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    「20時報道」:ソフトウェア開発、子供健康の日 (2012年11月20日 「朝鮮中央TV」)

    昨夜の「20時報道」では、ピヒョン国土管理専門学校の様子が紹介されている。この学校では、住宅、河川、道路、橋梁管理などを学ぶための実習機材が備えられており、学生たちが実践的な学習をしていると紹介している。なので、この学校の学生は、過去記事でも紹介した、「全国教育部門プログラム展示会」などで優秀な成績を収めているとのことである。学生たちが勉強をする場面の映像の中で、ソフトウェア制作について教えているような場面が映し出された。

    「技術的特性」を説明する教員
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-20-16.flv

    何の「技術的特性」なのか分からないが、ウェブ・ブラウザ上で動作するアプリケーションのような気がする。そうだとしておもしろいのは、その動作環境である。

    装置(動作)環境:ペンティアムⅢ以上、操作体系(対応OSとブラウザ):「赤い星(プルグンピョル)」1.1,2.0、windows XP、開発ツール:eclipse 3.2、作成言語:Java

    とスライド(か動画)には書かれている。ペンティアムⅢは1999年から2003年まで生産されたCPUであるが、日本ではこのCPUが使用されたPCはほとんど姿を消したのではないだろうか。ヤフオクの出品状況を見ても、Pentium4搭載のPCこそ廉価で出品されているが、Pentium3のPCはほとんどない。日本でソフトウェア開発をする際に、何世代前のCPUで動作することを前提にするのが標準的なのかざっと調べたが、直ぐに答えは見つからなかった。そのため、北朝鮮と直接的な比較はできないが、忖度するに、北朝鮮の学校で使われているPCは中国から持ち込まれた比較的古いPCなので、動作を保証するためにはPentium3辺りを最低レベルに設定しておく必要があるのであろう。時々、「20時報道」でも地方の学校に寄贈される物品が紹介され、その中にPCもあるが、かなり古いもののように見える。

    対応OSとブラウザであるが、WindowsXPはよいとし(私も依然としてXPユーザーなので)、ブラウザがおもしろい。そもそもこれ、勝手にブラウザと決めつけたのだが、Javaを開発言語として用いていることなどからして、そうではないかという想像である(技術的な根拠は全くない)。ブラウザということを前提に話を進めれば、「赤い星」というのは北朝鮮が開発したブラウザなのであろうか。過去記事やコメントでも話題になった、「文化語(北朝鮮標準語)」と「韓国標準語」の違いから来る表記や入力方法の違いに対応したブラウザということ以外にどのような点が標準ブラウザと異なるのかを知りたい。

    開発ツールのEclipse 3.2は、Wikipediaで調べてみると、オープンソースと書かれている。ただし、最新バージョンは4.2のようで、3.2というのは2006年に公開されたときのバージョンのようだ。なぜ、最新バージョンを使わないのか分からないが、開発環境における動作環境(開発用PCの性能)と関連があるのかもしれない。

    北朝鮮のPC環境が垣間見える報道でおもしろかった。

    11月20日は「子供健康の日」ということで、「金正淑託児所」で外交関係者や国際機関関係者などを招いて子供たちにビタミンAと抗寄生虫薬の投与が行われた。

    ビタミンAなどを投与される子供たち
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-20-16.flv

    報道の中では、国家衛生検閲院院長の朴ミョンスさんが「我が国では1997年の民族免疫の日から小児麻痺根絶活動をはじめとした、子供に発症する天然病を予防するためのこの事業に国家的な関心を寄せ、毎年春と秋2回、全国的に子供に予防薬を投与する事業を展開してきた」と語っている。「検疫」と言わずに「衛生検閲」と言っているところが、北朝鮮らしい。

    国立衛生検閲院院長の朴ミョンスさん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-20-16.flv

    UNICEF関係者も視察に招かれていたので、UNICEFのHPに何か情報がないか調べてみたらあった。それによると、確かに1997年から北朝鮮では「子供健康の日」が設けられ、6から59ヶ月までの子供たちの95%にこの事業による栄養供与が行き渡ったとのことである。また、朴院長が言うようにそもそもこの日は「民族免疫の日」であったのだが、1999年から6ヶ月から5才の子供たちにビタミンAを投与するようになり、全ての子供が2回の投与を受けられるようにするために、5月と秋(10月または11月)にビタミンA投与を実施しているという。そして、2001年からは事業内容が拡大され、2才から5才の子供に抗寄生虫薬の投与も始まったという。

    こちらでは白い粉薬をスプーンで飲ませているが、こちらが抗寄生虫薬であろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-20-16.flv

    UNICEFのHPを読んで驚いたのは、北朝鮮が苦しい財政状態にもかかわらず、この事業を独自の予算で展開しているということである。UNICEFはリーフレットを提供する程度のことしかやっていないということである。ただし、これは人的資源についてだけのようで、下で紹介するUNICEF関係者の話からも分かるように、ビタミン剤などはUNICEFなどが提供している。無償動員が常態化している北朝鮮では、この部分のコストを無視することができるのはある意味当然である。

    UNICEFの協力で作られたパンフレット。パンフレットには「咳をしたり風邪を引いた子供は体を暖め、十分な食べ物と水分を摂取させなければ成りません」と書かれている。問題は、「体を暖める」ための暖房用燃料や衣料、「十分な食べ物」が供給されているのかということである。「べき」だけでは何の意味もない。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-20-16.flv

    このパンフレットで「咳や風邪」への対策が強調されているのは、北朝鮮では肺炎による幼児死亡率が高いからであるとUNICEF関係者は説明をしている。報道では、この部分はUNICEF関係者の英語での話を字幕で紹介しているが、その食い違いがおもしろい。

    UNICEF副代表ベレリー・タロンさん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-20-16.flv

    タロンさんの言葉
    「(pneumonia) is one of the biggest killer(ママ)in the children under 5 in the DPRK. It kills 17% of children under five.」(北朝鮮では、5才未満の子供の最も多い死亡原因の一つが肺炎です。肺炎は、5才未満の子供の死亡原因の17%に達しています。)

    「朝鮮中央TV」の字幕
    「今年の子供の日の主題は、5才未満の子供たちの中で死亡率が高い疾病である気管支炎と肺炎を予防しようということです。」

    上で示したように、タロンさんがいう17%という数字は朝鮮語に訳されていない。ちなみに日本の厚労省の資料(平成21年度)によると、肺炎は1~4才の子供の死亡原因の第5位で4.8%となっているので、やはり北朝鮮の17%という数字はかなり高いということになるのであろう。現状では、こうした人工的な栄養投与も必要であるが、何よりも食料供給を正常化させることが重要である。

    UNICEF関連ページ:National child health days
    http://www.unicef.org/dprk/nutrition_159.html

    厚労省ページ:「死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」
    http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/deth8.html

    この日の「20時報道」を見ていて気がついたのだが、番組冒頭の金正恩関連報道が終わり、別のアナウンサーに引き継がれる際に読み上げられるスローガンが1つになっている。かつては、指導者関連報道を読み上げたアナウンサーが1つ、引き継ぐアナウンサーが1つと2つのスローガンが読まれていたが、いつからかそれが1つになってしまった。10月20日まで遡ってみたが、この時点では既に1つだった。こんな話は過去記事に書いたのかもしれないが、スローガンよりもより多くの情報を人民に提供しようという試みなのであろうか。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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