「米国グーグル会社代表団到着」 (2012年1月7日 「朝鮮中央通信」)
「朝鮮中央通信」が米国からグーグル代表団が到着したという短い記事を配信した。記事は「ビル・リチャードソン前ニューメキシコ州知事を団長とする米国グーグル会社代表団が7日、飛行機で平壌に到着した」としており、訪問団の代表はグーグル会長ではなく、前ニューメキシコ州知事となっているところが興味深い。
今回の訪問については、米国務省定例記者会見でも数回話題に上がっているが、国務省側は今回の訪問があくまでも「私的な訪問」であり、米国政府は直接的関与はしていないという説明を繰り返している。しかし、彼らが12月に平壌訪問を計画した際に、ロケット発射との関連で彼らに訪問時期を変更するよう要請したということも認めている。また、今回の訪問についても国務省として「我々の方針からすれば、必ずしも最善の時期ではない」とし、「私的訪問ではあるが、彼ら(グーグル会長ら)は、我々(国務省)のこの時期の訪問が最適ではないという見解はは認識している」と述べている。
U.S. Department of State, Daily Press Briefing,
http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/01/202492.htm#NORTHKOREA
確かに、米国やオバマ新政権にとって1月は、安倍訪米が延期されるなど、忙しい時期であることは間違いない。この時期に、北朝鮮問題に深くコミットすることはできるだけ避けたいというのが本音であろう。特に、12月のロケット発射への制裁措置が、中国の反対で難航している中、米国が北朝鮮と直接対話をするということは、彼らにとっては外交的失敗を意味することにもなる。
今回のグーグル会長一行の訪問が、北朝鮮に逮捕抑留されている韓国系米国人の問題と関連があるのではないかという質問も定例記者会見で出されたが、国務省報道官はその問題はスウェーデン大使館に一任してあるので、今回の「政府関係者が同行しない私的な」訪問とは無関係であるという立場を貫いている。
一部報道では、今回の彼らの訪問は「核実験を思いとどまらせるため」とも報じているが、このタイミングで北朝鮮が核実験を敢えて実施する意味はあまりない。「核保有国」は憲法に書いてあるのだし、「宇宙を征服した衛星発射国」ということで金正恩さんには十分に箔が付いたのだから、核実験はもう少しとっておいてもよいはずである。もちろん、中国が今回のロケット発射に対して意外と甘い態度を取ったので、ついでに核実験もというパターンはあり得るが、そうだとしてもこのタイミングでの核実験の意味はあまりない。
そう考えると、今回のグーグル会長一行の訪朝は、金正恩体制に探りを入れるのが最大の目的ではないだろうか。北朝鮮とパイプのあるリチャードソン知事といかにも金正恩さんが関心を持ちそうな米国インターネット最大手会社の会長をペアにして平壌に派遣するということからもそれが伺える。北朝鮮がこれを契機に朝鮮人民にインターネット接続を許可するなどいう可能性は非常に低い(どこかの記事で、CSISのビクター・チャさんもそうコメントしていたというのを読んだが)。しかし、グーグルは北朝鮮が開発を進めている教育用タブレットPCのOSとして使われているアンドロイドを製作・提供している企業であることも忘れてはならない。北朝鮮の実質的な関心は、どちらかというとそちらにあるのかもしれない。
今回の訪朝が何日間で、誰と会うのかも伝えられていないが、北朝鮮側と米国側から伝わってくる情報に注目する必要がある。
平壌空港でバスから降りるリチャードソン前知事ら

Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcmsf
記念撮影をする一行

Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcms
今回の訪問については、米国務省定例記者会見でも数回話題に上がっているが、国務省側は今回の訪問があくまでも「私的な訪問」であり、米国政府は直接的関与はしていないという説明を繰り返している。しかし、彼らが12月に平壌訪問を計画した際に、ロケット発射との関連で彼らに訪問時期を変更するよう要請したということも認めている。また、今回の訪問についても国務省として「我々の方針からすれば、必ずしも最善の時期ではない」とし、「私的訪問ではあるが、彼ら(グーグル会長ら)は、我々(国務省)のこの時期の訪問が最適ではないという見解はは認識している」と述べている。
U.S. Department of State, Daily Press Briefing,
http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/01/202492.htm#NORTHKOREA
確かに、米国やオバマ新政権にとって1月は、安倍訪米が延期されるなど、忙しい時期であることは間違いない。この時期に、北朝鮮問題に深くコミットすることはできるだけ避けたいというのが本音であろう。特に、12月のロケット発射への制裁措置が、中国の反対で難航している中、米国が北朝鮮と直接対話をするということは、彼らにとっては外交的失敗を意味することにもなる。
今回のグーグル会長一行の訪問が、北朝鮮に逮捕抑留されている韓国系米国人の問題と関連があるのではないかという質問も定例記者会見で出されたが、国務省報道官はその問題はスウェーデン大使館に一任してあるので、今回の「政府関係者が同行しない私的な」訪問とは無関係であるという立場を貫いている。
一部報道では、今回の彼らの訪問は「核実験を思いとどまらせるため」とも報じているが、このタイミングで北朝鮮が核実験を敢えて実施する意味はあまりない。「核保有国」は憲法に書いてあるのだし、「宇宙を征服した衛星発射国」ということで金正恩さんには十分に箔が付いたのだから、核実験はもう少しとっておいてもよいはずである。もちろん、中国が今回のロケット発射に対して意外と甘い態度を取ったので、ついでに核実験もというパターンはあり得るが、そうだとしてもこのタイミングでの核実験の意味はあまりない。
そう考えると、今回のグーグル会長一行の訪朝は、金正恩体制に探りを入れるのが最大の目的ではないだろうか。北朝鮮とパイプのあるリチャードソン知事といかにも金正恩さんが関心を持ちそうな米国インターネット最大手会社の会長をペアにして平壌に派遣するということからもそれが伺える。北朝鮮がこれを契機に朝鮮人民にインターネット接続を許可するなどいう可能性は非常に低い(どこかの記事で、CSISのビクター・チャさんもそうコメントしていたというのを読んだが)。しかし、グーグルは北朝鮮が開発を進めている教育用タブレットPCのOSとして使われているアンドロイドを製作・提供している企業であることも忘れてはならない。北朝鮮の実質的な関心は、どちらかというとそちらにあるのかもしれない。
今回の訪朝が何日間で、誰と会うのかも伝えられていないが、北朝鮮側と米国側から伝わってくる情報に注目する必要がある。
平壌空港でバスから降りるリチャードソン前知事ら

Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcmsf
記念撮影をする一行

Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcms