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    「朝鮮国防委員会 国の自主権を守護するための全面対決戦に突入すると声明」 (2013年1月24日 「朝鮮中央通信」)

    国連安保理決議2087が公表され、それについての記事を書こうと思っていたところで、北朝鮮の国防委員会が「朝鮮中央通信」を通じて声明を発表した。「声明」の内容に触れる前に書いておきたいことは、この「声明」に関する類似した記事がほぼ同時に「朝鮮中央通信」に掲載されたことだ。少なくとも「朝鮮中央通信」がインターネットで記事を配信し始めてから、このような重複記事をほぼ同時にいくつも配信することはなかったのだが、これは何を意味するのであろうか。

    私も過去記事では、今回のロケット発射については中国の反対で「報道声明」だけで終わるのではないかと書いたが、もしかすると、北朝鮮も同じ期待を抱いており、国防委員会声明で直接的には米国を攻撃しているものの、実質的には前記事にも書いた中国の「説得」を無視することで中国に対する不快感を表明しているのかもしれない。北朝鮮が中国の後ろ盾なしでは存在し得ないことは明白であるが、一方で、中国にとっても北朝鮮に問題を引き起こされては、ただでさえ複雑な国際関係情勢の中で負担が加重されるという悩みがある。北朝鮮は、それをうまく利用しようとしているのかもしれない。

    公開された国連安保理決議2087には、前記事で書いた通り中国の「できる限りの配慮」が多く盛り込まれている。例えば、ロケット発射についてもChina Dailyの記事に書かれたように「宇宙開発の自由は認めるが、国際法と共に安保理決議にも従わなければならない」こと(前文冒頭)、「外交と対話をつうじての解決を求め、情勢を悪化させるような行動を避ける」こと(14)、「(安保理は)六者会談を支持することを確認し、その再開を求める」こと(9.19合意の迅速な履行は「要求」しているが、それを六者会談再開の「条件」とはしていない。15)、「2006年と2009年の安保理決議は、北朝鮮国民の生活に悪影響を及ぼすことを目的としていない」こと(18)などが含まれている。

    UNSC, Resolution 2087 (2013)
    http://www.un.org/ga/search/view_doc.asp?symbol=S/RES/2087%282013%29

    話を「朝鮮中央通信」の記事に戻すと、本記事のタイトルになっているものの他に「国家の自主権を守護するための全面対決戦に踏み切ることになるであろう(떨쳐나서게 될것이다)-朝鮮民主主義人民共和国国防委員会声明-」、「朝鮮国防委員会国連決議に対処し自主権守護のための全面対決戦に踏み切るであろうと明らかにする(천명)」と3つの記事を配信している。

    これらの記事は、冒頭部分で米国やその「追随勢力」非難し、国防委員会の声明を転載しているが、基本的には「外務省声明」を強化したような内容である。例えば、「我々の平和的な人工衛星は宇宙空間でさらにたゆまず力強く打ち上げられることになるであろう」、「この全面対決戦で我々が継続して発射するであろう様々な衛星と長距離弾道弾も、我々が進める高い水準の核実験も、我が人民の宿敵である米国をターゲットとしたものであることは隠さない」などである。

    時間の関係で、詳細は追って書く。

    <追記>
    「朝鮮中央TV」が報じた国防委員会関連の番組を見た。内容は既に「朝鮮中央通信」で配信された記事を読み上げているだけであるが、聞いていると「世界に公正な秩序を確立することにおいて前面に立たなければならない大国までも」と安保理決議に賛成した「大国」を非難している。非難の対象が中国であることは明白である。この内容が、既に「朝鮮中央通信」で報じられた記事に含まれているのかどうか確認する余裕(元気)はないが、この報道を聞いて、再び北朝鮮が中国に対して相当に苛立っているのではないかという気がした。

    いつもと違う背景を用いて「国防委員会声明」を読み上げるアナウンサー
    2013-01-24-13lv_000228667.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13272

    日中間の尖閣諸島を巡る対立は、特に中国側が航空機による領空侵犯を繰り返し、それに自衛隊機が対処しているという段階で非常に危険な状態にある。米国が、中国側に航空機による侵犯を中止するように求め、万が一の場合には尖閣を日米安保条約の適用地域とするいうことを明言したのも、日本支持というメッセージ以上に、中国に「不測の事態」を引き起こさないためにも航空機の使用をやめるよう求めたものであろう。

    と、北朝鮮と無関係の話を書いたが、北朝鮮もこうした中国が自国の権益のためには危ないことをしながら、北朝鮮に対しては「自制」を求めているという矛盾を突いて、ギリギリの瀬戸際戦術に出た可能性はある。中国の歯止めがきかなくなった北朝鮮というのは、実に危険である。今後、北朝鮮が核実験に踏み切るのかどうかと言うことも含めて、予断を許さない状況といえよう。

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    Author:川口智彦
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    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
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