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    「[総合編集]『お母さんの幸せは何ですか?』」(2012年11月16日 「朝鮮中央TV」)

    母の日にはたくさんの母の日特集が放送されたようだ。「第4次全国お母さん大会」の様子を伝える動画も配信されている。この大会には、金永南、崔龍海さんなど、重鎮は出席しているが、金正恩さんは出席しなかった。また、労働党を代表して金己南さんが長い演説を行った。この演説に何か金正恩さんからのメッセージが込められているかもしれないが、まだ聞いていない。

    「20時報道」でも、母の日関連の特集が組まれており、各地で行われた行事が紹介された。では、順を追って紹介していくことにする。

    まず、表題の番組であるが、朝鮮人民の生活を垣間見ることができてなかなかおもしろい。

    「私のお母さんのキッスが一番いい」と歌う金スンボクさんの子供
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-16-28.flv

    歌自体は、全く政治性や思想性がない子供の歌である。おもしろいのは、「一番いい」という部分で金正恩さんがモランボン公演でやったように親指を立てていることである。このジェスチャーは、金正恩さんがやって北朝鮮で流行しだしたのか、それとも彼がやるまえから北朝鮮で一般的に行われていたのであろうか。日本では、数を数えるときに人差し指から1、2、3と数える(鮮魚市場などでは、そうしていないという話を聞いたことがある)。韓国ではどうしていたか忘れてしまったが、親指が1だったような気もする。だとすると、金正恩さんの「スイス留学」の経験から言われるようなNo.1ということではなく、ただの一番なのかもしれない。ちなみに「キッス」と訳したが、母親が子供の顔などに口づけをする行為で、こちらも最近西洋から来たものではない(その昔、キリスト教宣教師が持ち込んだかどうかは分からない)。

    この少年の家には、おもしろいものがあった。

    背景の白い箱(冷蔵庫)のシールか絵柄に紙をかぶせて何かを隠している
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-16-28.flv

    冷蔵庫だと思うが、家庭用というよりは、ジュースやアイスクリームを入れて商店に置いてある冷蔵庫のようだ。そこに描かれている絵は、清涼飲料水のように見えるが、なぜ紙を買って商品名と思われる部分を隠してしまったのであろうか。朝鮮語で何か書かれているのであれば、隠す必要もないと思うが、紙の上にぼやけているがはみ出している青い文字は漢字のように見える。もしかすると、中国から持ち込んだ中古品なので、大きく書かれている漢字を紙で隠してしまったのかもしれない。かつて国際商品展示会で中国製の家庭用冷蔵庫に関心を示す朝鮮人民の姿を紹介したことがあるが、北朝鮮では冷蔵庫は生産していないのであろうか。平壌で訪れた楽園百貨店には冷蔵庫も置いてあったような記憶があるが、どこ製なのか確認はしなかった。冷蔵庫自体、冷やすだけであればそんなに高い技術を要するものではないので、北朝鮮でも技術的にはできそうな気はするのだが。朝鮮人民は、一部の階層を除いて、日々食するものを購入してその日に消費してしまうので、冷蔵庫などいらないのかもしれない。日本とて、60年代に白物家電である「三種の神器」が普及するまでは、そういう生活を送っていたのだから(アイスボックスはあったにせよである)。

    万景台地区に住む金タンシルさん(90才)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-16-28.flv

    上の写真の金タンシルさんは、子宝に恵まれたおばあさんである。北朝鮮では母の日と関連させ「子供をたくさん産んで育てたお母さん」を評価している。一般的にもたくさんの子供を産み育てる母親のその苦労は並大抵のものではないが、北朝鮮のように食料事情が良くない国でたくさんの子供を育てるということは大変なことであろう。

    金タンシルさんには「息子・娘12名(息子10名、娘2名)、孫61名」がいる。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-16-28.flv

    日本でも日中戦争から太平洋戦争に至る過程で戦争のための人的資源を確保するために「産めよ殖やせよ」という政策をとった。北朝鮮が戦争のために「産めよ殖やせよ」を奨励しているとまでは言わないにせよ、やはり人口は国力を示す一つの指標となるので、韓国の半分の人口しか擁しない北朝鮮としては、もっと人口を増やしたいのであろう。だとしても、人は空気だけでは育たない。そのためにも、人民にきちんと食料を供給できる体制を整えていくことが重要である。

    子供が4人おり、うち3人が三つ子というベク・キョンオクさん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-16-28.flv

    それとの関連で、上の写真のベク・キョンオクさんの話がおもしろい。ベクさんには子供が4人おり、うち3人が三つ子ということである。

    ベクさんの三つ子の子供たち
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-16-28.flv

    この子供たちは「苦難の行軍」の時期に生まれたということで、ベクさんはこの子たちのためにミルクや米を贈ってくれた金正日さんに捧げる感謝の詩を朗読している。この子たちは、無事成長して立派な人民軍人になったとのことである。この子たちが無事成長したことは良いことであるが、金正日さんの恩恵を被ることができず、というかむしろ彼の失政(異常気象への対応ができなかったことも含めて)のために栄養失調で死んでしまった子供たち、そして今もたくさんいる慢性的栄養失調の子供たちを救う努力を直ちに始めなければならないということは、何回強調しても強調しすぎることはない(北朝鮮に対してだけではなく、国際社会に対してでもある)。

    栄養失調の子供たちのための援助団体が協力を求める吊り広告が電車の中にぶら下がっている。そこには目をぎょろぎょろさせた子供たちの写真が大きく掲載されているが、南アジアやアフリカの子供たちのようである。確かに、一般的な認識も、そして現実も南アジアやアフリカでは貧困が大きな問題となっている。その系からすれば、こうした子供たちの写真を載せることで国民に協力を求めることは良いことだと思う。しかし忘れてはならないのは、私たちの隣国に、そうした栄養支援が必要な子供たちがいるということである。北朝鮮が「悪い」国であろうが、「核・ミサイル開発」国であろうが、「今」栄養を必要としている子供たちとは何の関係ないと思うのだがどうだろうか。厳しい経済制裁で政権を締め上げ、政策転換を求めたり、政権の転覆を企図するのも良いが、それがうまくいかない間に多くの子供の命が失われている現実も忘れてはならない。

    デソン区域に住む上下水道管理所労働者、オ・チョオクさん(左の女性)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-16-28.flv

    上の写真のオ・チョンオクさんには、40人の子供がいる。しかし、自分の子供は1人だけで、残りの39人は孤児だという。

    他の子供が書いた日記を朗読する自分の息子と孤児の女の子
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-16-28.flv

    オさんが育てた孤児たちとその家族
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-16-28.flv

    この話を聞いたときは、この人は孤児院でもやっているのかと思ったのだが、どうやらそうではなく、少数の孤児を預かって順次育ててきたようだ。上の写真の背景に映っているのが、オさんが育てた孤児とその家族だと思う。

    オさんが育てた孤児たちの写真
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-16-28.flv

    上下水道管理所の労働者が多くの孤児を育てたというのは立派なことである。オさんによれば「国が全部面倒を見てくれので、父母がいない子供がいても心配はない。しかし、父母がいない子供のことを考えると心が痛み39人を育てた」とのことである。「国が全部面倒を見てくれ」るというのは誇張であろうが、この話、北朝鮮の配給システムとの関連で興味深い部分はある。

    オさんの部屋には、金日成さんと金正日さんの乗馬している様子を書いた絵が掛けられていた。この絵は、初めて見たような気がする。

    金日成・金正日さんが乗馬する絵
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-16-28.flv

    「20時報道」の話もこちらに書こうと思ったが、長くなったので別記事とする。

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    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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