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    韓国記者を主な対象とした崔ソンフィ記者会見:北朝鮮は寧辺について事実上のCVIDを提案、2016年以降の民生部分制裁解除を要求、「元帥様」の気持ちに言及、文在寅の橋渡しに期待 (2018年3月1日 「韓国日報」)

    1日、『韓国日報』がYouTubeに崔ソンフィの韓国人記者向けのインタビューの様子をアップロードした。今回の会談で、「元帥様」が外国記者の質問に直接など、これまでにない対応をしたが、北朝鮮の政府関係者が外国記者の質問に答える形式のインタビューを受け付けるのは、恐らくこれが初めてだろう(少なくとも金正恩時代では)。インタビューの内容もさることながら、メディアに対するサービスも含む普通の国の外交交渉スタイルに変化しつつあるという点で大変重要である。以下、その内容。

    *************
    崔ソンフィ:外務相同志が行った記者会見について、質問を受け付けます。
    記者:金委員長のソウル訪問はいつか?
    崔:会談と関連した問題にのみ答えます。
    記者:寧辺核施設に対する米国の相応措置として何を要求したのか?
    崔:寧辺地区と関連し、今回我々が出した案は、外務相が明らかにしたように、寧辺核団地全体、その中にある全てのプルトニウム施設、全てのウラニウム施設を含む全ての核施設をそのまま米国の専門家の立ち会いのもと、永久的に廃棄することに関する歴史的に提案したことがない提案を今回しました。その代わりに我々が米国側に要求したことは、外務相同志が明らかにしたように、制裁決議中で、民生用、民需用制裁5つを解除することを要求しました。こうした提案に対して米国側が、受け入れなかったことは千載一遇の機会を逃したのと同じだと私は思います。
    記者:(英語で)会談で話された人権問題について説明して下さい。
    崔:(英語で)私は今のトピックについてのみ説明します。
    記者:5つの制裁とは何でしょうか?
    崔:民生と関連しては、我々が要求した5つの制裁決議で、軍需用は我々は要求していません、今のところは。しかし、民生と関連し、人民生活、経済発展に関連した部分に関する事項の制裁解除を要求しただけです。
    記者:制裁決議は何か?
    崔:決議制裁は、2016年から採択された対朝鮮決議が6件あります。2217号、2375号、2・・・、5つなのですが、その中でも100%ではなく、民生と関連した部分だけ制裁を解除することを要求しました。
    記者:北朝鮮の提案は何か?
    崔:我々が提案したのは、寧辺核団地全体の永久廃棄です。それを実行する際、米国の核専門家が来て、立ち合うようにしました。
    記者:首脳会談の感想は?
    崔:今回、私が首脳会談を横で見ながら、国務委員長同志が米国が言う、米国式計算法について、少し理解するのに苦労されたのではないか、よく理解されなかったのではないかと感じました。そして、今後、これまでなかった寧辺核団地全てを廃棄するという提案を出したにもかかわらず、民需用の制裁決議、副次的な決議まで解除するのが困難であるという米国側の反応を見ながら、国務委員長同志が、今後の朝米交渉についての意欲を失われたのではないかと私は感じました。
    記者:次回の会談の予定は?
    崔:次回の会談について決まったことはありません。そして、私が一つ強調したいことは、米国のヘッカー博士が寧辺核施設にある濃縮ウラニウム工場を訪問したことがあります。そうした工場、巨大な濃縮ウラニウム工場まで含んだ全ての核施設を今回、我々が永久に不可逆的に廃棄する提案をしましたが、それに対する米国側の答がありませんでした。ですから、こうした機会が米国側に与えられるのか、それについて私も言い切ることは難しいです。

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    Source: 『韓国日報』, YouTube, 2019/03/01


    Source: 『韓国日報』, YouTube, 2019/03/01

    北朝鮮としては、寧辺核施設について、C(完全)、V(検証可能)、I(不可逆的)な廃棄を提案したことが、崔ソンフィの発言から分かる。また、民生用、民需用と言ってる部分については、主として石油と中国に対する石炭(とその他の鉱物)の輸出を意味しているのであろう。北朝鮮にとって一番効いていると思われる経済制裁はこの2つであり、それを解除することは制裁効果を一気に弱めることになるので、「民生用、民需用」とはいえ、米国はよほどの交換条件を北朝鮮が提示しない限り、解除することはしないであろう。

    どうやら、北朝鮮側も米国側も大きなことを要求しすぎたようで、当初予想されていたように、南北経済交流レベル、つまり金剛山観光と開城工団程度の制裁解除と延辺核施設の一部ぐらいにしておけば、決裂という事態には至らなかったのかも知れない。

    ともあれ、朝米が要求していることがこれほどまで双方から明確に公開されたという点は、今後の非核化交渉を進める上で大きな意義がある。

    また、もう一つ興味深い点は、崔ソンフィがとても苦しそうに「元帥様」の気持ちを代弁していた点である。「元帥様」の偉大さについてはいくらでも堂々と語れるのであろうが、外国人記者を前にして「元帥様」の気持ちを代弁するというのは、事前打ち合わせがあったにせよ、彼女にとって相当な負担であったはずです。もちろん、「元帥様」も了解済みのはずだが、こうしたことをやらせたという事実自体が今回の朝米会談の一つの成果だと見なせると思う。

    書き忘れたが、韓国記者を主対象にした会見を開催したことにも意味がある。やはり、北朝鮮としては今回の会談の内容を韓国政府のみならず、韓国民に北朝鮮の口で伝えたかったのだと思う。その背景には、今の状況を打開する一つの有力な手段が、昨年5月にあったような文在寅の往来外交と考えているからであろう。進捗度は異なるが、朝米共に進展させる意志を持ちつつ、暗礁に乗り上げてしまったのは、第1回朝米会談開催が暗礁に乗り上げた昨年5月の状況と類似している。そうであれば、文在寅がワシントンに飛びトランプと話をし、その後、平壌でも板門店でも良いから「元帥様」にその結果を伝えて、再交渉を促すという役割が重要になる。崔ソンフィは、「元帥様」のソウル訪問に関する質問は避けているが、ことが上手くいけば、ソウルで朝米韓が合流することも可能となろう。米国でトランプの政治的苦境がいったん収束しないと、トランプとしても出てきにくいだろうが、4月か5月には何か起こることに期待したい。

    順番が前後するが、李ヨンホのフルバージョン記者会見動画を見つけたので、追って別記事で訳出する。

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    No title

    このような長めの記者会見の形は初めてでしょうね。そして,やはり「国務委員長同志」の心をこの場で代弁する部分も相当なものだったように感じました。あとはマスコミの畳みかけるような質問攻勢も一つの練習の機会になりましたかね。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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