党中央委員会第8期第2期全員会議:我々式「実体」社会主義を目指しているのか、チョ・ヨンウォンに批判される金ドゥイル (2021年2月14日)
12日に北朝鮮メディアが報じた「報道」を昨日、全訳していた。中身を読むと、北朝鮮の「経済改革」の方向が見えてくる。「改革」と言っても資本主義化や市場経済化を指向するというような要素は見られず、「我々式社会主義」経済の中身が実はスカスカだったことを認識し、それを是正しようとしているように思われる。
「元帥様」の「報告」を読んでいて驚いたのは、非常に正直に問題点を指摘し、それを公開していることだ。これまで、「内部資料」、「流出資料」なるものもいくつか目にしたが、ある意味、それに近いような「正直さ」が読み取れる。
空虚な「我々式社会主義」経済を内実のある「我々式社会主義」経済に転換しようという姿勢がはっきりと見られ、党第8回大会で罠を仕掛けておき、空虚な仕事をした幹部や部署、単位を摘出した。恐らく、その数がとてつもなく多かったのであろう。そのため、個別の指導では不十分なので、今回の「全員会議」を開催し、全幹部に「元帥様」のやる気、本気度を示達したのだろう。全体の雰囲気からすると、権力闘争、粛正といったところにその目的はなく、実質的な経済活動の是正を目指そうとしているような印象を受ける。
その罠に掛かった一番の大物は金ドゥイルで、経済部長を解任されている。期待をして仕事をさせてみたが、「元帥様」が「報告」中で言っているように、「何も変わっていない」仕事しかできなかったために解任されたのであろう。新しい経済部長は、オ・スヨンだが、オ・スヨンは過去にも経済部長であり、党8期第1回全員会議「公報」では、「第2経済部長」、つまり軍需工業経済を担当する部長だった。
罠を仕掛ける、仕事の中身を調べるなどの実務で「元帥様」を補助しているのが、チョ・ヨンウォンで、その意味では「元帥様」から絶対的な信認を受けているのであろう。「報道」を見ていると、チョ・ヨンウォンが演壇から会場にいる金ドゥイルと思われる人物を立たせて批判しているようなシーン見られる。
金ドゥイル

Source: 『労働新聞』、2021/01/11

Source: KCTV, 2021/02/12
その後に写る「元帥様」の不機嫌そうな顔

Source: KCTV, 2021/02/12
北朝鮮が置かれている国際環境からして、「自力更生」が柱となっている点は変わりないが、その中で「できることとできないこと」をきちんと設定し、それに向かって実質的に経済単位を運営していくことを求めている。いわゆる「超過達成」に仕組まれたインチキがあることを「元帥様」が指摘している点も注目される。
「反社会主義、非社会主義」の「腫瘍」を摘出するとも言っている。全体的な流れからすると、ここで言っている「反社会主義、非社会主義」は、資本主義的風潮や傾向のことではなく、「権威主義、官僚主義」など、「人民のために服務する」、「以民為天」という社会主義的な仕事ができていない党幹部を処断するという意味だと思われる。
その系で「スローガン集」も修正している。スローガンなるものは、そもそも空虚なものが多いが、修正の中身については言及されていないので分からないが、そうした空虚なスローガンを修正することにしたのであろう。スローガンについては、「朝鮮中央TV」を見ていても、時としてモザイク処理されていることがある。「スローガン集」にないものを工場や単位が掲げるはずはないのだが、時代に合わないスローガンが「スローガン集」に残っており、それを掲げたからではないかと思われる。
「自力更生」の枠組みの中で、「我々式社会主義」経済の現実化や効率化を目指すのが党8回大会で打ち出された「5カ年計画」の基本路線であるということが、今回の「党中央委員会第8期第2回全員会議」で明らかになった。
「元帥様」の「報告」を読んでいて驚いたのは、非常に正直に問題点を指摘し、それを公開していることだ。これまで、「内部資料」、「流出資料」なるものもいくつか目にしたが、ある意味、それに近いような「正直さ」が読み取れる。
空虚な「我々式社会主義」経済を内実のある「我々式社会主義」経済に転換しようという姿勢がはっきりと見られ、党第8回大会で罠を仕掛けておき、空虚な仕事をした幹部や部署、単位を摘出した。恐らく、その数がとてつもなく多かったのであろう。そのため、個別の指導では不十分なので、今回の「全員会議」を開催し、全幹部に「元帥様」のやる気、本気度を示達したのだろう。全体の雰囲気からすると、権力闘争、粛正といったところにその目的はなく、実質的な経済活動の是正を目指そうとしているような印象を受ける。
その罠に掛かった一番の大物は金ドゥイルで、経済部長を解任されている。期待をして仕事をさせてみたが、「元帥様」が「報告」中で言っているように、「何も変わっていない」仕事しかできなかったために解任されたのであろう。新しい経済部長は、オ・スヨンだが、オ・スヨンは過去にも経済部長であり、党8期第1回全員会議「公報」では、「第2経済部長」、つまり軍需工業経済を担当する部長だった。
罠を仕掛ける、仕事の中身を調べるなどの実務で「元帥様」を補助しているのが、チョ・ヨンウォンで、その意味では「元帥様」から絶対的な信認を受けているのであろう。「報道」を見ていると、チョ・ヨンウォンが演壇から会場にいる金ドゥイルと思われる人物を立たせて批判しているようなシーン見られる。
金ドゥイル

Source: 『労働新聞』、2021/01/11

Source: KCTV, 2021/02/12
その後に写る「元帥様」の不機嫌そうな顔

Source: KCTV, 2021/02/12
北朝鮮が置かれている国際環境からして、「自力更生」が柱となっている点は変わりないが、その中で「できることとできないこと」をきちんと設定し、それに向かって実質的に経済単位を運営していくことを求めている。いわゆる「超過達成」に仕組まれたインチキがあることを「元帥様」が指摘している点も注目される。
「反社会主義、非社会主義」の「腫瘍」を摘出するとも言っている。全体的な流れからすると、ここで言っている「反社会主義、非社会主義」は、資本主義的風潮や傾向のことではなく、「権威主義、官僚主義」など、「人民のために服務する」、「以民為天」という社会主義的な仕事ができていない党幹部を処断するという意味だと思われる。
その系で「スローガン集」も修正している。スローガンなるものは、そもそも空虚なものが多いが、修正の中身については言及されていないので分からないが、そうした空虚なスローガンを修正することにしたのであろう。スローガンについては、「朝鮮中央TV」を見ていても、時としてモザイク処理されていることがある。「スローガン集」にないものを工場や単位が掲げるはずはないのだが、時代に合わないスローガンが「スローガン集」に残っており、それを掲げたからではないかと思われる。
「自力更生」の枠組みの中で、「我々式社会主義」経済の現実化や効率化を目指すのが党8回大会で打ち出された「5カ年計画」の基本路線であるということが、今回の「党中央委員会第8期第2回全員会議」で明らかになった。