トランプ、CPACで演説、北朝鮮関連部分 (2019年3月2日)
2日(現地時間)、トランプがCPAC(the Conservative Political Action Conference、保守政治活動会議)で演説をした。その中から、北朝鮮関連部分は以下。
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私は、ベトナムから少し前に帰ってきた。そこで、私は金委員長ととても生産的な会談を行った。私たちの関係は良く、その関係はさらに良くなった。そして、歴史的な進展を達成した。私は、過去の政権の人々の言うことなど気にしない。「ドナルド・トランプ、いかなる状況であれ、あれこれするな」。我々は交渉しているのだ。私にケチを付ける人々は死んでいる。過去の政権は彼らに何十億ドルも与えたが、得たものはない。我々は彼らにまだ何も与えていない。私は、いずれかの時点で何かをすることを楽しみにしている。私は、他国(複数)にやらせるつもりだ。我々ではないかも知れない、でも他国にやらせるだろう。全てが上手くいけばだが。
時として、我々は立ち去らなければならない。北朝鮮との取引は、私にとって受け入れられるものではなかった。私は政治家の取引は嫌いだ。彼らは取引をするために取引をする。私は結果が出せる取引をするか、取引はしない。しかし、一つ得たことは、彼らが何の実験もせず、ミサイルも飛んでいないし、核実験も行っていない。北朝鮮国民は素晴らしい人々だ。
素晴らしい人々の中には美しいオットー・ウォムビアも含まれる。私は彼の良心を知っており、彼らはとても辛い思いをしていることも知っている。しかし、私は一方では交渉をしなければならず、一方では私はウォムビア夫妻を愛しているし、オットーも愛している。この関係は、とてもデリケートなバランス関係にある。彼は特別な若者だったが、彼に何が起こったのか。とても悪いことだった。
私が北朝鮮関連で色々なことを行い、多くが成功したし、これから成功が期待できることもたくさんある。私に反対する人々はその点を認めていない。オバマ政権下では、ロケットが飛び回り、核実験が行われ、大きな山々が揺れて動き、人々は大地震だと思ったが、それは核兵器だった。核実験だった。そして、我々は米国軍人の遺骨を取り戻した。マイクペンスはハワイで素晴らしい式典を持った。
我々は多くの進展を果たしたし、これからも進展させ続ける。私たちがやって来たことが重要だ。私は立ち去らなければならなかったが、素晴らしい会談を持った。私が帰国した後、彼らは声明を出した。彼らの制裁解除の要求はもっと少なかったと言ったが、それは違う。我々は既に交渉しており、北朝鮮には、我々と取引をすれば、とても素晴らしく明るい経済的未来がある。彼らが核兵器を持ち続ければ、明るい未来はない。それは彼らにとってとても悪いことだ。これからどうなるかは状況を見なければならないが、私は上手くいくと思っている。我々は、この数日で多くのことを学び、我々の関係はとても強いと思っている。それは特にこのような状況で取引をする際、それはとても重要なことだ。
Source: The White House, YouTube, 2019/03/02
北朝鮮関連部分は、1:55頃から。
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トランプの論法、なかなか面白い。彼は、朝米会談後の記者会見でウォムビアの死について「元帥様」を弁護するような発言をし、ウォムビアの両親からも非難された。記者の質問に対し口を滑らせたのだろうが、確かにウォムビアの問題も含む人権問題と核・ミサイル問題は「とてもデリケートなバランス関係」にあることは間違いない。さらに言えば、全員会議の場でトランプが記者からの人権関連問題を遮ったように、今行われている会談では、人権に関して一切触れられていないことはほぼ明らかである。北朝鮮の人権状況如何に関わりなく、人権と核・ミサイルをまとめて交渉することは不可能であるということは明白であり、トランプがその点をはっきりと認識しているところは評価できる。もちろん、相対的に人権意識が低い人間であることは様々な政策から分かるし、米国第一という視点からすれば、トランプにとって朝鮮人の人権など二の次で、重要なのは米国の安全を守ることである。その系では、トランプにとって日本人拉致問題の優先順位は低いはずだし、当面、破棄の対象としているのは、崔ソンフィが記者会見で発言しているように「長距離ロケット」であり、中短距離は含まれていない。
