金ハンソル(金正男の息子)がフィンランドでテレビ出演(2012年10月19日)
金正南さんの息子である金ハンソルさんが、フィンランドのテレビに出演し、フィンランドの元防衛大臣エリザベス・レーンさんのインタビューに応じた。この様子は、下記のYouTubeで見ることができる。
Kim Han-sol interviewed by Elisabeth Rehn (1/2) :
http://www.youtube.com/watch?v=T_uSuCkKa3k
Kim Han-sol interviewed by Elisabeth Rehn (2/2):
http://www.youtube.com/watch?v=XSfVOf4OACs
金ハンソルさんは、現在、ボスニア・ヘルツェゴビナのモスタルにある国際学校「ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)」に留学中であり、そこでの生活、マカオでの生活、そして幼少時代を過ごした北朝鮮での生活、将来の夢などについて語っている。YouTubeの番組自体はフィンランド語であるが、レーンさんとのインタビューは全て英語で行われているので、理解することができる。
金ハンソルさんの英語は、完璧である。逆に、朝鮮語が話せるのかと疑いたくなるほどであるが、彼が朝鮮語を使う機会があったとすれば、幼少期を過ごした北朝鮮での生活とマカオ移住後の家庭内だけであろうから、もしかすると家庭内で使うような言葉以外は朝鮮語で話せないのかもしれない。一方、英語は大変クリアで、聞き取りやすいものである。
彼は、朝鮮人民というよりもインターナショナル・シチズンという感じを受けた。北朝鮮とは一定の距離を置いているが、だかといって嫌ったり批判することもしない。祖父の金正日さんとは会ったことはないと語り、「いつか祖父が訪ねてきてくれることを望んでいた」とも語っている。レーンさんが「あなたが生まれたときに、お祖父さんはかわいい孫だと抱いてくれなかったの?」と尋ねているが、金ハンソルさんにはそういう記憶がないのは当然とし、生まれた孫をお祖父さんは見に来てくれなかったのであろうか。金ハンソルさんは17歳なので、北朝鮮は苦難の行軍のまっただ中、孫どころではなかったのか、それとも金日成さんに対する喪に服していたのであろうか。
金ハンソルさんのお母さんは「一般市民」という。「一般市民」というのが、彼の中でどのようなクラスを指しているのかは不明であるが、少なくとも平壌市民であり、成分のよい人なのであろう。金ハンソルさんは、主として母方で育てられたという。
インタビューを見て驚いたことは、金ハンソルさんが金正恩さんを「独裁者」と呼んだことである。インタビューの流れからして、レーンさんに促されて、あるいは彼女の言葉を受けて「独裁者」と言っているのではなく、彼自身がその言葉を選んで使っている。インターナショナル・シチズンの金ハンソルさんとしては、客観的に「独裁者」と言ったのであろうが、そうであるとやはり一般の朝鮮人民とは異質の感覚の持ち主ということになる。また、北朝鮮事情についてもあまり知らないようである。彼は、将来、南北朝鮮間をバスに乗って行き来できるような時代が来れば良いと述べ、それに対しレーンさんが「南北の離散家族が相互訪問したこともあったのではないですか?」と質問したのに対し、「過去には行われたが、今も続いているのかは分からない」と答えている。マカオには韓国人の友人もおり、来年はUWCに韓国人の友人が来るのを楽しみにしている金ハンソルさんであるが、やはり17歳の青年(少年)、政治のあまりややこしい話よりももっと楽しい話がたくさんあるのであろう。
とはいえ、金ハンソルさんは、17歳にしては非常にしっかりとした考えや意見を持っている。私の周りにも彼よりも少し年上のオニイサンやオネエサンがたくさんいるが、彼らよりもよほどしっかりとしているというのが正直な感想である。
将来、人道関係の仕事をし、北朝鮮に戻って祖国のために役立ちたいと語る金ハンソルさんであるが、果たして金正恩さんは彼を受け入れてくれるのであろうか。その前に、お父さんの金正男さんをどうするのかということが、問題となってくるのであろう。金正男さんは、食事の前に「おまえが食べているようなものを食べられない人がたくさんいるということを2回思いだし、感謝して食べなさい」と金ハンソルさんに教えたそうだ。その意味を彼がどこまで、そしてどのように理解したのかは分からないが、これからもっと勉強をして立派な人になってほしいと思う。
