「国家体育指導委員会委員長が日本の猪木ゲノム連合株式会社会長一行と日本体育大学代表団の主要メンバーと会見した」(2012年11月15日 「朝鮮中央通信」)
猪木さん一行の動向について、北朝鮮メディアは実に詳細に伝えている。やはり北朝鮮は、単純なスポーツ交流以上の何かを猪木さんに期待しているようだ。昨夜の「20時報道」では、まず、万寿台の金日成・金正日銅像に花輪を捧げる猪木さん一行が紹介された。
金日成・金正日銅像に花輪を捧げる猪木さん一行
Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-14-16.flv
銅像に花輪を捧げて頭を下げることに抵抗を感じる向きもあるが、北朝鮮とつきあうための通過儀礼としてはあってしかりだと思う。猪木さん一行の訪問は、詳細は後述するが、米国流に言えばTrack1.5に位置づけられる。つまり、非公式と公式の中間である。政治家であれば、その政治的信念と「拉致を指示した当人に頭を下げるとは」という(主として日本の国内政治に利用するための)非難を恐れて通過儀礼を避けようとすることもあろうが、現在は民間人である猪木さんは、この点について実にフレキシブルなのであろう。日朝間に横たわる日朝平壌宣言にも記された「懸案事項」を解決するという目的を達成するためには、このようなフレキシブルな姿勢も必要だと考える。
続いて「20時報道」では、続いて「国家体育指導委員会」の委員長である張成沢さんが猪木さん一行と会見したということを映像なしで伝えている。この模様は、表題にしたように「朝鮮中央通信」が配信している。
国家体育指導委員会委員長の張成沢さんと会談する猪木さんと松浪日体大理事
Source: KCNA, http://www.kcna.kp/
実は、「国家体育指導委員会」の重要性は、コメントを頂くまで見過ごしていた。11月4日に朝鮮労働党中央委員会拡大会議が開催され「国家体育指導委員会」が組織されたというところまでは認識していたのであるが、9月の最高人民会議で出てきたのが「12年生義務教育実施」だけであったということもあり、なぜ拡大会議まで開催して「体育指導委員会」「ごとき」を組織するのかという点は完全に見過ごしていた。特に、その構成メンバーについてはスルー状態で、拙ブログの記事にすらしていない。この委員会についてのコメントを下さった方には、その洞察力の鋭さに対する敬意とご指摘への謝意を表す。
『労働新聞』:「朝鮮労働党中央委員会政治局拡大会議に関する報道」
http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-11-05-0001&chAction=D
上にTrack1.5に相当すると書いたが、「体育」と謳いながらも金正恩さんの後見人といわれる張成沢さんと猪木さんが会談をしたということは、張さんから猪木さんに日本政府に対するメッセージが託された可能性は大いにある。儀礼的な挨拶を行うのであれば、金永南委員長で十分である。ところが、金委員長をぶつけずに張さんをぶつけてきたということには、北朝鮮に「体育」交流以上の意図があると考えて良いであろう。ただ、北朝鮮もこれほど早いタイミングで日本の政局が動くとは計算していなかったようだ。北朝鮮が猪木さんにメッセージを託したとしても、さすがに1ヶ月そこそこで「北風」を吹かせることはできないであろう。この際、猪木さんは託されたメッセージを次期政権が誕生し落ち着くまで暖めておき、日本の選挙で乱用される事態を避けるようにしていただきたい。
「20時報道」に話を戻すと、続いて日朝のサッカー試合を紹介している。
猪木さんと並んで日朝サッカー試合を観戦する張成沢さん
Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-14-16.flv
試合の様子を見ると、朝鮮人民でスタンドが埋め尽くされている。北朝鮮にどれほどの大衆動員力があるかは計り知れないが、これだけの人民が観戦していることからすると、この試合は突然決まったものではないであろう。
試合結果は0-0の引き分け
Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-14-16.flv
「20時報道」では、松浪さん一行が大同江果樹総合農場や大同江果物総合加工工場を視察した様子も伝えている。この視察には猪木さんは同行していない。猪木さんはこの間、張成沢さん、あるいは金正恩さんと秘密会談でもしていたのであろうか。
果樹農場を視察する松浪さん一行
Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-14-16.flv
それにしても、過去記事にも書いたように、日本のメディアでは猪木訪朝を全くといってほど取り扱っていない。くまなく調べることはしていないが、Yahoo!ニュースから「海外→北朝鮮」と進み、各項目をクリックしても猪木訪朝のニュースは見当たらない。料理人・藤本さんが訪朝(1度目も2度目に入国拒否されたときも)したときは、空港まで追いかけていき、総力取材を行ったのとは実に対照的である。やはり、日本では北朝鮮関連のニュースというのは、ワイドショーのネタにならないと取り上げられないのかもしれない。
