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    「20時報道」:自留地(庭)(2012年11月1日 「朝鮮中央TV」)

    北朝鮮農村で自留地における耕作を認めているという話は以前からあり、また今年5月に北朝鮮を訪問した研究者も10月に福井で開かれたある学会で自留地(その研究者によると、北朝鮮では「庭」と呼んでいるらしい)を北朝鮮で実際に見せてもらったと報告した。

    その研究者は多数の写真を撮影してきたので、大体自留地の様子は分かったのだが、自留地らしき映像が昨夜の「20時報道」で映し出された。

    報道の内容は、アブラナ栽培についてであるが、インタビューを受ける農民の背景には農家(それにしては、きれいすぎる家だが)らしき建物が映っており、その軒先には野菜を栽培する畑が見られる。

    「菜種油はコーン油に劣らず美味しい」と話す農場員のソン・ビョングムさん。
    2012-11-01-19flv_000499500.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12171

    菜種畑。看板には「2班5分組 アブラナ300株 管理者 金チュンヨン」と書かれている。 
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12171

    「私たちの農場では秋収穫のアブラナを栽培している」と語る部員のハム・インナムさん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12171

    ハムさんによると、今年も菜種を10トン余り生産し、各世帯の農業労働者の数に応じて菜種を配分したという。多く配分された世帯には50kg配分されたそうである。上の写真でインタービューに答えているソン・ビョングムさんは、「私たちの農場では、アブラナをたくさん植えて、その恩恵を被っている」と嬉しそうに話している。

    菜種がたくさん収穫できたというのは良い話だし、それを報道するのも良いであろう。しかし、その裏では自留地での栽培の様子や共同農場でもその実績に応じて農場員に配分をしているということを伝えようとしているのかもしれないと考えてしまうのだが、どうなのだろうか。

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    No title

    いつも興味深い記事を有難うございます。

    自流地は基本は各戸消費分でしょうが作物を市場に出して現金収入にする可能性もあります。
    一方、農業が集団的であればあるほど、誰がどれだけ生産に貢献したかは不明瞭になり分配は平等主義になりがちで、働かなくて一定の収入が保証されるため、別の収入原がある場合には、そちらに労働が流れる傾向が強まります。
    この村がどうかはともかく、自留地での換金作物の生産が可能な地域(つまり都市近郊の比較的豊かな地域)ほど集団農法は御座なりになります。

    現在では共同農場でも各戸単位の生産に、したがって分配も各戸単位に変えているようですが、こうするメリットとしては生産と分配が容易に計量化でき労働に応じた分配が容易く、自留地での収入獲得に力を入れる農家においては共同農場での収入が減るという関係が生じます。

    結局のところ、有無を言わせぬ中国の生産請負制とは異なり、小農であるべきか、あるいは集団農場のメンバーであることを望むのかを、農民自身に選ばせるシステムではないかと思われます。

    農民の選択

    コメントありがとうございます。前に書いた「柿豊作」の報道でもそうでしたが、農民の言葉の裏には、やはり自留地で生産した作物は市場で換金している感じがあります。ただ、ご指摘のとおり近隣に消費地(非農業地帯)がないと、柿が豊作の村で柿を売ろうとしても売れないということになりそうですね。

    共同農場での配分については、農場部員の言葉からも想像できるように各世帯の労働力(人数)に応じた均等割のようですね。その時に、実質労働量(詳細な労働時間、労働強度、効率性)などは数えていないのだと思います。彼らのいう「平等」とはそういうことではないでしょうか。もちろんその肯定的側面はありますが、崩壊した社会主義諸国り、変質した社会主義国(中国)の経験からすれば、否定的な側面が大きかったのではないかと思います。

    こうした国々の社会主義時代の農業のありようについて不勉強なのですが、共同農場の生産を「共同」で増加させ、国家への献納分を除外した配分が「均等割」であっても増加することに対しては、農民はどう考えるのでしょうか。もし、北朝鮮が言われているように非常に強い統制が課せられている国家・社会であるとするならば、「さぼり」というのは指導者に対する「忠誠心の欠如」と指弾され、処罰の対象になるような気もします。この点、上に書いた旧ソ連圏や中国とは違うような気がします。もし、こうした統制がある程度効いていて、農民が「さぼりにくい」状況であるとすれば、グロスの生産高を上げ、より多くの配分を受けるということは、ある意味、彼らにとっての「資本主義的」インセンティブにならないでしょうか。

    「小農であるべきか、あるいは集団農場のメンバーであることを望むのかを、農民自身に選ばせるシステムではないかと思われます」というご意見には、実に感銘を受けましたが、上に書いたこととも関連して「農民の選択」を市場の許容度や換金可能性などの点から考えてみるとはとても重要なことだと思います。

    問題は、毎度のことながら、情報がないことなのですが。私も旧社会主義圏や中国の農業事例をもっと勉強する必要があると切に感じています。

    > いつも興味深い記事を有難うございます。
    >
    > 自流地は基本は各戸消費分でしょうが作物を市場に出して現金収入にする可能性もあります。
    > 一方、農業が集団的であればあるほど、誰がどれだけ生産に貢献したかは不明瞭になり分配は平等主義になりがちで、働かなくて一定の収入が保証されるため、別の収入原がある場合には、そちらに労働が流れる傾向が強まります。
    > この村がどうかはともかく、自留地での換金作物の生産が可能な地域(つまり都市近郊の比較的豊かな地域)ほど集団農法は御座なりになります。
    >
    > 現在では共同農場でも各戸単位の生産に、したがって分配も各戸単位に変えているようですが、こうするメリットとしては生産と分配が容易に計量化でき労働に応じた分配が容易く、自留地での収入獲得に力を入れる農家においては共同農場での収入が減るという関係が生じます。
    >
    > 結局のところ、有無を言わせぬ中国の生産請負制とは異なり、小農であるべきか、あるいは集団農場のメンバーであることを望むのかを、農民自身に選ばせるシステムではないかと思われます。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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