最高人民会議第14期第2回会議「朝鮮民主主義人民共和国国務委員長法的地位」変更、「唯一的指導体制」強化、波を打ち砕く「元帥様」が布石、「第1副部長同志」とチョ・ヨンウォンもまとめて権力強化か (2019年8月29日 「朝鮮中央TV」)
日本語字幕付き。
Source: KCTV, 2019/08/29
最高人民会議第14期第2回会議には、「元帥様」は参席しなかった。最も重要な点は以下。
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社会主義憲法第6章、国家機構で、国家機関の権能と関連した問題を一部修正補充することについて(崔龍海)は言及しました。
彼は、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長の法的地位と権能に関連し、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長は、全ての朝鮮人民の総意により最高人民会議で選挙し、最高人民会議代議員としては選挙しないという内容を新たな条文として規定することで、名実ともに全ての朝鮮人民の一致した意思と願いにより推戴される我が党と国家、武力の最高領導者であることが法的に固着されたことについて述べました。
これは、敬愛する最高領導者金正恩同志を領導の中心、団結の中心として高く支え、敬愛する最高領導者同志の領導に従い主体革命偉業、社会主義強国建設を最後まで完成していく我々人民の一致した意志と念願の崇高な反映となり、金日成、金正日朝鮮の隆盛繁栄を保証する万年体系の基礎を作る画期的な措置となると彼は強調しました。
朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長の任務と権限について、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長は、最高人民会議法令、国務委員会の重要政令と決定を公布するという内容と外国に駐在する外交代表を任命あるいは送還するという内容を新たに補充することについて言及しました。
そして、我が国を代表する朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長の地位がさらに堅固になり、国家事業全般に対する敬愛する最高領導者同志の唯一的領導を確固として保障できるようになったことについて強調しました。

Source: KCTV, 2019/08/29
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「唯一的領導体制」強化を内容としているが、「強化」することで何がしたいのかは明らかにされず、外交に関する言及もなかった。しかし、「超大型放射砲発射試験成功」と「先頭に立って波を打ち砕かれながら進む最高領導者同志」が今回の「最高人民会議」の布石であったことは明らかで、そうした衝撃的な写真を人民に提示した上で、「唯一的指導体制」強化出してきたのであろう。
朝米、北南対話が進展していた2018年から2019年前半にかけて、北朝鮮は短距離も含めてミサイル発射をしなかったが、その後、連発でミサイル発射をしているのは、「南朝鮮当局者韓米合同軍事演習を強行」しているだけではなく、さらにステルス戦闘機などの戦略資産を「南朝鮮に持ち込んでいる」状況の中で、国内的、とりわけ軍部から不満の声が出ており、その不満に応じた対応であるのと同時に、軍部に対する「最高司令官」としての統率力をさらに強化するために、今回の決定をしているものと考えられる。
しかしこれは、対話路線から対立路線へとシフトしたことを意味するのではなく、「最高領導者」としての「唯一的指導体制」を確認、強化した上で、軍部に文句を言わせない強力なイニシアティブを発揮し、朝米交渉に臨む国内的地ならしとみるべきである。
主要な参加者としてアナウンスこそされなかったが、崔ソンフィ第1副外相が登壇していた点もその意味からは重要である。