さらに、米朝間の「取引」が成立すれば、金を出すのは米国ではなく「他国(複数)」だと、今回もはっきりと明言している。国名こそ出していないが、過去の彼の発言からすれば、日本と韓国、そして中国が彼の言う「他国(複数)」であることは明白である。これも米国第一の考えで、トランプは「他国(複数)」が独自の力ではできない非核化交渉をやっており、米国の利益からすれば、北朝鮮の核ミサイルが米国に飛んでこない状況を作り出せば充分なのだから、その後のことは「他国(複数)」が勝手にやってくれということであろう。しかも勝手にやってくれなどという甘い話ではなく、トランプは「やらせる」と言っている。
つまり、トランプは北朝鮮の核兵器をなくすことで「明るい経済的未来」の入口を作り、「明るい経済的未来」は日本や韓国が金を出して作ってやれということであろう。そのための実質的な準備は韓国では進んでいるし、むしろそれをビジネスチャンスと捉えて肯定的に受け入れている。一方、日本はそのための準備が全くできていない。トランプいに言われれば、安倍政権の特性からして、金庫の金は出すであろう。しかし、現状のように制裁と非難しか頭にない状態で出した金は、トランプが非難する「米国の過去の政権が出した数十億ドル」同様、何も得ることが出来ない無駄な金になってしまうであろう。
トランプは、この演説でも「この数日で多くのことを学び、我々の関係はとても強」くなったと言っている。そして、「このような状況で取引をする際、とても重要なことだ」と言っているが、まさにその通りだと思う。米国と北朝鮮の関係が紆余曲折を経ながらも続いているのは、「元帥様」とトランプの関係が維持されているからに他ならない。その関係が、確実に強化されていることは、今回の会談の様子を見ていてもはっきりと分かる。その系からすれば、ゴルフ友達のシンゾー・ドナルド関係よりも、もっと強い人間関係や信頼関係がトランプと「元帥様」の間で築かれつつあるのではないかと思う。
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私は、ベトナムから少し前に帰ってきた。そこで、私は金委員長ととても生産的な会談を行った。私たちの関係は良く、その関係はさらに良くなった。そして、歴史的な進展を達成した。私は、過去の政権の人々の言うことなど気にしない。「ドナルド・トランプ、いかなる状況であれ、あれこれするな」。我々は交渉しているのだ。私にケチを付ける人々は死んでいる。過去の政権は彼らに何十億ドルも与えたが、得たものはない。我々は彼らにまだ何も与えていない。私は、いずれかの時点で何かをすることを楽しみにしている。私は、他国(複数)にやらせるつもりだ。我々ではないかも知れない、でも他国にやらせるだろう。全てが上手くいけばだが。
時として、我々は立ち去らなければならない。北朝鮮との取引は、私にとって受け入れられるものではなかった。私は政治家の取引は嫌いだ。彼らは取引をするために取引をする。私は結果が出せる取引をするか、取引はしない。しかし、一つ得たことは、彼らが何の実験もせず、ミサイルも飛んでいないし、核実験も行っていない。北朝鮮国民は素晴らしい人々だ。
素晴らしい人々の中には美しいオットー・ウォムビアも含まれる。私は彼の良心を知っており、彼らはとても辛い思いをしていることも知っている。しかし、私は一方では交渉をしなければならず、一方では私はウォムビア夫妻を愛しているし、オットーも愛している。この関係は、とてもデリケートなバランス関係にある。彼は特別な若者だったが、彼に何が起こったのか。とても悪いことだった。
私が北朝鮮関連で色々なことを行い、多くが成功したし、これから成功が期待できることもたくさんある。私に反対する人々はその点を認めていない。オバマ政権下では、ロケットが飛び回り、核実験が行われ、大きな山々が揺れて動き、人々は大地震だと思ったが、それは核兵器だった。核実験だった。そして、我々は米国軍人の遺骨を取り戻した。マイクペンスはハワイで素晴らしい式典を持った。
