「20時報道」:万寿橋清涼飲料店竣工、平壌テギョン海苔加工工場操業、大学生情報科学技術展示会開催、平壌産院乳腺腫瘍研究所(2012年10月31日 「朝鮮中央TV」)
昨夜の「20時報道」には、なかなかおもしろい報道があった。
まず、万寿橋清涼飲料店竣工の報道である。「清涼飲料」というので、ジュースのたぐいを出す店だと思ったのだが、酒類も提供する。しかも、過去記事でも話題にした生ビールをピルスナーとおぼしきビールから黒ビールまで多種の提供を始めたようである。
万寿橋清涼飲料店

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
多種の生ビール

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
上の写真にもあるように、ビールは1から7まで7種準備されている。初めは目を疑い、グラスのサイズが違うだけかと思ったのだが、そうではなく「中身」が違うようだ。
黒ビールを大ジョッキに注いでいる。後ろの棚には焼酎なども置かれているようだ。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
パンをつまみに生ビールはいただけない。フライドポテトも並んでいるので、そちらの方が良い。

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パン類。ハンバーガーも数種準備されている。サンドイッチの左横にある食べ物はなんだかよく分からない。

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清涼飲料店を建設した人民軍軍人にも黒ビールなどが振る舞われたようだ。

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過去記事にも書いたが、「先軍政治」は人民軍軍人を実にうまく使っていると思う。「先軍政治」という語感からは、日々戦争を引き起こすために戦闘訓練を行っている軍人が想像されるが、実は、そういう軍人もいるにせよ、相当数が訓練もそこそこに建設作業に充当されているような気がしてならない。上で「うまく使っている」と書いたのは、人民を軍人にしておけば自ずと政権(党や指導者)に対する忠誠心は高くなるし、統制もしやすい。さらに、平時には建設工事(北朝鮮では、工事もというか何でも「戦闘」というのだが)をしている彼らも、有事には軍人として本当の「戦闘」で戦える。軍というのは、技術的なスピルオーバーはあるにせよ、民生部門に対しては総じて負の経済的効果しかない。しかし、北朝鮮ではトータルで負であったとしても、正負の分岐点にかなり近い位置にあるような気がする。
もしかすると、核やミサイルの開発などコストが大きな事業を除外すれば、正なのかもしれない。そう考えると、憲法に「核保有国」と明記し、その実はさておき「軍事大国」になったと謳っておき、軍を経済建設に動員するのはうまいやり方なのかもしれない。社会主義経済の配給システムが機能している(といわれている)北朝鮮では、軍人を食わせるのも民間人を食わせるのもどのみち国家なのだから、制服を着せようが平服を着せようが食わせるコストには大差がないはずである。
金正日時代の「核・ミサイル開発」という「先軍政治」の本質を、金正恩時代には「先軍」を標榜しつつ「経済」にシフトさせようとしているのかもしれない。
「20時報道」では、平壌テギョン海苔加工工場の操業についても伝えられた。
平壌テギョン海苔加工工場

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
平壌訪問時に海苔を食べたかどうか記憶が定かではないが、日本でも人気のある「韓国海苔」を加工生産する工場のようだ。
海苔の加工生産ライン

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
海苔製品

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
日本が強力な経済制裁を北朝鮮に課す前には、北朝鮮からは海苔も含む海産物が相当量日本に輸出されていた。もし、北朝鮮から「朝鮮海苔」が輸入されるようになれば、「韓国海苔」の数分の一の価格で販売することができるはずである。もちろん、紙のような海苔ではなく、パリッとした海苔が供給できればであるが。
続いて「20時報道」では、「第4次全国大学生情報科学技術成果展示会」が開催されたというニュースを伝えている。
金日成総合大学の展示コーナー。黄色いポスターには「熱風」と書かれている。

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ノートPCを操作する大学生。

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この展示会は、コンピューターのソフトウェアやハードウェアの展示会かと思ったのだが、そうではなくノートPCを使って自分たちが開発した技術を紹介する展示会のようだ。
鉱物採掘現場での発破技術を紹介。画面には「逆起爆を適応した発破穴の効果的利用方法」と書かれている。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
遺伝工学の研究か。「遺伝と変異」と書かれている。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
上に「ソフトウェアの展示会か」と書いたが、実は10月18日から数日間、平壌で「第23次全国プログラム競演及び展示会」というものが開催された。こちらはまさにソフトウェアを展示し、評価表彰する催しであった。この催しの報道で興味深かったのは、「競演」と呼んでいるコンテスト部門に「コンピューターウィルスワクチン競演」部門があったことである。これを聞いて直ぐに思ったのは、コンピューターウィルスをばらまく邪悪な人間がいる「資本主義」世界や「社会主義市場経済体制」の国から遮断されている純粋な北朝鮮で「コンピュータウィルス」なんて存在するのということである。自らがそれを製造して敵国にサイバー攻撃を加えることこそあれ、朝鮮人民が我々のようにコンピューターウィルスに悩まされる事態は現状では発生していないはずである。あるとすれば、中国から不正に持ち込まれたソフトウェアにウィルスが紛れ込んでいるということであろうか。それとも、敵が北朝鮮に対してウィルスによるサイバー攻撃を仕掛けたとき、それを駆除するためのプログラムということであろうか。
「労働新聞」:「第23次全国プログラム競演及び展示会閉幕」
http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-26-0040&chAction=D
過去記事に「平壌産院ユソン中央研究所」の「ユソン」の意味が分からないと書いたことがあるが、昨夜の「20時報道」では文字が出たので「乳腺腫瘍研究所」ということが分かった。そもそも「腫瘍」を「中央」と聞き違えていたわけで、お恥ずかしい限りである。結局のところ、その時にも書いたように乳癌について研究をするところのようである。
さて、李雪主さんも出産の際には平壌産院に入院するのであろうか。それとも、平壌産院の医師を邸宅に呼んでの出産となるのであろうか。
まず、万寿橋清涼飲料店竣工の報道である。「清涼飲料」というので、ジュースのたぐいを出す店だと思ったのだが、酒類も提供する。しかも、過去記事でも話題にした生ビールをピルスナーとおぼしきビールから黒ビールまで多種の提供を始めたようである。
万寿橋清涼飲料店

