、「将軍様」と「首領様」とは格が違うので、そこまでやるのかは疑問である。
次に注目されるのが「第1秘書」設置である。
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第26条
党中央委員会は、全員会議を1年に一度以上招集する。
党中央委員会全員会議は、当該時期、党の前にある重要な問題を討議、決定し、党中央委員会政治局と政治局常務委員会を選挙し、党中央委員会第1秘書、秘書達を選挙して秘書局を組織し、党中央軍事委員会と党中央検査委員会を選挙する。
党中央委員会に部署(非常設機構を含む)を設置し、必要な場合、党規約を修正して執行し、党大会に提起して承認を受ける。
党中央委員会第1秘書は、朝鮮労働党総秘書の代理人である。
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「全員会議」で「党中央委員会第1秘書」を「選挙」するという規定がある。そして、「党第1秘書」について特に「朝鮮労働党総秘書の代理人である」と書かれている。この「第1XX」という職責について、例えば「第1副部長」を「部長の代理人である」と規定するのが一般化しているのであれば、「第1秘書」を「代理人である」とするのも形式的に整合させただけである。しかし、他の「第1XX」にこうしたことが書かれていないとなると、敢えてこのように書いていることには重要な意味が含まれていると考えられる。
「代理人」という言葉を「我々民族同士」の「朝鮮語大辞典」で調べてみると「ある人の代わりに、その人が持つ権限と任務を担って行使する人」と書かれている。北朝鮮では、「元帥様」が参加しない会議で「委任により」司会などをするケースはあるが、「代理として」というケースはない。したがって、場合によっては、「代理人」には「元帥様」同様の権力が付与されることになる。特に「第6章 朝鮮人民軍内の党組織」の第47条には「朝鮮人民軍は・・・朝鮮労働党の革命的武装力である」と書かれており、第30条には「朝鮮労働党総秘書は、党中央軍事委員会委員長となる」と規定されているので、「総秘書」の「代理人」は形式的には人民軍も掌握することになる。
これ程強大な権力を持つ「第1秘書」を設置し、それをチョ・ヨンウォンに担わせるとなると、やはり何らかの形でチョ・ヨンウォンが「白頭の血統」に関わっていると考えたくなるのだが、残念ながら、「(第1)副部長同志」の夫とするには年齢差がありすぎるようだ。
また、別記事にも書いたように、1ヶ月ぶりに登場した「元帥様」はかなり痩せているように見える。当該記事ではコロナ感染症やワクチンとの関連で書いたが、もしかすると、去年辺りから「元帥様」の健康に何らかの異常が発生し、万が一の場合に備えておく必要が出たのかも知れない。そして今回、姿を見せなかった1ヶ月間で、何らかの治療を行い、体重が減ったのではという推測も成り立つ。
さらに、昨年、「(第1)副部長同志」の対外向けの発言が活発になったが、もしかすると、本来は彼女を「第1秘書」にしたかったのかもしれない。しかし、女性であるということと、いかにも経験不足というところから、チョ・ヨンウォンを選んだ可能性がある。
いずれにせよ、「第1秘書」についての公式報道はまだないし、チョ・ヨンウォンがというのもあくまでも推測である。今日辺り開催されているかも知れない「第3回全員会議」で、チョ・ヨンウォンの「第1秘書」が公言されている可能性もある。
序文にある南朝鮮関連の部分は以下のとおりである。
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朝鮮労働党は、南朝鮮から米帝の侵略武力を撤去させ、南朝鮮に対する米国の政治軍事的支配を終局的に清算し、あらゆる外部勢力の干渉を徹底して排撃して、強力な国防力で根源的な軍事的脅威を制圧し、朝鮮半島の安全と平和的環境を守護し、民族自首の旗、民族大団結の旗を高く掲げ、祖国の平和統一を前進させ、民族の共同繁栄を達成するために闘争する。
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と書かれている。「(旧)党規約」と比較していないので何とも言えないが、この文の中には軍事力による統一や北朝鮮による統一ということは書かれていない。
その他には、過去に「党員証」の記載事項を検証しながら書いたが、同「規約」の第4条(10)に「党員は、毎月党費を支払わなければならない。党費は月収入の2%である」と書いてある。