過去記事にも書いたとおり、日朝局長級会議が近々予定されているタイミングでの、猪木訪朝、そして猪木さんと事実上北朝鮮のナンバー2の実力者張成沢との会談に意味を見いだせないのであろうか。嘆かわしい限りである。
米中国交回復がピンポン外交からだっということを忘れてしまったのであろうか。
金日成・金正日銅像に花輪を捧げる猪木さん一行
Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-14-16.flv
銅像に花輪を捧げて頭を下げることに抵抗を感じる向きもあるが、北朝鮮とつきあうための通過儀礼としてはあってしかりだと思う。猪木さん一行の訪問は、詳細は後述するが、米国流に言えばTrack1.5に位置づけられる。つまり、非公式と公式の中間である。政治家であれば、その政治的信念と「拉致を指示した当人に頭を下げるとは」という(主として日本の国内政治に利用するための)非難を恐れて通過儀礼を避けようとすることもあろうが、現在は民間人である猪木さんは、この点について実にフレキシブルなのであろう。日朝間に横たわる日朝平壌宣言にも記された「懸案事項」を解決するという目的を達成するためには、このようなフレキシブルな姿勢も必要だと考える。
続いて「20時報道」では、続いて「国家体育指導委員会」の委員長である張成沢さんが猪木さん一行と会見したということを映像なしで伝えている。この模様は、表題にしたように「朝鮮中央通信」が配信している。
国家体育指導委員会委員長の張成沢さんと会談する猪木さんと松浪日体大理事
Source: KCNA, http://www.kcna.kp/
実は、「国家体育指導委員会」の重要性は、コメントを頂くまで見過ごしていた。11月4日に朝鮮労働党中央委員会拡大会議が開催され「国家体育指導委員会」が組織されたというところまでは認識していたのであるが、9月の最高人民会議で出てきたのが「12年生義務教育実施」だけであったということもあり、なぜ拡大会議まで開催して「体育指導委員会」「ごとき」を組織するのかという点は完全に見過ごしていた。特に、その構成メンバーについてはスルー状態で、拙ブログの記事にすらしていない。この委員会についてのコメントを下さった方には、その洞察力の鋭さに対する敬意とご指摘への謝意を表す。
『労働新聞』:「朝鮮労働党中央委員会政治局拡大会議に関する報道」
http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-11-05-0001&chAction=D
上にTrack1.5に相当すると書いたが、「体育」と謳いながらも金正恩さんの後見人といわれる張成沢さんと猪木さんが会談をしたということは、張さんから猪木さんに日本政府に対するメッセージが託された可能性は大いにある。儀礼的な挨拶を行うのであれば、金永南委員長で十分である。ところが、金委員長をぶつけずに張さんをぶつけてきたということには、北朝鮮に「体育」交流以上の意図があると考えて良いであろう。ただ、北朝鮮もこれほど早いタイミングで日本の政局が動くとは計算していなかったようだ。北朝鮮が猪木さんにメッセージを託したとしても、さすがに1ヶ月そこそこで「北風」を吹かせることはできないであろう。この際、猪木さんは託されたメッセージを次期政権が誕生し落ち着くまで暖めておき、日本の選挙で乱用される事態を避けるようにしていただきたい。
「20時報道」に話を戻すと、続いて日朝のサッカー試合を紹介している。
猪木さんと並んで日朝サッカー試合を観戦する張成沢さん
Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-14-16.flv
試合の様子を見ると、朝鮮人民でスタンドが埋め尽くされている。北朝鮮にどれほどの大衆動員力があるかは計り知れないが、これだけの人民が観戦していることからすると、この試合は突然決まったものではないであろう。
試合結果は0-0の引き分け
Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-14-16.flv
「20時報道」では、松浪さん一行が大同江果樹総合農場や大同江果物総合加工工場を視察した様子も伝えている。この視察には猪木さんは同行していない。猪木さんはこの間、張成沢さん、あるいは金正恩さんと秘密会談でもしていたのであろうか。
果樹農場を視察する松浪さん一行
Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-14-16.flv
それにしても、過去記事にも書いたように、日本のメディアでは猪木訪朝を全くといってほど取り扱っていない。くまなく調べることはしていないが、Yahoo!ニュースから「海外→北朝鮮」と進み、各項目をクリックしても猪木訪朝のニュースは見当たらない。料理人・藤本さんが訪朝(1度目も2度目に入国拒否されたときも)したときは、空港まで追いかけていき、総力取材を行ったのとは実に対照的である。やはり、日本では北朝鮮関連のニュースというのは、ワイドショーのネタにならないと取り上げられないのかもしれない。
過去記事にも書いたとおり、日朝局長級会議が近々予定されているタイミングでの、猪木訪朝、そして猪木さんと事実上北朝鮮のナンバー2の実力者張成沢との会談に意味を見いだせないのであろうか。嘆かわしい限りである。
米中国交回復がピンポン外交からだっということを忘れてしまったのであろうか。