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    「<TV連続劇>ある女党員の追憶」 (2013年1月26日 「朝鮮中央TV」)

    こちらも核実験騒ぎで見落としそうになったが、「朝鮮中央TV」が昨夜から新しい「テレビ連続劇」を放送し始めた。「ある女党員の追憶」というシリーズであるが、第1回を見た限りでは「女性党細胞秘書」が主人公のドラマのようだ。

    「ある女党員の追憶 第1部」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-26-18.flv

    第1部は、ある女性の嫁が党細胞秘書になったというところからストーリーが始まる。しかし、主人公はこの嫁ではなく義理の母の方である。この母も30年前、若くしてある工場の党細胞秘書に選出された。ストーリーは、若い未婚のこの女性が工場の党細胞秘書として苦労をするというストーリーのようだ。

    過去記事にも、実態としての党細胞秘書が何をするのかよく分からないと書いたが、このドラマを見ているとだんだんとその役割や地位が分かりそうだ。第1回を見た限りでは、党細胞秘書は当該単位(事業所)の党員選挙で選出され、党細胞秘書はあくまでも労働者の1人として一緒に工場で働きながら、党細胞秘書としての任務を遂行するようだ。身分的には作業班長と同等か若干下で、事業所の運営にについて作業班長と相談しながら決めていくということのようだ。また、年齢による上下関係は党細胞秘書にも通用するようで、ある男性老党員との会話では、男性老党員は党細胞秘書に目下に対する言葉遣いで話している。この老党員、女性党細胞秘書を周りとの関係で支えていくという役回りのようだ。

    このドラマでは、中年の作業班長は、若い未婚の党細胞秘書に対して嫉妬しているという設定である。また、おもしろかったのは、北朝鮮で「党員」という資格が重要であるということが、番組の節々に出てくる。例えば、あるずる賢そうな労働者は「どうせ俺は党員じゃないから」というような発言もしている。また、党員と非党員の間の「ミンチョン(民青:民主青年同盟?)」という立場の人も出てくる。

    ドラマの背景は今から30年前、つまり80年代初めということになるが、工作機械(旋盤)故障したり、調達に苦労したりと北朝鮮の苦しい事情が描かれている。このドラマは、カンソン郡という地方にある「3月13日工場」というところで撮影されているようであるが、今、つまり2013年の地方都市の小規模事業所の状況をうかがい知ることができる。

    また、民家の様子も出てくるが、これも地方都市の民家での撮影であろうから、その様子が分かっておもしろい。いずれも80年代という設定でどれほど小道具類でカバーされているのかは分からないが、現時点の北朝鮮地方都市も80年代より悪くなっていることこそあれ、良くなっている可能性は低いので、ほぼそのままではないかと思われる。

    北朝鮮では、住居や職場の異動が難しいようにいわれているが、ドラマの中では男女間のトラブルで、ある女性が町を出て行こうとするシーンもある(結局出て行ったのかは、第1回では分からない)。つまり、職場も変わるわけだが、それについては「労働委員会」に相談・申告すれば比較的すんなりできそうな様子だ。北朝鮮国内向けのドラマなので、この辺りは現実の手続きをそのまま反映しているのであろう。

    と、久しぶりにおもしろそうなドラマシリーズが始まった。明日から楽しみだ。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
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