北朝鮮政府が中国人民志願軍兵士に贈ったメダルを入手した。中国から送料込みで192円。異常な安さだったので、届かないものとばかり思っていたが、昨日、普通航空郵便で配達された。状態からして明らかに本物だと思われるし、ここまで手の込んだ偽物を作ってまで192円で売るとは思えない。中国の郵便代金がいくらだか知れないが、1元の儲けにもならないような気がするのだが。ちなみに、封筒は黄色いクッションが入った厚手のものが使われていた。

かぶっている帽子の形状、ベルトの掛け方が違っている。銃を持っている左の兵士が朝鮮人民軍、右が中国志願軍だと思うがどうだろうか。

中国語の解釈が正しければ、「朝鮮政府」が「贈」となっている。よって、このメダルは北朝鮮製ということになる。

「中国人民支援軍戦歌」 (モランボン楽団バージョン)
気勢も堂々と鴨緑江を渡り 私の祖国、私の故郷の平和のために
勇敢な中国の息子達、娘達、前進
抗米援朝でオオカミを粉砕しよう
Source: YouTube
「中国人民支援軍戦歌」 (中国映画バージョン)
気も強く高々と鴨緑江を渡り 平和と祖国と故郷のために
中国の息子、娘、共に団結し
抗米援朝、強盗米帝、粉砕しよう!
Source: YouTube
北朝鮮の説明だと、この時期(12月末)、朝鮮人民軍が「戦略的後退」をしたので、米帝は鴨緑江付近まで侵略し、クリスマスを迎える準備をしていたところ、朝鮮人民軍の猛反撃を喰らって敗走した、ということになっている。
メダルの裏面に記載してある簡体字、どう見ても1953年当時のものではなさそうです。
後年に支給されたものであれば話は別ですが。購入された値段を踏まえると、レプリカでしょうね。
以下ご参考まで。
中華人民共和国が建国された3年後の1952年、簡略字体の議論を受けて、漢字研究の機関として「中国文字改革研究委員会」が設立された。1954年に憲法が制定され、政務院が改組されるなど新体制への変化の中で、中国文字研究改革委員会も中国文字改革委員会に改名し、1955年に『漢字簡化方案草案』を発表した。翌年の1956年1月、この草案を基に『漢字簡化方案』(簡:汉字简化方案)が国務院より公布され[1]、514字の簡体字と54の簡略化された偏や旁が採用された。数年の使用実験を経て、簡化字は1959年までの4度改訂公布され、1964年に『簡化字総表』にまとめられた。
朝鮮政府が贈呈したものだとすれば、漢字の字体は中国で使用するものに左右されないのではないでしょうか。この時期、朝鮮では植民地時代に日本から持ち込まれた漢字が残っており、それを使ってメダルに刻印したということも考えられます。また、このセラーは、多種多様な古いメダルを1個ずつ出品しており、いくら人件費が安い中国であれ、ある意味、ここまで手の込んだレプリカを1つだけ作って販売しても元は取れないのではないかと思います。その後、見つけたのですが、同じデザインの朝鮮語バージョンもあり、別のセラーが高い値段で売っています。
レプリカかどうかは別とし、朝鮮戦争を記念するコレクションとしては興味深いと思っています。
> メダルの裏面に記載してある簡体字、どう見ても1953年当時のものではなさそうです。
> 後年に支給されたものであれば話は別ですが。購入された値段を踏まえると、レプリカでしょうね。
>
> 以下ご参考まで。
>
> 中華人民共和国が建国された3年後の1952年、簡略字体の議論を受けて、漢字研究の機関として「中国文字改革研究委員会」が設立された。1954年に憲法が制定され、政務院が改組されるなど新体制への変化の中で、中国文字研究改革委員会も中国文字改革委員会に改名し、1955年に『漢字簡化方案草案』を発表した。翌年の1956年1月、この草案を基に『漢字簡化方案』(簡:汉字简化方案)が国務院より公布され[1]、514字の簡体字と54の簡略化された偏や旁が採用された。数年の使用実験を経て、簡化字は1959年までの4度改訂公布され、1964年に『簡化字総表』にまとめられた。
改めて見ると「戦」など簡体字が入っていますね。そして、朝鮮戦争当時のものとされる中国の写真を見ると、まだ繁体字が使われています。そうすると、朝鮮戦争終結時に贈呈されたものではなく、何年か後の7.27に贈呈されたものの可能性もありますね。
