「元帥様」のご健康を祝して、STAY HOME SPECIAL、撮影裏話 (2020年5月2日)
<追記>
動画について若干解説をしておく。
登場人物:
・南朝鮮に潜伏中の工作員YJ88: YJ88というコードネームを聞いて笑えれば、ディープな拙ブログの読者+α。「朝鮮芸術映画」には、「大同江」という工作員のコードネームが登場していた記憶がある。
・司令部HM1:かつて、HMAという電信(こちらは本物)を受信している様子を紹介したことがあるが、そこからのパクリ。「朝鮮芸術映画」では、司令部には「白頭山」というコードネームがしばしば用いられる。
HMA動画。この動画に登場するトランシーバーも、本動画撮影の裏で活躍している。
通信機:
・YJ88のスーツケース内にある通信機は、第二次大戦中、主として欧州のナチス占領地域で連合軍の諜報員やレジスタンス組織が使用したParaset(パラシュートでナチス占領地域に投下したことから、付けられた愛称とか)という通信機のレプリカ。レプリカの中古品を購入し、調整・整備した。Parasetを入れたスーツケースは、動画にも見られるように南朝鮮で80年代に購入したもの。
Parasetの本物。ただし、真空管の挿入位置が間違っている。
Source: Radiomuseum, https://www.radiomuseum.org/r/mil_gb_whaddon_radio_set_mk_vii_paraset.html
・米諜報機関が傍受に使った通信機は、米軍が第二次大戦から朝鮮戦争時期に使った周波数計BC-221AHのケースとバリコンなど一部の部品を使って、Parasetと基本的に同じ回路で組み立てたもの。日本軍の無線機はいじったことがないが、さすがに米軍というのか、この周波数計のパーツは非常に良くできている。特に、バリコンとバリコンのギアメカニズムの精度は素晴らしい。こんな通信機を使っている連中にはかなわないという感じだ。ま、朝鮮人民軍は「戦勝」したのだが。
Source: Radiomuseum, https://www.radiomuseum.org/r/military_frequency_meter_set_scr_2_17.html
Parasetは3MHz~7MHz帯、BC-221改造は7MHz~14MHz帯で送受が可能なトランシーバーになっている。アンテナを接続すると、アマチュア無線の微弱な信号も受信することができる。送信は上記の周波数帯内の任意の周波数に対応した水晶発振子を使えばできるはずである。
書いたついでに、最近見ていた「朝鮮中央TV」の通信兵チャン・ボンジンの生涯を紹介する番組の中に出てきた「戦勝記念館」に展示されている「司令部」が使っていたとされる通信機。
Source: KCTV, 2020/04/24
「首領様」の横に置かれている「1号」と書いてあるように見える通信機。
Source: KCTV, 2020/04/24
興味深いのは、下の命令書。
Source: KCTV, 2020/04/24
朝鮮戦争中の1951年3月4日に出された通信機配備に関する「朝鮮人民軍最高司令官命令」に、ソ連製無線機の型番が見られる。
「P6-M 無線機」と書かれているのは、短波用受信機。
Source: Radiomuseum, https://www.radiomuseum.org/r/military_flugfunkempfaenger_airborne_hf_receiver_rsi_6m_6.html
「A-7-A 無線機」と書かれているのは、超短波帯のFMトランシーバー。
Source: Radiomuseum, https://www.radiomuseum.org/r/military_a_7a_a7.html
「戦勝記念館」は昨年9月に行っているのだが、残念ながら無線関連の展示は見逃してしまった。「首領様」の横に置かれている無線機は、上記の2つではないのだが、まだ型番は確認できていない。女性通信隊員が送話器を手にしており、アンテナも短いので、A7シリーズ以外の超短波用のFMトランシーバーではないかと思われる。
最近、「防弾壁」が再放送されていたが、その中にオククン(主人公、女性工作員)の父親(工作員)の命令で同志が通信をするシーンがある。後で切り出してYouTubeにアップロードしようと思う。
このドラマには通信シーンが何回か出てくる。これは「第2部」より。