Kim Han-sol interviewed by Elisabeth Rehn (1/2) :
http://www.youtube.com/watch?v=T_uSuCkKa3k
Kim Han-sol interviewed by Elisabeth Rehn (2/2):
http://www.youtube.com/watch?v=XSfVOf4OACs
金ハンソルさんは、現在、ボスニア・ヘルツェゴビナのモスタルにある国際学校「ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)」に留学中であり、そこでの生活、マカオでの生活、そして幼少時代を過ごした北朝鮮での生活、将来の夢などについて語っている。YouTubeの番組自体はフィンランド語であるが、レーンさんとのインタビューは全て英語で行われているので、理解することができる。
金ハンソルさんの英語は、完璧である。逆に、朝鮮語が話せるのかと疑いたくなるほどであるが、彼が朝鮮語を使う機会があったとすれば、幼少期を過ごした北朝鮮での生活とマカオ移住後の家庭内だけであろうから、もしかすると家庭内で使うような言葉以外は朝鮮語で話せないのかもしれない。一方、英語は大変クリアで、聞き取りやすいものである。
彼は、朝鮮人民というよりもインターナショナル・シチズンという感じを受けた。北朝鮮とは一定の距離を置いているが、だかといって嫌ったり批判することもしない。祖父の金正日さんとは会ったことはないと語り、「いつか祖父が訪ねてきてくれることを望んでいた」とも語っている。レーンさんが「あなたが生まれたときに、お祖父さんはかわいい孫だと抱いてくれなかったの?」と尋ねているが、金ハンソルさんにはそういう記憶がないのは当然とし、生まれた孫をお祖父さんは見に来てくれなかったのであろうか。金ハンソルさんは17歳なので、北朝鮮は苦難の行軍のまっただ中、孫どころではなかったのか、それとも金日成さんに対する喪に服していたのであろうか。
金ハンソルさんのお母さんは「一般市民」という。「一般市民」というのが、彼の中でどのようなクラスを指しているのかは不明であるが、少なくとも平壌市民であり、成分のよい人なのであろう。金ハンソルさんは、主として母方で育てられたという。
インタビューを見て驚いたことは、金ハンソルさんが金正恩さんを「独裁者」と呼んだことである。インタビューの流れからして、レーンさんに促されて、あるいは彼女の言葉を受けて「独裁者」と言っているのではなく、彼自身がその言葉を選んで使っている。インターナショナル・シチズンの金ハンソルさんとしては、客観的に「独裁者」と言ったのであろうが、そうであるとやはり一般の朝鮮人民とは異質の感覚の持ち主ということになる。また、北朝鮮事情についてもあまり知らないようである。彼は、将来、南北朝鮮間をバスに乗って行き来できるような時代が来れば良いと述べ、それに対しレーンさんが「南北の離散家族が相互訪問したこともあったのではないですか?」と質問したのに対し、「過去には行われたが、今も続いているのかは分からない」と答えている。マカオには韓国人の友人もおり、来年はUWCに韓国人の友人が来るのを楽しみにしている金ハンソルさんであるが、やはり17歳の青年(少年)、政治のあまりややこしい話よりももっと楽しい話がたくさんあるのであろう。
とはいえ、金ハンソルさんは、17歳にしては非常にしっかりとした考えや意見を持っている。私の周りにも彼よりも少し年上のオニイサンやオネエサンがたくさんいるが、彼らよりもよほどしっかりとしているというのが正直な感想である。
将来、人道関係の仕事をし、北朝鮮に戻って祖国のために役立ちたいと語る金ハンソルさんであるが、果たして金正恩さんは彼を受け入れてくれるのであろうか。その前に、お父さんの金正男さんをどうするのかということが、問題となってくるのであろう。金正男さんは、食事の前に「おまえが食べているようなものを食べられない人がたくさんいるということを2回思いだし、感謝して食べなさい」と金ハンソルさんに教えたそうだ。その意味を彼がどこまで、そしてどのように理解したのかは分からないが、これからもっと勉強をして立派な人になってほしいと思う。