「<朝鮮記録映画>自力で勝利を轟かせる輝かしい歴史」、「新たな並進路線」→「経済建設総邁進」→「北極星-3」、「元帥様」の「不滅の大功績」、朝米対話 (2019年10月9日 「朝鮮中央TV」)
9日、「朝鮮中央TV」で久しぶりに新しい「朝鮮記録映画」が放送された。このところ、「新しく出た歌」も「朝鮮記録映画」も放送されない「朝鮮中央TV」ではあるが、拙ブログに書ききれないほど番組の形式や質が改善されている。特に「天気予報」には力を入れているようで、一月前ぐらい前に改善があった。
この「朝鮮記録映画」であるが、基本的には昨夜書いたように、「大元帥様達」を回顧しながら「自力更生に基づく社会主義建設」の正当性を強調する内容となっている。そのため、番組の前半では「大元帥様達」時代の映像が主に使われており、最初の「新しく出た朝鮮記録映画」アナウンスをを聞き逃すと、古い「朝鮮記録映画」の再放送かと思ってしまう。昨夜書いたように、私もこれが「新しく出た朝鮮記録映画」と気がついたのは、「北極星-3」が出たシーンからだった。
この「北極星-3」が出るシーンだが、扱いが「新たな並進路線」と「経済建設総邁進」で微妙に調整されおり、おもしろい。
「北極星-3」に至る部分を「映画」の順序どおりに見ていくと、まず「2018年4月全員会議」が紹介される。

Source: KCTV, 2019/10/08
このシーンでのアナウンスは、
***********
我が党の自力更生路線の正当性と、その不敗の生活力が確証され、社会主義経済建設の新たな戦略的路線が提示された歴史的な党中央委員会2018年4月全員会議
***********
としており、この会議で「元帥様」は「我が党の並進路線が偉大な勝利として結束されたように、経済建設に総力を集中させるという、新たな戦略的路線も必ず勝利すると言われながら、皆、我々の革命の勝利的前進を完成するため、勇気百倍で力強く戦おうと訴え」ている。
ところが、次のシーンでは「朝鮮労働党中央委員会2013年3月全員会議」に戻っていく。

Source: KCTV, 2019/10/08
このシーンでのアナウンスは、
***********
振り返れば、我が党の新たな並進路線は、我々の発展方式で自分の道を堂々と切り開いていく透徹した自主路線、我々の力で我々の生活を守り、後生万代の繁栄を確固として保障できるようにする、最も徹底した自力更生の革命路線でした。
***********
続けて、「元帥様」の軍事部門「現地指導」の映像を使いながら

Source: KCTV, 2019/10/08
*******
国の自主権と安全、人民の幸福な未来は、強力な自衛的軍事力によってのみ保障される確固たる信条を抱かれ
*******
た「元帥様」が「並進の道」で開発を「指導」した各種ミサイルが紹介される。ナレーションは、軍需工業も「自立的で自主的」な「自力更生」で発展したというところに重点が置かれており、その結果
************
我が祖国は最強の国家防衛力を持った不敗の軍事強国として台頭しました
***********
と続く。
「11月大事変、大陸間弾道ロケット<火星-15>型試験発射大成功、主体106(2017)年11月29日」

Source: KCTV, 2019/10/08
この「火星-15」の「大成功」こそが、「国家核武力完成」の根拠となり、その「完成」の上に立って「経済建設総邁進」路線へと転換していく。
ここで終わっていれば、これまで語られてきた「国家核武力完成」へのストーリーとなるのだが、この後に2019年にあったミサイル発射の紹介が続く。
「敬愛する最高領導者金正恩同志、新型大口径操縦放射砲試験射撃を再び指導された」

Source: KCTV, 2019/10/08
このシーンでのナレーションは、
********
半万年の民族史に我が共和国の歴史にこれまでなかったこの輝かしい大勝利(複数)は、敬愛する最高領導者同志の特出した自主思想と信念の勝利、自力更生路線の偉大な勝利であり、想像できない元帥様の犠牲的で涙がにじむ千万苦労と交換した高貴な結晶体です。
********
そして、「北極星-3」発射成功を報じる『労働新聞』の写真が出る。
「自衛的国防力強化の一大事変、朝鮮民主主義人民共和国国防科学院、新型の潜水艦弾道弾<北極星-3>型試験発射に成功』

