「党第8回大会」:開催報道がない、予測が外れまくり、コロナとの関係 (2020年1月5日)
拙ブログがした「党第8回大会」の開催予測が外れ続けている。
昨年12月の早い時点では、「新年の辞」か「党第8回大会」での演説かとしていたが、30日に「代表証授与式」が行われたことから、早ければ1月1日から「党第8回大会」が開催され、同大会での「元帥様」の演説を持って「新年の辞」に代えるのではないかと予測した。
そうしたら、1日に人民に対する新年の挨拶が書かれた「親筆書簡」が北朝鮮メディアで公開された。同書簡は「希望に満ちた新年」と書かれているだけで、具体的な政策などについては述べられていなかった。まあ、年賀状なので、そういうことなのだろう。
しかし、「親筆書簡」を送る裏で、「元帥様」は1日から「党第8回大会」を開催し、そこで演説をしているものと予想した。その演説が2日の『労働新聞』で「元帥様」の演説写真と共に大きく掲載されると全訳する心の準備をしていたのだが、同日の同紙を見て拍子抜けしてしまった。
次の予想は、「元帥様」も三が日ぐらいは休み、週明けの4日から「党第8回大会」を掲載するのではないのかというものだった。当然、今朝(5日)の『労働新聞』にその報道が出るものと期待したが、一般の記事は5日に更新されるも、「元帥様」の「革命活動報道」は1日で止まっており、力が抜けた。
こうなると、もう日にちの予測はできないが、「初旬」と言っているのだから、今週中ということになろう。当ブログ謹製の「主体カレンダー」には書き込んでおいたが、8日は「元帥様」の誕生日だ。「朝鮮中央TV」に写る2021年1月のカレンダーでは、この日は平日扱いになっているが、今日あるいは明日から「大会」を始め、意義深い「8日」に閉会、同日に行った「元帥様」の総括を9日に「朝鮮中央TV」で静止画報道、日曜日に朝から繰り返し動画報道を動画報道をするのではないのかと今は思っている。
ただ解せないのは、そうであるならば、「代表証授与式」をなぜ30日に行ったのかということだ。その後、「代表」の日程で公開されているのは、1日、「元帥様」と共に「錦繍山太陽宮殿」参拝だけである。通常、平壌観光や音楽公演参観は大会後となることから、そうした動きに関する報道はない。では、会議もせず参観もせず、「代表」達は何をしているのだろうか。
一つ思ったのはコロナ対策だ。北朝鮮は公式な措置は発表していないが、雰囲気としてはコロナ対策のレベルを高めている。
Source: KCTV, 2021/01/03
Source: KCTV, 2021/01/04
1日に「元帥様」と「錦繍山太陽宮殿」参拝をしたとはいえ、その様子を紹介する写真は1枚だけである。『労働新聞』などで公開された静止画は、「元帥様」とマスクをしていない党幹部、高位人民軍人しか見えない。扉の外で待機している人は見えるが、彼らは「元帥様」の参拝が終わり、その場を立ち去るまで待たされているのかも知れない。30日に「代表証授与式」をやったのは、「元帥様」からある程度の隔離期間を維持するためなのかも知れない。だとして6日でやっと1週間、2週間確保するためには来週まで待たなければならない。
昨年10月10日に「元帥様」が「(コロナによる)一人の被害者もいない」と言ったのは事実だとして、やはりあの時のマスク非着用の人民動員が祟った可能性がある。あの時まで、北朝鮮ではかなりの感染抑制に成功していたのであろうが、若者を中心とした無症状感染者がかなりおり、党創建75周年関連行事、とりわけ松明行進などで拡散、顕在化し、それが冬期の気象条件と相まって、感染者が拡大している可能性がある。その結果が、少人数の「代表」による党大会ということではないのだろうか。
上で紹介した宣伝煽動番組でも、「一瞬の油断が重大な結果を招く」と言っているが、10月10日の行事こそがその「油断」になってしまい、「大衆的な防疫ムード、全人民的な自覚的一致性を高め続ける」ことができなくなってしまったのかもしれない。
