災害復旧戦闘場のトラック:現地からのレポート、モザイクの基準が?、スローガン・ボードのモザイク (2020年9月16日 「朝鮮中央TV」)
「朝鮮中央TV」では、連日「自然災害復旧戦闘」の現地からのニュースが伝えられている。台風の時の気象情報ほど速報性はないが、それでも地方からの映像配信としてはかなり速くなっている。また、中央のニュースには登場しない放送員が現地でマイクを持ってレポートをするシーンも見られる。地味ではあるが、台風時の気象情報から採用された報道手法と言えよう。今まで現地でマイクを差し出してインタビューしていた人たちが、自らマイクを持ってレポートしているのであろう。
クムガン郡からの現地レポート

Source: KCTV, 2020/09/16
もう一つ見ていておもしろいのは、土砂を運搬するダンプへのモザイクの入れ方である。基本的には、全て中国で調達した中古トラックであろうが、かなり徹底してメーカーやモデルが特定されないようにモザイクがかけられている一方、モザイクが見られないものも少数ではあるが見られる。そもそも、モザイクをかけている理由が、自給自足を達成できていない羞恥心からなのか、安保理制裁との関連で中国への気遣いからなのか分からない。後者だとすると、モザイクがかかっていない車両は、中国製でないのか、安保理制裁対象外の車両だということになるが、この辺りもよく分からない。
16日の放送に登場したダンプを取りあえず調べてみた。
一番分かりやすいのが、このダンプだった。「20時報道」で放送され「今日の報道の中から」でもそのまま使われていたので、問題がないということなのだろう。

Source: KCTV, 2020/09/16
では、このダンプはどこ製かというと、エンブレムは中国の「福田汽車」のものと類似している。

Source: 福田汽車HP、https://rowor.foton.com.cn/ruiwo/cars/pc/indexES5.html
ただ、福田汽車はドイツメーカーFontonの中国会社なので、エンブレム露出を気にしていないという可能性はある。
次は、下の1枚の写真である。上の写真は、一瞬しか出ないのでモザイクをかけ忘れ

Source: KCTV, 2020/09/16
そして、こちらの写真は、モザイクがずれている。

Source: KCTV, 2020/09/16
これらのダンプのエンブレムと類似したエンブレムの中国製トラックは、中国重機のトラックになる。

Source: 中国重機HP、http://www.cnhtc.net/view/index.aspx
もう一つよく分からない基準は、ナンバープレートであるが、その典型が下の2枚だ。
チョルウォン郡を「自然災害復旧戦闘場」を走るダンプ。この場面ではナンバーにもモザイクが入っている。

Source: KCTV, 2020/09/16
ところが、同種のダンプであるにもかかわらず、こちらはモザイクが全くなく、上に書いた中国重機のダンプであることが分かる。

Source: KCTV, 2020/09/16
モザイクの基準がそもそも曖昧であり、報道に速報性が求められるようになったので、こうした不統一な現象が起きている可能性はある。こうした点も、北朝鮮のテレビ報道を進化させていく上で、クリアしなければならない問題であろう。
また、スローガンのボードにもモザイクがかけられていることがある。工場などにあるスローガンは、方針転換前の古いものなのでモザイクをかけているのではないかと思っているのだが、「災害復旧戦闘場」に掲げられているスローガンにもモザイクがかかっていることがある。16日の放送では、特にモザイクがあるスローガンはなく、以前モザイクがあったような場所(同一のボードではないので直接的な比較はできないが)も見せている。何が書いてあるのかと思って読むと、「誰かが見ていようが見ていまいが火線の煽動で・・・サリウォン市の金イルス、リュ・グァンヒョク・・・」などと書かれている。その他のスローガンボードも、下の方に、「災害復旧戦闘」で活躍をした人の名前が書かれているが、以前はこの辺りにモザイクを入れていたのかも知れない。

Source: KCTV, 2020/09/16
クムガン郡からの現地レポート

Source: KCTV, 2020/09/16
もう一つ見ていておもしろいのは、土砂を運搬するダンプへのモザイクの入れ方である。基本的には、全て中国で調達した中古トラックであろうが、かなり徹底してメーカーやモデルが特定されないようにモザイクがかけられている一方、モザイクが見られないものも少数ではあるが見られる。そもそも、モザイクをかけている理由が、自給自足を達成できていない羞恥心からなのか、安保理制裁との関連で中国への気遣いからなのか分からない。後者だとすると、モザイクがかかっていない車両は、中国製でないのか、安保理制裁対象外の車両だということになるが、この辺りもよく分からない。
16日の放送に登場したダンプを取りあえず調べてみた。
一番分かりやすいのが、このダンプだった。「20時報道」で放送され「今日の報道の中から」でもそのまま使われていたので、問題がないということなのだろう。

Source: KCTV, 2020/09/16
では、このダンプはどこ製かというと、エンブレムは中国の「福田汽車」のものと類似している。

Source: 福田汽車HP、https://rowor.foton.com.cn/ruiwo/cars/pc/indexES5.html
ただ、福田汽車はドイツメーカーFontonの中国会社なので、エンブレム露出を気にしていないという可能性はある。
次は、下の1枚の写真である。上の写真は、一瞬しか出ないのでモザイクをかけ忘れ

Source: KCTV, 2020/09/16
そして、こちらの写真は、モザイクがずれている。

Source: KCTV, 2020/09/16
これらのダンプのエンブレムと類似したエンブレムの中国製トラックは、中国重機のトラックになる。

Source: 中国重機HP、http://www.cnhtc.net/view/index.aspx
もう一つよく分からない基準は、ナンバープレートであるが、その典型が下の2枚だ。
チョルウォン郡を「自然災害復旧戦闘場」を走るダンプ。この場面ではナンバーにもモザイクが入っている。

Source: KCTV, 2020/09/16
ところが、同種のダンプであるにもかかわらず、こちらはモザイクが全くなく、上に書いた中国重機のダンプであることが分かる。

Source: KCTV, 2020/09/16
モザイクの基準がそもそも曖昧であり、報道に速報性が求められるようになったので、こうした不統一な現象が起きている可能性はある。こうした点も、北朝鮮のテレビ報道を進化させていく上で、クリアしなければならない問題であろう。
また、スローガンのボードにもモザイクがかけられていることがある。工場などにあるスローガンは、方針転換前の古いものなのでモザイクをかけているのではないかと思っているのだが、「災害復旧戦闘場」に掲げられているスローガンにもモザイクがかかっていることがある。16日の放送では、特にモザイクがあるスローガンはなく、以前モザイクがあったような場所(同一のボードではないので直接的な比較はできないが)も見せている。何が書いてあるのかと思って読むと、「誰かが見ていようが見ていまいが火線の煽動で・・・サリウォン市の金イルス、リュ・グァンヒョク・・・」などと書かれている。その他のスローガンボードも、下の方に、「災害復旧戦闘」で活躍をした人の名前が書かれているが、以前はこの辺りにモザイクを入れていたのかも知れない。

Source: KCTV, 2020/09/16