Source: KCTV, 2019/10/08
***********
宇宙に飛び上がった我々の国力を誇示する特大事変。後生万代がいつまでの記憶する民族の歓喜、民族的大慶事。不屈の愛国献身と精力的な領導で神話的な事変を英雄的なと闘争史として刻まれる高敞な時代を切り開かれ、我が祖国をこの地球の頂上に玉石不動に昇らせて下さり、世界が主体朝鮮、偉大な朝鮮労働党を仰ぎ見るようにされたことは、絶世の愛国者、万古の英雄、金正恩同志だけがもたらせる不滅の大功績です。
***********
と「元帥様」を絶賛する。
ところが、このシーンで紹介される写真は「北極星-3」発射成功の時の写真ではなく、「超大型放射砲」発射の時の写真である。

Source: KCTV, 2019/10/08
「北極星-3」の発射実験には、「元帥様」は立ち会わなかったことになっているので、この写真を使わざる得ないのであろうが、なかなか苦しい編集となっている。過去記事にも書いたように、甲板の上に立って「北極星-3」発射を見上げる「元帥様」の写真でも使えば、「絶世の愛国者、万古の英雄、金正恩同志だけがもたらせる不滅の大功績」をさらにはっきり強調することができたことであろう。
そして、再び「2018年4月全員会議」の映像が出され、次のようなナレーションが入る。
**********
敬愛する最高領導者同志は、並進路線の偉大な勝利に基づき、社会主義経済建設に総力を集中することについての新たな戦略的路線を提示されました。
**********
そして、経済部門で達成された成果を紹介する部分へと移行していく。
つまり、2018年4月に「社会主義経済建設に総力を集中」することを宣言した後、2019年に行った「北極星-3」を含む各種のミサイル発射実験は、「新たな並進路線」の延長線上にあったような扱いになっているのである。そもそも「北極星-3」までが「新たな並進路線」の計画に含まれていたと言えばそれまでであるが、「国家核武力」は「完成」したのだから、その説明も成り立たない。
「経済建設総邁進」路線を少なくとも現時点では「新たな路線」へと変更していない証拠ではあるが、「元帥様」が宣言したように「12月末まで」に朝米関係の改善が見られなければ、再び核・ミサイルをさらに強化する「新たな路線」への転換をはかる可能性を示唆する「北極星-3」の発射だったのだろう。
ともあれ、この「朝鮮記録映画」でも苦しい編集になってしまったとおり、「元帥様」が「北極星-3」の発射に立ち会わなかったことになっている点からすれば、直後に朝米実務協議があったことも含め、北朝鮮としては米国との対話を継続し、「12月末」までには何らかの結果を出すことを望んでいるのであろう。
当面、明日、10日の「労働党創建記念日」に「元帥様」が何らかのメッセージを出すのかが注目される。
この「朝鮮記録映画」であるが、基本的には昨夜書いたように、「大元帥様達」を回顧しながら「自力更生に基づく社会主義建設」の正当性を強調する内容となっている。そのため、番組の前半では「大元帥様達」時代の映像が主に使われており、最初の「新しく出た朝鮮記録映画」アナウンスをを聞き逃すと、古い「朝鮮記録映画」の再放送かと思ってしまう。昨夜書いたように、私もこれが「新しく出た朝鮮記録映画」と気がついたのは、「北極星-3」が出たシーンからだった。
この「北極星-3」が出るシーンだが、扱いが「新たな並進路線」と「経済建設総邁進」で微妙に調整されおり、おもしろい。
「北極星-3」に至る部分を「映画」の順序どおりに見ていくと、まず「2018年4月全員会議」が紹介される。

Source: KCTV, 2019/10/08
このシーンでのアナウンスは、
***********
我が党の自力更生路線の正当性と、その不敗の生活力が確証され、社会主義経済建設の新たな戦略的路線が提示された歴史的な党中央委員会2018年4月全員会議
***********
としており、この会議で「元帥様」は「我が党の並進路線が偉大な勝利として結束されたように、経済建設に総力を集中させるという、新たな戦略的路線も必ず勝利すると言われながら、皆、我々の革命の勝利的前進を完成するため、勇気百倍で力強く戦おうと訴え」ている。
ところが、次のシーンでは「朝鮮労働党中央委員会2013年3月全員会議」に戻っていく。

Source: KCTV, 2019/10/08
このシーンでのアナウンスは、
***********
振り返れば、我が党の新たな並進路線は、我々の発展方式で自分の道を堂々と切り開いていく透徹した自主路線、我々の力で我々の生活を守り、後生万代の繁栄を確固として保障できるようにする、最も徹底した自力更生の革命路線でした。
***********
続けて、「元帥様」の軍事部門「現地指導」の映像を使いながら