上の動画に字幕を付けながら思ったのは、日本も同じではないのかということだ。日本で今の感染拡大に繋がっている重要な原因の一つは、「go to」シリーズだと私は思っている。「go to」シリーズまでは、それでも「大衆的な防疫ムード、全人民的な自覚的一致性を高め続ける」ことはそれなりに維持されていたが、「go to」でそれが緩み今日の感染拡大に繋がっているのではないだろうか。そして、一度緩んだ「大衆的な防疫ムード、全人民的な自覚的一致性」を再び高めることは、「緊急事態宣言」を発したところでとても難しいと思う。
奇しくも「元帥様」は、「親筆書簡」で人民に「困難な歳月の中でも変わらず我が党を信じ、いつも支持して下さる気持ちに感謝を捧げます。」と言い、日本首相菅は4日の会見で「まずは、年末年始も最前線で闘っておられる医療、介護を始めとする関係の方々、そして外出や帰省を控えていただいている国民の皆様に、心から感謝を申し上げる次第です。」と言っている。感謝だけでは何も解決しないことを2人はよく知っているはずだ。
では、2人の指導者は、「非常防疫大戦」で勝利する戦略をどのように描いているのであろうか。菅はワクチンに頼ることを公言しているが、「元帥様」はワクチンを入手できるのか。そもそも北朝鮮の報道では滅多に聞かない「核酸検査(PCR検査)」をどれだけ実施できているのだろうか(「核酸検査」については下の動画で「新華社」を引用して言及)。ワクチンもPCR検査キットも、「我々式」で対応することは困難であろうから、中国に頼ることのなるのであろう。
Source: KCTV, 2021/01/02
<追記>
自民党幹事長二階が、「スポーツ振興は国民の健康にもつながる。大いに開催できるように努力するのは当然のことだと思っている」と(『朝日新聞DIGITAL』、「二階氏、五輪『開催しないお考え聞いてみたいぐらいだ』」、2020/01/05、https://www.asahi.com/articles/ASP15457JP15UTFK00B.html?iref=comtop_7_02)。
北朝鮮流に言い換えれば、「人民を動員した大規模な行事は人民を団結させ『大衆的な防疫ムード、全人民的な自覚的一致性』にもつながる。大いに開催できるように努力するのは当然のことだと思っている」となろう。
こんな人に日本は翻弄されている。
昨年12月の早い時点では、「新年の辞」か「党第8回大会」での演説かとしていたが、30日に「代表証授与式」が行われたことから、早ければ1月1日から「党第8回大会」が開催され、同大会での「元帥様」の演説を持って「新年の辞」に代えるのではないかと予測した。
そうしたら、1日に人民に対する新年の挨拶が書かれた「親筆書簡」が北朝鮮メディアで公開された。同書簡は「希望に満ちた新年」と書かれているだけで、具体的な政策などについては述べられていなかった。まあ、年賀状なので、そういうことなのだろう。
しかし、「親筆書簡」を送る裏で、「元帥様」は1日から「党第8回大会」を開催し、そこで演説をしているものと予想した。その演説が2日の『労働新聞』で「元帥様」の演説写真と共に大きく掲載されると全訳する心の準備をしていたのだが、同日の同紙を見て拍子抜けしてしまった。
次の予想は、「元帥様」も三が日ぐらいは休み、週明けの4日から「党第8回大会」を掲載するのではないのかというものだった。当然、今朝(5日)の『労働新聞』にその報道が出るものと期待したが、一般の記事は5日に更新されるも、「元帥様」の「革命活動報道」は1日で止まっており、力が抜けた。
こうなると、もう日にちの予測はできないが、「初旬」と言っているのだから、今週中ということになろう。当ブログ謹製の「主体カレンダー」には書き込んでおいたが、8日は「元帥様」の誕生日だ。「朝鮮中央TV」に写る2021年1月のカレンダーでは、この日は平日扱いになっているが、今日あるいは明日から「大会」を始め、意義深い「8日」に閉会、同日に行った「元帥様」の総括を9日に「朝鮮中央TV」で静止画報道、日曜日に朝から繰り返し動画報道を動画報道をするのではないのかと今は思っている。
ただ解せないのは、そうであるならば、「代表証授与式」をなぜ30日に行ったのかということだ。その後、「代表」の日程で公開されているのは、1日、「元帥様」と共に「錦繍山太陽宮殿」参拝だけである。通常、平壌観光や音楽公演参観は大会後となることから、そうした動きに関する報道はない。では、会議もせず参観もせず、「代表」達は何をしているのだろうか。
