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    Savelsberg先生の「飛翔体」分析:「弾道ミサイル」だったのか?、米国と日本の対応、国内政治 (2019年5月5日)

    北朝鮮がミサイルを盛んに発射していた時期、しばしばコンタクトを取り、発射したミサイルの分析をお願いし、拙ブログでも何回か紹介したSavelsberg先生に北朝鮮が発射した「飛翔体」の分析をお願いした。

    同先生、英国での講演の帰路に「第一印象」ということで返信を下さった。

    それによると、ざっと見た感じの長さと幅はロシアのSS-26「ストーン」(9K720)とほぼ同一とのこと。しかし、一方で次のような小さな違いがあるとも指摘している。安定翼(stabilizing fins)の形が異なる。安定翼の後縁(trailing edge)は、このミサイルでは本体に垂直に取り付けられいるが、SS-26では少し後退角がある。

    運搬車両は新型のようだ。2018年2月の閲兵式で登場した類似したミサイルを運搬していた車両よりも幅が広い。

    こうしたことからすると、今回発射された「飛翔体」は、北朝鮮がSS-26を参考に独自に製造したもののようだ。

    帰国後にさらに詳しい分析をして下さるとのことなので、情報を頂いたら、追記することにする。

    奥を走っているミサイルを1機搭載した車両が、今回使われたものの改良前バージョンのようだ。
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    Source: KCTV, 2019/02/08

    私の関心は、この「飛翔体」が弾道ミサイルなのか巡航ミサイルなのかである。前者であれば、明確な安保理制裁違反となり、緊急理事会が召集されることになる。しかし、今のところそのような話はない。

    トランプのツイートについては既報だが、弾道ミサイルであった場合はあのようなのんびりしたことは言ってられないはずだ。もちろん、北朝鮮との交渉を続けていくために自制しているのか、国内向けに自分の業績として宣伝してきた「北朝鮮は、ミサイル発射も核実験もやっていない」という状況が崩れれば、自分にとっても不利になるので敢えて黙っている可能性もある。

    また、日本の安倍もこれまでであれば「容認できない」、「断固として抗議をする」、「制裁圧迫の強化」などと言うはずであるが、今回については、防衛省に「我が国領域や排他的経済水域(EEZ)への弾道ミサイルの飛来は確認されておらず、現時点において、我が国の安全保障に直ちに影響を与えるような事態は確認されていない」(『朝日新聞デジタル』 2019/05/04)を出させて、静観している。こちらも参院選で外交成果をPRするために「金正恩委員長と虚心坦懐に話し合う」と言っているので、その雰囲気を崩さないようにという配慮からであろう。

    「虚心坦懐に話し合」ったところで、安保理制裁が継続する状況の中では、せいぜいそれに抵触しない範囲内で日本独自の制裁レベルを引き下げる程度で、「過去の清算」など到底無理である。もちろん、その条件として、北朝鮮が拉致被害者帰国など、相応の措置を取ればという条件になるが、それとて難しい。

    そんな中、なぜ安倍が「金正恩と会う」と言い出したのか。トランプに追従する手を考えついたからであろう。つまり、トランプが言っているように「バッドディールならやらない方がましだ」という話を自分にも援用し、「会う」という外交成果をPRしつつ、毅然とした態度で北朝鮮の要求を蹴れば、結果としてトランプがしたことと同じになり、「トランプもそうしたのだから、日米は共同」といういつもの便法で対処できる。

    ここ数日、『労働新聞』紙上での対日非難はなくなっているので、北朝鮮も何か検討している可能性はあるが、「元帥様」とて、安倍を平壌に招き入れておき、得るものが何もなければ、人民からは「ハノイ」と同様に「百年宿敵」に空振りにされたという印象を与えてしまうことになる。対米を優先し、日本はどのみち米国に追従するという従来の姿勢を崩すのかどうか、もう少し見極めなければならない。

    発射地点とされる元山付近のホド半島と半径200kmの円。中国領に到達することなく、ソウルに到達する距離を設定したのは意図的であろう。
    20190506 googleiuochodohantouk2435356
    Source: Google Earth

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