「“金正日の妹”金敬姫に重病説…正恩体制安定の最大変数に」(2012年9月28日 「中央日報日本語版」)
韓国の「中央日報」や日本のメディアで「金敬姫重病説」が伝えられてた。彼女については、これまでも「重度のアルコール依存症説」が言われてきたが、今回は9月25日にされた第12期第6次最高人民会議に欠席したことがこの報道のきっかけになっている。別記事にも書いたように、私も同会議の模様を伝える動画は見たのだが、彼女がいないことは気がつかなかった。「労働新聞」の同会議について伝える記事に重要出席者として名前が出ていないので欠席したのだろう。動画でも確認したところ、彼女の顔は見えなかった。ただ、彼女が金正恩現地指導に同行した際に、必ずしも名前は紹介されず「労働党関係者」という一団として紹介されることもあるので、名前が出ないことが欠席とは必ずしもいえないようだ。
「中央日報」記事:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120928-00000018-cnippou-kr
それで、彼女がいつまで動画に登場するのかとをこれまでの金正恩現地指導動画ファイルを見ながら調べてみた。報道された金正恩さんの最新の現地指導は「平壌野菜科学研究所」(9月22日報道)などの指導であるが、これには彼女は同行していない。少し遡り、9月16日には金正恩さんは「芸術公演アリラン」を鑑賞しているが、この時の動画にも彼女は登場していない。さらに遡ると、「共和国創建64周年朝鮮人民軍音楽公演」(9月10日報道)、「錦繍山太陽宮殿参拝」(9月9日報道)、「平壌民俗公園現地指導」(9月8日報道)、「人民住宅訪問」(9月5日報道)にも同行していないようである。
金敬姫さんが登場した最新の公式報道は「大同江タイル工場の現地指導」(9月1日報道)である。ただし、新聞記事で紹介される随行者リストには彼女の名前はない。
軍服のようなものを着て歩く金敬姫(右端)

Source: 労働新聞、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-02-0001
すると、上の写真の軍服のようなもを着た女性が彼女なのかということになるが、金正恩さんが「青年節祝賀行事」(8月31日報道)で参加者と記念写真を撮影した際にも同様の軍服らしきものを着た女性が写っている。
金正恩さんの右2人目

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-21-11-y.flv
この2名は同一人物だと思われるが、そうであるとすれば間違いなく金敬姫さんである。気になるのは、彼女が軍服のようなものを着用していることである。確かに、彼女は人民軍大将なので、身分的には軍服を着てもおかしくないのだが、それまでは黒っぽい洋服(民間人の服)を着て登場することが多かったと記憶している(動画等は未確認)。それが、この時期に続けて軍服で登場したというのは、何か意味があるのだろうか。もしかすると、李英鎬解任との絡みで、崔龍海さんと共に彼女にも朝鮮人民軍管理を委託したのかもしれない。
その金敬姫さんが、ここ数週間、公式報道に登場しなくなったわけだが、どうしたのだろうか。それなりの年齢(66才)なので病気にもなろうが、重病かどうかは北朝鮮報道からは分からない。
私は、彼女は金正恩さんの後見人という役割の他に、党内派閥の調整役を担っていたのではないかと考えている。というのは、金正恩集団補佐体制は、3つのグループ、つまり親族グループ、高齢重鎮グループ(金日成・金正日時代からの中央幹部)、金正恩時代に急浮上したグループ(例えば、崔龍海)から構成されていると考えている。金敬姫さんは親族グループに属するわけだが、金正日さんとの血のつながりという点からすれば、絶対的な発言力はあるはずである。その彼女が、重病で倒れこの役割が担えなくなると、少なからず金正恩さんの派閥対立調整という負担が増大することは間違いない。それだけではなく、若い金正恩さんに果たしてその能力があるのかどうかも疑問である。
老人が病気になれば、重病ではなくても数週間入院することはあるので、しばらく様子を見なければ分からないが、彼女の健康問題は、今後の金正恩体制に少なからぬ影響を与えることは間違いない。
<追記>
同じく「中央日報日本語版」に今度は李雪主妊娠説が出た。金敬姫さんは、妊娠した李婦人の面倒を見ているという話のようだ。
「中央日報」記事:「金正恩夫人に妊娠説…20日以上公開活動せず」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120929-00000006-cnippou-kr
しかし、その逆も考えられるわけで病気の金さん(伯母さん)の面倒を李さんが見ていることもあり得る。
同記事によると「梨花女子大のキム・ソクヒャン教授は『リ・ソルジュは単に太っていると見るには体がむくれ、腹部が出方が普通でない』」と述べたそうであるが、キム先生は同大学の健康科学学部の教授なのであろうか。そうであるとすれば、医学的な見地からの観察なのだと思うが、そうでなければ、本ブログの過去記事にも書いた私の李雪主妊娠説と大して変わりはない。
「中央日報」記事:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120928-00000018-cnippou-kr
それで、彼女がいつまで動画に登場するのかとをこれまでの金正恩現地指導動画ファイルを見ながら調べてみた。報道された金正恩さんの最新の現地指導は「平壌野菜科学研究所」(9月22日報道)などの指導であるが、これには彼女は同行していない。少し遡り、9月16日には金正恩さんは「芸術公演アリラン」を鑑賞しているが、この時の動画にも彼女は登場していない。さらに遡ると、「共和国創建64周年朝鮮人民軍音楽公演」(9月10日報道)、「錦繍山太陽宮殿参拝」(9月9日報道)、「平壌民俗公園現地指導」(9月8日報道)、「人民住宅訪問」(9月5日報道)にも同行していないようである。
金敬姫さんが登場した最新の公式報道は「大同江タイル工場の現地指導」(9月1日報道)である。ただし、新聞記事で紹介される随行者リストには彼女の名前はない。
軍服のようなものを着て歩く金敬姫(右端)