Source: KCTV, 2019/08/29
<追記>
今、『労働新聞』の関連記事を全訳しながら思ったのだが、「第1副部長同志」がこの場にいないことと、「元帥様」の「超大型放射砲射撃試験」という軍事的な「現地指導」に彼女が同行したこととの関連も注目しておく必要がある。つまり、今回の最高人民会議で「元帥様」の指導体制は強化されることになったのだが、その活躍の最も注目される事例としての「超大型放射砲射撃試験」に彼女が同行させているのは、「元帥様」と同時に彼女の権限の強化に繋がっていると解釈できる。拙ブログでずっと注目しているチョ・ヨンウォンも「元帥様」に同行していたが、今回の最高人民会議には出席していない。そうしたことからすると、チョ・ヨンウォンに対しても同様のことが言えるのではないか。
Source: KCTV, 2019/08/29
最高人民会議第14期第2回会議には、「元帥様」は参席しなかった。最も重要な点は以下。
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社会主義憲法第6章、国家機構で、国家機関の権能と関連した問題を一部修正補充することについて(崔龍海)は言及しました。
彼は、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長の法的地位と権能に関連し、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長は、全ての朝鮮人民の総意により最高人民会議で選挙し、最高人民会議代議員としては選挙しないという内容を新たな条文として規定することで、名実ともに全ての朝鮮人民の一致した意思と願いにより推戴される我が党と国家、武力の最高領導者であることが法的に固着されたことについて述べました。
これは、敬愛する最高領導者金正恩同志を領導の中心、団結の中心として高く支え、敬愛する最高領導者同志の領導に従い主体革命偉業、社会主義強国建設を最後まで完成していく我々人民の一致した意志と念願の崇高な反映となり、金日成、金正日朝鮮の隆盛繁栄を保証する万年体系の基礎を作る画期的な措置となると彼は強調しました。
朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長の任務と権限について、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長は、最高人民会議法令、国務委員会の重要政令と決定を公布するという内容と外国に駐在する外交代表を任命あるいは送還するという内容を新たに補充することについて言及しました。
そして、我が国を代表する朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長の地位がさらに堅固になり、国家事業全般に対する敬愛する最高領導者同志の唯一的領導を確固として保障できるようになったことについて強調しました。

Source: KCTV, 2019/08/29
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「唯一的領導体制」強化を内容としているが、「強化」することで何がしたいのかは明らかにされず、外交に関する言及もなかった。しかし、「超大型放射砲発射試験成功」と「先頭に立って波を打ち砕かれながら進む最高領導者同志」が今回の「最高人民会議」の布石であったことは明らかで、そうした衝撃的な写真を人民に提示した上で、「唯一的指導体制」強化出してきたのであろう。
朝米、北南対話が進展していた2018年から2019年前半にかけて、北朝鮮は短距離も含めてミサイル発射をしなかったが、その後、連発でミサイル発射をしているのは、「南朝鮮当局者韓米合同軍事演習を強行」しているだけではなく、さらにステルス戦闘機などの戦略資産を「南朝鮮に持ち込んでいる」状況の中で、国内的、とりわけ軍部から不満の声が出ており、その不満に応じた対応であるのと同時に、軍部に対する「最高司令官」としての統率力をさらに強化するために、今回の決定をしているものと考えられる。
しかしこれは、対話路線から対立路線へとシフトしたことを意味するのではなく、「最高領導者」としての「唯一的指導体制」を確認、強化した上で、軍部に文句を言わせない強力なイニシアティブを発揮し、朝米交渉に臨む国内的地ならしとみるべきである。
主要な参加者としてアナウンスこそされなかったが、崔ソンフィ第1副外相が登壇していた点もその意味からは重要である。

Source: KCTV, 2019/08/29
<追記>
今、『労働新聞』の関連記事を全訳しながら思ったのだが、「第1副部長同志」がこの場にいないことと、「元帥様」の「超大型放射砲射撃試験」という軍事的な「現地指導」に彼女が同行したこととの関連も注目しておく必要がある。つまり、今回の最高人民会議で「元帥様」の指導体制は強化されることになったのだが、その活躍の最も注目される事例としての「超大型放射砲射撃試験」に彼女が同行させているのは、「元帥様」と同時に彼女の権限の強化に繋がっていると解釈できる。拙ブログでずっと注目しているチョ・ヨンウォンも「元帥様」に同行していたが、今回の最高人民会議には出席していない。そうしたことからすると、チョ・ヨンウォンに対しても同様のことが言えるのではないか。