一つ思ったのはコロナ対策だ。北朝鮮は公式な措置は発表していないが、雰囲気としてはコロナ対策のレベルを高めている。
Source: KCTV, 2021/01/03
Source: KCTV, 2021/01/04
1日に「元帥様」と「錦繍山太陽宮殿」参拝をしたとはいえ、その様子を紹介する写真は1枚だけである。『労働新聞』などで公開された静止画は、「元帥様」とマスクをしていない党幹部、高位人民軍人しか見えない。扉の外で待機している人は見えるが、彼らは「元帥様」の参拝が終わり、その場を立ち去るまで待たされているのかも知れない。30日に「代表証授与式」をやったのは、「元帥様」からある程度の隔離期間を維持するためなのかも知れない。だとして6日でやっと1週間、2週間確保するためには来週まで待たなければならない。
昨年10月10日に「元帥様」が「(コロナによる)一人の被害者もいない」と言ったのは事実だとして、やはりあの時のマスク非着用の人民動員が祟った可能性がある。あの時まで、北朝鮮ではかなりの感染抑制に成功していたのであろうが、若者を中心とした無症状感染者がかなりおり、党創建75周年関連行事、とりわけ松明行進などで拡散、顕在化し、それが冬期の気象条件と相まって、感染者が拡大している可能性がある。その結果が、少人数の「代表」による党大会ということではないのだろうか。
上で紹介した宣伝煽動番組でも、「一瞬の油断が重大な結果を招く」と言っているが、10月10日の行事こそがその「油断」になってしまい、「大衆的な防疫ムード、全人民的な自覚的一致性を高め続ける」ことができなくなってしまったのかもしれない。
上の動画に字幕を付けながら思ったのは、日本も同じではないのかということだ。日本で今の感染拡大に繋がっている重要な原因の一つは、「go to」シリーズだと私は思っている。「go to」シリーズまでは、それでも「大衆的な防疫ムード、全人民的な自覚的一致性を高め続ける」ことはそれなりに維持されていたが、「go to」でそれが緩み今日の感染拡大に繋がっているのではないだろうか。そして、一度緩んだ「大衆的な防疫ムード、全人民的な自覚的一致性」を再び高めることは、「緊急事態宣言」を発したところでとても難しいと思う。
奇しくも「元帥様」は、「親筆書簡」で人民に「困難な歳月の中でも変わらず我が党を信じ、いつも支持して下さる気持ちに感謝を捧げます。」と言い、日本首相菅は4日の会見で「まずは、年末年始も最前線で闘っておられる医療、介護を始めとする関係の方々、そして外出や帰省を控えていただいている国民の皆様に、心から感謝を申し上げる次第です。」と言っている。感謝だけでは何も解決しないことを2人はよく知っているはずだ。
では、2人の指導者は、「非常防疫大戦」で勝利する戦略をどのように描いているのであろうか。菅はワクチンに頼ることを公言しているが、「元帥様」はワクチンを入手できるのか。そもそも北朝鮮の報道では滅多に聞かない「核酸検査(PCR検査)」をどれだけ実施できているのだろうか(「核酸検査」については下の動画で「新華社」を引用して言及)。ワクチンもPCR検査キットも、「我々式」で対応することは困難であろうから、中国に頼ることのなるのであろう。
Source: KCTV, 2021/01/02
<追記>
自民党幹事長二階が、「スポーツ振興は国民の健康にもつながる。大いに開催できるように努力するのは当然のことだと思っている」と(『朝日新聞DIGITAL』、「二階氏、五輪『開催しないお考え聞いてみたいぐらいだ』」、2020/01/05、https://www.asahi.com/articles/ASP15457JP15UTFK00B.html?iref=comtop_7_02)。
北朝鮮流に言い換えれば、「人民を動員した大規模な行事は人民を団結させ『大衆的な防疫ムード、全人民的な自覚的一致性』にもつながる。大いに開催できるように努力するのは当然のことだと思っている」となろう。
こんな人に日本は翻弄されている。