> 朝鮮政府が贈呈したものだとすれば、漢字の字体は中国で使用するものに左右されないのではないでしょうか。この時期、朝鮮では植民地時代に日本から持ち込まれた漢字が残っており、それを使ってメダルに刻印したということも考えられます。また、このセラーは、多種多様な古いメダルを1個ずつ出品しており、いくら人件費が安い中国であれ、ある意味、ここまで手の込んだレプリカを1つだけ作って販売しても元は取れないのではないかと思います。その後、見つけたのですが、同じデザインの朝鮮語バージョンもあり、別のセラーが高い値段で売っています。
>
> レプリカかどうかは別とし、朝鮮戦争を記念するコレクションとしては興味深いと思っています。
>
>
> > メダルの裏面に記載してある簡体字、どう見ても1953年当時のものではなさそうです。
> > 後年に支給されたものであれば話は別ですが。購入された値段を踏まえると、レプリカでしょうね。
> >
> > 以下ご参考まで。
> >
> > 中華人民共和国が建国された3年後の1952年、簡略字体の議論を受けて、漢字研究の機関として「中国文字改革研究委員会」が設立された。1954年に憲法が制定され、政務院が改組されるなど新体制への変化の中で、中国文字研究改革委員会も中国文字改革委員会に改名し、1955年に『漢字簡化方案草案』を発表した。翌年の1956年1月、この草案を基に『漢字簡化方案』(簡:汉字简化方案)が国務院より公布され[1]、514字の簡体字と54の簡略化された偏や旁が採用された。数年の使用実験を経て、簡化字は1959年までの4度改訂公布され、1964年に『簡化字総表』にまとめられた。
最初にコメントした者です。若干舌足らずだったものですから、二点補足を。
①字体から見る発行年について
>朝鮮政府が贈呈したものだとすれば、漢字の字体は中国で使用するものに左右されないのではないでしょうか。この時期、朝鮮では植民地時代に日本から持ち込まれた漢字が残っており、それを使ってメダルに刻印したということも考えられます。
このご指摘については、当たらないと思います。字体は中国の簡体字でありまして、戦前に日本で使用されていたいわゆる旧字体とは明らかに異なるものです。
また旧字体には画数を減らした俗字があり、これが簡体字に若干似ているものもありますが、これは主に民間で手書きの場合に使われており、北朝鮮が50年代にわざわざそれをフォントとして作成することは蓋然性としてかなり低いと考えます。旧字体と繁体字・簡体字の差異については、学術的な教育を受けた中国語話者なら誰でも分かると思います。
よって、ご指摘の「植民地時代に残っていた字体を使用」説は成り立ちません。
ちなみに中国政府は、「戦」を1956年2月1日公布の第一次簡化表で、「国」を同年6月1日の第二次簡化表で、簡体字に定めています。また、「鮮」「贈」「紀」は55年1月に「漢字偏旁手写簡化表」で偏や旁の簡体字化しました。その後、紆余曲折を経て、最終的には1964年5月の「簡化字総表」で取りまとめられることになりました。
前置きが長くなりましたが、このメダルで使用されている簡体字は、56年6月以降に政府としてオーソライズされた文字になります。(56年の政府公表から64年までの間も、段階的な普及のため、期間には8年程度の幅があると考えられます。)
よって、このメダルが1953年に北朝鮮で発行されたという仮説は成り立ちません。もしこのメダルが本物だとしたら、文革による中朝間の関係疎遠化も考慮すると、相当後年の発行である可能性が高いと考えられます。
②真贋について
>また、このセラーは、多種多様な古いメダルを1個ずつ出品しており、いくら人件費が安い中国であれ、ある意味、ここまで手の込んだレプリカを1つだけ作って販売しても元は取れないのではないかと思います。その後、見つけたのですが、同じデザインの朝鮮語バージョンもあり、別のセラーが高い値段で売っています。
私も昔から中国各地の「旧貨市場」を見て回ってまして、露骨な贋物を数多く見てきました。
ご指摘の「1つだけ作って」が何を根拠にそう判断されたか分かりませんが、私の経験からはこのようなものは大量に生産されて広く流布している可能性があると見ています。
一般的に各地の「旧貨市場」では、明らかな贋物やレプリカでも「本物だ」と言って法外な値段で売り付けてくることがあります。当然事情の知らない外国人などは珍しさから言い値同然で買ってしまう方もいます。また、複雑なことに、贋物の中に本物も混ざっており、それがさらに素人の判断を迷わせるわけです。
