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    北朝鮮のコロナ対策:他国の惨状で恐怖感造成、2人の放送員の報道スタイル (2020年11月1日 「朝鮮中央TV」)

    1日、「朝鮮中央TV」の『20時報道』の中で、海外の新型コロナ感染状況を伝えるコーナーがあった。「朝鮮中央TV」では、毎日、海外のコロナ感染状況を感染者数、病院の状況、家族を失った人のインタビューなどの形で伝えている。また、朝鮮国内の非常防疫体制宣伝番組の中でも、海外の悲惨な状況を見ているテレビ画面で見ている様子が見られる。そして、10月30日の『20時報道』内での人民インタビューでは、人民が「私がこの国に住んでいなかったら」とか「感染者も死亡者も一人も出ていない」などと話している。

    コロナ感染者が発生していないとする朝鮮で、なぜこれ程までに海外の感染状況をテレビで流すのかと思っていたのだが、最近の人民インタビューを見ていて感じたのは、どうやら、海外の悲惨な状況を人民に見せることで、コロナに対する恐怖心を造成し、非常防疫措置を適切に維持することを狙っているのではないのかということだ。

    思えば日本でも、第一波の時に著名な芸能人がコロナで連続で亡くなったが、このインパクトは強烈で、人々に新型コロナに対する強い恐怖心を与え、国民の防疫に対する意識を一気に高めた。

    北朝鮮で本当にコロナ感染者が皆無か、そうでなくても皆無に等しいとすれば、人々の防疫意識は当然緩んでくる。北朝鮮はしばしば「防疫学的」という言葉を使うが、国境を遮断した状態で、現時点に至るまで、感染者が皆無であるのならば、「防疫学的」には、防疫対策など不要と考えてもよいのだろう。それでも万全を期して、非常防疫措置を続けるためには、人民にコロナがいかに恐ろしい伝染病であるのかを常に認識させておく必要がある。

    コロナに感染していない朝鮮人民にとっては、嫌と言うほど、ひとたびコロナが侵入してきたらとんでもないことになるということをしっかりと認識させておくことは有効だし、マスクがそれなりに普及しているのであれば、コロナ以外の伝染病の予防にもなる。

    最近では、コロナが渡り鳥や雪に混ざって侵入する可能性や、空気が乾燥すると飛沫の飛散が増加するというような海外の研究結果も紹介している。

    話は変わるが、最近は、放送員が2人登場して対話型で報道するスタイルが増えてきている。下で紹介するコロナ関連の報道でも、男女の放送員が出ている。このスタイルの報道が始まったとき、放送員がやたらと原稿に視線を落としたり、キョロキョロとしているところが「朝鮮中央TV」らしくなくて気になったのだが、どうやら、こうした動きも意識的に入れているようだ。

    世界の新型コロナ感染状況

    Source: KCTV, 2020/11/01

    新型コロナに関する平壌市民インタビュー(他)

    Source: KCTV, 2020/10/30

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
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