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
多種の生ビール

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
上の写真にもあるように、ビールは1から7まで7種準備されている。初めは目を疑い、グラスのサイズが違うだけかと思ったのだが、そうではなく「中身」が違うようだ。
黒ビールを大ジョッキに注いでいる。後ろの棚には焼酎なども置かれているようだ。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
パンをつまみに生ビールはいただけない。フライドポテトも並んでいるので、そちらの方が良い。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
パン類。ハンバーガーも数種準備されている。サンドイッチの左横にある食べ物はなんだかよく分からない。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
清涼飲料店を建設した人民軍軍人にも黒ビールなどが振る舞われたようだ。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
過去記事にも書いたが、「先軍政治」は人民軍軍人を実にうまく使っていると思う。「先軍政治」という語感からは、日々戦争を引き起こすために戦闘訓練を行っている軍人が想像されるが、実は、そういう軍人もいるにせよ、相当数が訓練もそこそこに建設作業に充当されているような気がしてならない。上で「うまく使っている」と書いたのは、人民を軍人にしておけば自ずと政権(党や指導者)に対する忠誠心は高くなるし、統制もしやすい。さらに、平時には建設工事(北朝鮮では、工事もというか何でも「戦闘」というのだが)をしている彼らも、有事には軍人として本当の「戦闘」で戦える。軍というのは、技術的なスピルオーバーはあるにせよ、民生部門に対しては総じて負の経済的効果しかない。しかし、北朝鮮ではトータルで負であったとしても、正負の分岐点にかなり近い位置にあるような気がする。
もしかすると、核やミサイルの開発などコストが大きな事業を除外すれば、正なのかもしれない。そう考えると、憲法に「核保有国」と明記し、その実はさておき「軍事大国」になったと謳っておき、軍を経済建設に動員するのはうまいやり方なのかもしれない。社会主義経済の配給システムが機能している(といわれている)北朝鮮では、軍人を食わせるのも民間人を食わせるのもどのみち国家なのだから、制服を着せようが平服を着せようが食わせるコストには大差がないはずである。
金正日時代の「核・ミサイル開発」という「先軍政治」の本質を、金正恩時代には「先軍」を標榜しつつ「経済」にシフトさせようとしているのかもしれない。
「20時報道」では、平壌テギョン海苔加工工場の操業についても伝えられた。
平壌テギョン海苔加工工場

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
平壌訪問時に海苔を食べたかどうか記憶が定かではないが、日本でも人気のある「韓国海苔」を加工生産する工場のようだ。
海苔の加工生産ライン

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
海苔製品

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
日本が強力な経済制裁を北朝鮮に課す前には、北朝鮮からは海苔も含む海産物が相当量日本に輸出されていた。もし、北朝鮮から「朝鮮海苔」が輸入されるようになれば、「韓国海苔」の数分の一の価格で販売することができるはずである。もちろん、紙のような海苔ではなく、パリッとした海苔が供給できればであるが。
続いて「20時報道」では、「第4次全国大学生情報科学技術成果展示会」が開催されたというニュースを伝えている。
金日成総合大学の展示コーナー。黄色いポスターには「熱風」と書かれている。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
ノートPCを操作する大学生。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
この展示会は、コンピューターのソフトウェアやハードウェアの展示会かと思ったのだが、そうではなくノートPCを使って自分たちが開発した技術を紹介する展示会のようだ。
鉱物採掘現場での発破技術を紹介。画面には「逆起爆を適応した発破穴の効果的利用方法」と書かれている。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
遺伝工学の研究か。「遺伝と変異」と書かれている。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv
上に「ソフトウェアの展示会か」と書いたが、実は10月18日から数日間、平壌で「第23次全国プログラム競演及び展示会」というものが開催された。こちらはまさにソフトウェアを展示し、評価表彰する催しであった。この催しの報道で興味深かったのは、「競演」と呼んでいるコンテスト部門に「コンピューターウィルスワクチン競演」部門があったことである。これを聞いて直ぐに思ったのは、コンピューターウィルスをばらまく邪悪な人間がいる「資本主義」世界や「社会主義市場経済体制」の国から遮断されている純粋な北朝鮮で「コンピュータウィルス」なんて存在するのということである。自らがそれを製造して敵国にサイバー攻撃を加えることこそあれ、朝鮮人民が我々のようにコンピューターウィルスに悩まされる事態は現状では発生していないはずである。あるとすれば、中国から不正に持ち込まれたソフトウェアにウィルスが紛れ込んでいるということであろうか。それとも、敵が北朝鮮に対してウィルスによるサイバー攻撃を仕掛けたとき、それを駆除するためのプログラムということであろうか。
「労働新聞」:「第23次全国プログラム競演及び展示会閉幕」
http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-26-0040&chAction=D
過去記事に「平壌産院ユソン中央研究所」の「ユソン」の意味が分からないと書いたことがあるが、昨夜の「20時報道」では文字が出たので「乳腺腫瘍研究所」ということが分かった。そもそも「腫瘍」を「中央」と聞き違えていたわけで、お恥ずかしい限りである。結局のところ、その時にも書いたように乳癌について研究をするところのようである。
さて、李雪主さんも出産の際には平壌産院に入院するのであろうか。それとも、平壌産院の医師を邸宅に呼んでの出産となるのであろうか。