Source: KCTV, 2019/10/08
*******
国の自主権と安全、人民の幸福な未来は、強力な自衛的軍事力によってのみ保障される確固たる信条を抱かれ
*******
た「元帥様」が「並進の道」で開発を「指導」した各種ミサイルが紹介される。ナレーションは、軍需工業も「自立的で自主的」な「自力更生」で発展したというところに重点が置かれており、その結果
************
我が祖国は最強の国家防衛力を持った不敗の軍事強国として台頭しました
***********
と続く。
「11月大事変、大陸間弾道ロケット<火星-15>型試験発射大成功、主体106(2017)年11月29日」

Source: KCTV, 2019/10/08
この「火星-15」の「大成功」こそが、「国家核武力完成」の根拠となり、その「完成」の上に立って「経済建設総邁進」路線へと転換していく。
ここで終わっていれば、これまで語られてきた「国家核武力完成」へのストーリーとなるのだが、この後に2019年にあったミサイル発射の紹介が続く。
「敬愛する最高領導者金正恩同志、新型大口径操縦放射砲試験射撃を再び指導された」

Source: KCTV, 2019/10/08
このシーンでのナレーションは、
********
半万年の民族史に我が共和国の歴史にこれまでなかったこの輝かしい大勝利(複数)は、敬愛する最高領導者同志の特出した自主思想と信念の勝利、自力更生路線の偉大な勝利であり、想像できない元帥様の犠牲的で涙がにじむ千万苦労と交換した高貴な結晶体です。
********
そして、「北極星-3」発射成功を報じる『労働新聞』の写真が出る。
「自衛的国防力強化の一大事変、朝鮮民主主義人民共和国国防科学院、新型の潜水艦弾道弾<北極星-3>型試験発射に成功』

Source: KCTV, 2019/10/08
***********
宇宙に飛び上がった我々の国力を誇示する特大事変。後生万代がいつまでの記憶する民族の歓喜、民族的大慶事。不屈の愛国献身と精力的な領導で神話的な事変を英雄的なと闘争史として刻まれる高敞な時代を切り開かれ、我が祖国をこの地球の頂上に玉石不動に昇らせて下さり、世界が主体朝鮮、偉大な朝鮮労働党を仰ぎ見るようにされたことは、絶世の愛国者、万古の英雄、金正恩同志だけがもたらせる不滅の大功績です。
***********
と「元帥様」を絶賛する。
ところが、このシーンで紹介される写真は「北極星-3」発射成功の時の写真ではなく、「超大型放射砲」発射の時の写真である。

Source: KCTV, 2019/10/08
「北極星-3」の発射実験には、「元帥様」は立ち会わなかったことになっているので、この写真を使わざる得ないのであろうが、なかなか苦しい編集となっている。過去記事にも書いたように、甲板の上に立って「北極星-3」発射を見上げる「元帥様」の写真でも使えば、「絶世の愛国者、万古の英雄、金正恩同志だけがもたらせる不滅の大功績」をさらにはっきり強調することができたことであろう。
そして、再び「2018年4月全員会議」の映像が出され、次のようなナレーションが入る。
**********
敬愛する最高領導者同志は、並進路線の偉大な勝利に基づき、社会主義経済建設に総力を集中することについての新たな戦略的路線を提示されました。
**********
そして、経済部門で達成された成果を紹介する部分へと移行していく。
つまり、2018年4月に「社会主義経済建設に総力を集中」することを宣言した後、2019年に行った「北極星-3」を含む各種のミサイル発射実験は、「新たな並進路線」の延長線上にあったような扱いになっているのである。そもそも「北極星-3」までが「新たな並進路線」の計画に含まれていたと言えばそれまでであるが、「国家核武力」は「完成」したのだから、その説明も成り立たない。
「経済建設総邁進」路線を少なくとも現時点では「新たな路線」へと変更していない証拠ではあるが、「元帥様」が宣言したように「12月末まで」に朝米関係の改善が見られなければ、再び核・ミサイルをさらに強化する「新たな路線」への転換をはかる可能性を示唆する「北極星-3」の発射だったのだろう。
ともあれ、この「朝鮮記録映画」でも苦しい編集になってしまったとおり、「元帥様」が「北極星-3」の発射に立ち会わなかったことになっている点からすれば、直後に朝米実務協議があったことも含め、北朝鮮としては米国との対話を継続し、「12月末」までには何らかの結果を出すことを望んでいるのであろう。
当面、明日、10日の「労働党創建記念日」に「元帥様」が何らかのメッセージを出すのかが注目される。