Source: 労働新聞、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-02-0001
すると、上の写真の軍服のようなもを着た女性が彼女なのかということになるが、金正恩さんが「青年節祝賀行事」(8月31日報道)で参加者と記念写真を撮影した際にも同様の軍服らしきものを着た女性が写っている。
金正恩さんの右2人目

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-21-11-y.flv
この2名は同一人物だと思われるが、そうであるとすれば間違いなく金敬姫さんである。気になるのは、彼女が軍服のようなものを着用していることである。確かに、彼女は人民軍大将なので、身分的には軍服を着てもおかしくないのだが、それまでは黒っぽい洋服(民間人の服)を着て登場することが多かったと記憶している(動画等は未確認)。それが、この時期に続けて軍服で登場したというのは、何か意味があるのだろうか。もしかすると、李英鎬解任との絡みで、崔龍海さんと共に彼女にも朝鮮人民軍管理を委託したのかもしれない。
その金敬姫さんが、ここ数週間、公式報道に登場しなくなったわけだが、どうしたのだろうか。それなりの年齢(66才)なので病気にもなろうが、重病かどうかは北朝鮮報道からは分からない。
私は、彼女は金正恩さんの後見人という役割の他に、党内派閥の調整役を担っていたのではないかと考えている。というのは、金正恩集団補佐体制は、3つのグループ、つまり親族グループ、高齢重鎮グループ(金日成・金正日時代からの中央幹部)、金正恩時代に急浮上したグループ(例えば、崔龍海)から構成されていると考えている。金敬姫さんは親族グループに属するわけだが、金正日さんとの血のつながりという点からすれば、絶対的な発言力はあるはずである。その彼女が、重病で倒れこの役割が担えなくなると、少なからず金正恩さんの派閥対立調整という負担が増大することは間違いない。それだけではなく、若い金正恩さんに果たしてその能力があるのかどうかも疑問である。
老人が病気になれば、重病ではなくても数週間入院することはあるので、しばらく様子を見なければ分からないが、彼女の健康問題は、今後の金正恩体制に少なからぬ影響を与えることは間違いない。
<追記>
同じく「中央日報日本語版」に今度は李雪主妊娠説が出た。金敬姫さんは、妊娠した李婦人の面倒を見ているという話のようだ。
「中央日報」記事:「金正恩夫人に妊娠説…20日以上公開活動せず」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120929-00000006-cnippou-kr
しかし、その逆も考えられるわけで病気の金さん(伯母さん)の面倒を李さんが見ていることもあり得る。
同記事によると「梨花女子大のキム・ソクヒャン教授は『リ・ソルジュは単に太っていると見るには体がむくれ、腹部が出方が普通でない』」と述べたそうであるが、キム先生は同大学の健康科学学部の教授なのであろうか。そうであるとすれば、医学的な見地からの観察なのだと思うが、そうでなければ、本ブログの過去記事にも書いた私の李雪主妊娠説と大して変わりはない。