作り手からしたら、沢山模造したうちの幾つかだけでも法外な値段で売れれば、あとは二束三文でも構わない訳です。
このような中国人の商魂を見てきましたので、「一つだけ作っても儲けにならない」というのは極めて日本人的な発想だと感じています。
おそらくそのセラー出品している高価なメダルは、高価で掴まされたものか、本物かのどちらかだと思います。
いずれにせよ、前述の字体の怪しさと、中国における古物の流通セオリーを知ってるものから見ると、どうしても極めて怪しいと言わざるを得ないため、余計なことを申し上げた次第です。
ご参考まで。
詳しいご説明、ありがとうございます。色々と勉強になりました。偽物だとしても、200円で多くを学んだので良かったです。
> 最初にコメントした者です。若干舌足らずだったものですから、二点補足を。
>
> ①字体から見る発行年について
>
> >朝鮮政府が贈呈したものだとすれば、漢字の字体は中国で使用するものに左右されないのではないでしょうか。この時期、朝鮮では植民地時代に日本から持ち込まれた漢字が残っており、それを使ってメダルに刻印したということも考えられます。
>
>
> このご指摘については、当たらないと思います。字体は中国の簡体字でありまして、戦前に日本で使用されていたいわゆる旧字体とは明らかに異なるものです。
> また旧字体には画数を減らした俗字があり、これが簡体字に若干似ているものもありますが、これは主に民間で手書きの場合に使われており、北朝鮮が50年代にわざわざそれをフォントとして作成することは蓋然性としてかなり低いと考えます。旧字体と繁体字・簡体字の差異については、学術的な教育を受けた中国語話者なら誰でも分かると思います。
> よって、ご指摘の「植民地時代に残っていた字体を使用」説は成り立ちません。
>
> ちなみに中国政府は、「戦」を1956年2月1日公布の第一次簡化表で、「国」を同年6月1日の第二次簡化表で、簡体字に定めています。また、「鮮」「贈」「紀」は55年1月に「漢字偏旁手写簡化表」で偏や旁の簡体字化しました。その後、紆余曲折を経て、最終的には1964年5月の「簡化字総表」で取りまとめられることになりました。
>
> 前置きが長くなりましたが、このメダルで使用されている簡体字は、56年6月以降に政府としてオーソライズされた文字になります。(56年の政府公表から64年までの間も、段階的な普及のため、期間には8年程度の幅があると考えられます。)
> よって、このメダルが1953年に北朝鮮で発行されたという仮説は成り立ちません。もしこのメダルが本物だとしたら、文革による中朝間の関係疎遠化も考慮すると、相当後年の発行である可能性が高いと考えられます。
>
> ②真贋について
>
> >また、このセラーは、多種多様な古いメダルを1個ずつ出品しており、いくら人件費が安い中国であれ、ある意味、ここまで手の込んだレプリカを1つだけ作って販売しても元は取れないのではないかと思います。その後、見つけたのですが、同じデザインの朝鮮語バージョンもあり、別のセラーが高い値段で売っています。
>
> 私も昔から中国各地の「旧貨市場」を見て回ってまして、露骨な贋物を数多く見てきました。
> ご指摘の「1つだけ作って」が何を根拠にそう判断されたか分かりませんが、私の経験からはこのようなものは大量に生産されて広く流布している可能性があると見ています。
>
> 一般的に各地の「旧貨市場」では、明らかな贋物やレプリカでも「本物だ」と言って法外な値段で売り付けてくることがあります。当然事情の知らない外国人などは珍しさから言い値同然で買ってしまう方もいます。また、複雑なことに、贋物の中に本物も混ざっており、それがさらに素人の判断を迷わせるわけです。
>
> 作り手からしたら、沢山模造したうちの幾つかだけでも法外な値段で売れれば、あとは二束三文でも構わない訳です。
>
> このような中国人の商魂を見てきましたので、「一つだけ作っても儲けにならない」というのは極めて日本人的な発想だと感じています。
>
> おそらくそのセラー出品している高価なメダルは、高価で掴まされたものか、本物かのどちらかだと思います。
>
> いずれにせよ、前述の字体の怪しさと、中国における古物の流通セオリーを知ってるものから見ると、どうしても極めて怪しいと言わざるを得ないため、余計なことを申し上げた次第です。
>
> ご参考まで。