我々は多くの進展を果たしたし、これからも進展させ続ける。私たちがやって来たことが重要だ。私は立ち去らなければならなかったが、素晴らしい会談を持った。私が帰国した後、彼らは声明を出した。彼らの制裁解除の要求はもっと少なかったと言ったが、それは違う。我々は既に交渉しており、北朝鮮には、我々と取引をすれば、とても素晴らしく明るい経済的未来がある。彼らが核兵器を持ち続ければ、明るい未来はない。それは彼らにとってとても悪いことだ。これからどうなるかは状況を見なければならないが、私は上手くいくと思っている。我々は、この数日で多くのことを学び、我々の関係はとても強いと思っている。それは特にこのような状況で取引をする際、それはとても重要なことだ。
Source: The White House, YouTube, 2019/03/02
北朝鮮関連部分は、1:55頃から。
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トランプの論法、なかなか面白い。彼は、朝米会談後の記者会見でウォムビアの死について「元帥様」を弁護するような発言をし、ウォムビアの両親からも非難された。記者の質問に対し口を滑らせたのだろうが、確かにウォムビアの問題も含む人権問題と核・ミサイル問題は「とてもデリケートなバランス関係」にあることは間違いない。さらに言えば、全員会議の場でトランプが記者からの人権関連問題を遮ったように、今行われている会談では、人権に関して一切触れられていないことはほぼ明らかである。北朝鮮の人権状況如何に関わりなく、人権と核・ミサイルをまとめて交渉することは不可能であるということは明白であり、トランプがその点をはっきりと認識しているところは評価できる。もちろん、相対的に人権意識が低い人間であることは様々な政策から分かるし、米国第一という視点からすれば、トランプにとって朝鮮人の人権など二の次で、重要なのは米国の安全を守ることである。その系では、トランプにとって日本人拉致問題の優先順位は低いはずだし、当面、破棄の対象としているのは、崔ソンフィが記者会見で発言しているように「長距離ロケット」であり、中短距離は含まれていない。
さらに、米朝間の「取引」が成立すれば、金を出すのは米国ではなく「他国(複数)」だと、今回もはっきりと明言している。国名こそ出していないが、過去の彼の発言からすれば、日本と韓国、そして中国が彼の言う「他国(複数)」であることは明白である。これも米国第一の考えで、トランプは「他国(複数)」が独自の力ではできない非核化交渉をやっており、米国の利益からすれば、北朝鮮の核ミサイルが米国に飛んでこない状況を作り出せば充分なのだから、その後のことは「他国(複数)」が勝手にやってくれということであろう。しかも勝手にやってくれなどという甘い話ではなく、トランプは「やらせる」と言っている。
つまり、トランプは北朝鮮の核兵器をなくすことで「明るい経済的未来」の入口を作り、「明るい経済的未来」は日本や韓国が金を出して作ってやれということであろう。そのための実質的な準備は韓国では進んでいるし、むしろそれをビジネスチャンスと捉えて肯定的に受け入れている。一方、日本はそのための準備が全くできていない。トランプいに言われれば、安倍政権の特性からして、金庫の金は出すであろう。しかし、現状のように制裁と非難しか頭にない状態で出した金は、トランプが非難する「米国の過去の政権が出した数十億ドル」同様、何も得ることが出来ない無駄な金になってしまうであろう。
トランプは、この演説でも「この数日で多くのことを学び、我々の関係はとても強」くなったと言っている。そして、「このような状況で取引をする際、とても重要なことだ」と言っているが、まさにその通りだと思う。米国と北朝鮮の関係が紆余曲折を経ながらも続いているのは、「元帥様」とトランプの関係が維持されているからに他ならない。その関係が、確実に強化されていることは、今回の会談の様子を見ていてもはっきりと分かる。その系からすれば、ゴルフ友達のシンゾー・ドナルド関係よりも、もっと強い人間関係や信頼関係がトランプと「元帥様」の間で築かれつつあるのではないかと思う。