協同農場に見る新型コロナウィルス発生before & after、消えた農民、マスクが関係か (2020年3月16日 「朝鮮中央TV」)
16日、「朝鮮中央TV」で昨日書いた記事をバックアップするような番組が放送された。独立した2つの番組であるが、前半では2020年2月以降に撮影された撮影時を特定する字幕が出ない番組、後半は「2020年1月撮影」と字幕が出る番組である。異なる農場ではあるが、2月以降は登場する農民の数が激減していることがはっきりと分かる。
Source: KCTV, 2020/03/16
2月以降に撮影された農場番組は、堆肥生産の話題が中心であるが、下に見る写真のように堆肥をところどころに積み上げただけの状態になっている。

Source: KCTV, 2020/03/16
一方、1月に撮影された上とは異なる農場の畑を見ると耕されたように見える。

Source: KCTV, 2020/03/16
動画を見れば明らかなように、登場する農場員の数は2月と1月で全く異なっているし、「朝鮮中央TV」のウィルス感染予防宣伝番組が啓蒙しているように、人が集まる「学習」のような活動が中止されていることも分かる。
問題は、「義務化」されたマスクの供給が足らず、マスク着用ができていない農場員を見せたくないためなのか、集団で行う農作業が感染防止のために禁止されているのか、あるいは農場でコロナウィルス蔓延して農場員が作業不可の状態になっているのかであるが、これについてはよく分からない。
マスク未着用を疑わせるシーンがいくつかある。中でも分かりやすいのは、下の写真である。堆肥を運ぶトラックのサイドミラーにモザイクを入れている。「朝鮮中央TV」がモザイクを入れる理由は様々であるが、このモザイクはサイドミラーが破損しており、その部分を見せたくないということでなければ、運転手の顔を見せたくないということになる。マスク関係で考えると、マスク未着用の運転手の顔を見せたくないために、モザイクを入れている可能映画ある。

Source: KCTV, 2020/03/16
昨日、羅先のマスク工場を紹介したが、経済が地域パッケージとなっている北朝鮮では、当該地域にマスク工場がなければ、原則的にマスクは供給はない。マスクが日常的に使用されていない北朝鮮で、地域経済パッケージの中にマスク工場が含まれているとは考えにくく、番組に登場するマスクを着用した人々は番組スタッフから手渡されている可能性が高い。そんな中、手渡すのを忘れたマスク未着用の運転手がいたりするのではないだろうか。
だからといって、マスク供給がない地方の農場で新型コロナウィルス感染が拡大しているとも言いがたい。昨日、同テレビの『20時報道』の中で、「都市部で感染の拡大傾向が著しい」ということを外国の専門家の言葉を引用しながら紹介していた。北朝鮮における新型コロナウィルスの主要な流入元は中国人と考えられるが、国境閉鎖直前まで平壌には大量の中国人観光客が訪れていた。北朝鮮では、「平壌に絶対流入させないように」としているが、現実は「平壌から絶対に出さないように」ということなのかもしれない(だから、「元帥様」は平壌を離れて、地方の別荘で過ごしている可能性が高い)。逆に、中国人をはじめとした観光客が地方の農場に行く可能性はほとんどないし、また農民が平壌に行ったり、平壌の人が農場に行く可能性も低い。だとすると、農村地域での新型コロナウィルス感染は抑制されている可能性がある。相対的に栄養状態が悪い農村なので、こうしたことが今回の事態では幸いしているのかもしれない。
こうしたことからすると、「朝鮮中央TV」の農場紹介番組に農民があまり出てこないのは、単純にマスク不足が関係しているものと推測される。政治学習などどうでも良いが、新型コロナの影響で農場における共同作業ができない状態になっているとすると、今後の食料供給に大きな影響が出て、新型コロナ+食料不足という苦難行軍以上の深刻な事態になる。
Source: KCTV, 2020/03/16
2月以降に撮影された農場番組は、堆肥生産の話題が中心であるが、下に見る写真のように堆肥をところどころに積み上げただけの状態になっている。

Source: KCTV, 2020/03/16
一方、1月に撮影された上とは異なる農場の畑を見ると耕されたように見える。

Source: KCTV, 2020/03/16
動画を見れば明らかなように、登場する農場員の数は2月と1月で全く異なっているし、「朝鮮中央TV」のウィルス感染予防宣伝番組が啓蒙しているように、人が集まる「学習」のような活動が中止されていることも分かる。
問題は、「義務化」されたマスクの供給が足らず、マスク着用ができていない農場員を見せたくないためなのか、集団で行う農作業が感染防止のために禁止されているのか、あるいは農場でコロナウィルス蔓延して農場員が作業不可の状態になっているのかであるが、これについてはよく分からない。
マスク未着用を疑わせるシーンがいくつかある。中でも分かりやすいのは、下の写真である。堆肥を運ぶトラックのサイドミラーにモザイクを入れている。「朝鮮中央TV」がモザイクを入れる理由は様々であるが、このモザイクはサイドミラーが破損しており、その部分を見せたくないということでなければ、運転手の顔を見せたくないということになる。マスク関係で考えると、マスク未着用の運転手の顔を見せたくないために、モザイクを入れている可能映画ある。

Source: KCTV, 2020/03/16
昨日、羅先のマスク工場を紹介したが、経済が地域パッケージとなっている北朝鮮では、当該地域にマスク工場がなければ、原則的にマスクは供給はない。マスクが日常的に使用されていない北朝鮮で、地域経済パッケージの中にマスク工場が含まれているとは考えにくく、番組に登場するマスクを着用した人々は番組スタッフから手渡されている可能性が高い。そんな中、手渡すのを忘れたマスク未着用の運転手がいたりするのではないだろうか。
だからといって、マスク供給がない地方の農場で新型コロナウィルス感染が拡大しているとも言いがたい。昨日、同テレビの『20時報道』の中で、「都市部で感染の拡大傾向が著しい」ということを外国の専門家の言葉を引用しながら紹介していた。北朝鮮における新型コロナウィルスの主要な流入元は中国人と考えられるが、国境閉鎖直前まで平壌には大量の中国人観光客が訪れていた。北朝鮮では、「平壌に絶対流入させないように」としているが、現実は「平壌から絶対に出さないように」ということなのかもしれない(だから、「元帥様」は平壌を離れて、地方の別荘で過ごしている可能性が高い)。逆に、中国人をはじめとした観光客が地方の農場に行く可能性はほとんどないし、また農民が平壌に行ったり、平壌の人が農場に行く可能性も低い。だとすると、農村地域での新型コロナウィルス感染は抑制されている可能性がある。相対的に栄養状態が悪い農村なので、こうしたことが今回の事態では幸いしているのかもしれない。
こうしたことからすると、「朝鮮中央TV」の農場紹介番組に農民があまり出てこないのは、単純にマスク不足が関係しているものと推測される。政治学習などどうでも良いが、新型コロナの影響で農場における共同作業ができない状態になっているとすると、今後の食料供給に大きな影響が出て、新型コロナ+食料不足という苦難行軍以上の深刻な事態になる。