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    『学ぼう』:延吉、千年白雪会館、革命歌謡、「延吉労働亭」 (2018年7月20日)

    19日~21日まで、延吉に行き、常宿の柳京ホテルに泊まった。客こそ少なかったが、通常営業しており、例の若いニーチャンも元気そうだった。また、昨年10月とは顔ぶれこそ変わっていたが、朝鮮から来た従業員も今までと変わらずいた。昨年10月と比べると、全体的に緊張感が薄らいでいたが、昨今の朝鮮半島情勢、とりわけ朝中関係が影響しているのかもしれない。

    延吉では会議等の日程はなかったので、比較的時間の余裕があった。今回は、卒業生が延吉で合流し、話し相手になってくれ、楽しかった。この卒業生、数ヶ月前に延吉を訪れており、すっかり気に入ってしまったようだ。

    そんなこともあり、千年白雪会館には2日連続足を運んだ。ここも相変わらず営業しており、2階のレストランも3階の音楽食堂も客の入りは悪くなかった。

    2階食堂での公演は19時過ぎに始まり、5曲ぐらいの演奏があっただろうか。「国宝級楽団」系の楽曲は少なく、客層に合わせて中国の歌や朝鮮民謡のようなものがほとんどだった。ただ、「行こう、白頭山へ」は、千年白雪バージョンのアレンジが施されており、「歌舞」も上手に出来ていた。公演終了後、「ドンム、形象がとてもよく、歌舞も上手だった」と褒めたら、仲間に「あそこのイルボン(日本)ドンムが、私たちの形象と歌舞が良かったって」と言っていた。適切な「語彙」を使えばよく通じるものだ。

    お腹が空いていたので、平壌冷麺を注文した(ビールは基本)。食べていたら接待員が「おいしいですか」と話しかけてきたので、「元帥様は、南朝鮮大統領のために玉流館の冷麺を板門店で出されたが、この冷麺はどこから持って来たのですか」と尋ねると、嘘か誠か「私たちの冷麺も平壌の玉流館から持って来ています」という答えが返ってきた。確かに美味しかったが、どうなのだろうか。最後にスープが残りスプーンもなかったので、「これはどうやって飲むのか」と尋ねたら、器を持って飲むと。そして、「平壌冷麺は、スープの格別な味を楽しむものですよ」とも言っていた。

    冷麺を食べ終わった後、3階に上がった。3階に客は誰もおらず、ガラガラだった。2日間の観察で分かったことだが、3階は21時に2階の営業が終わると、そこにいた客が上がってきて少し客が増え、その後、どんどん客の数が増えていくというパターンのようだ。そして、基本的に1グループを1人の接待員が対応するという体制になっているようで、我らのところにも1人来た。もちろん同席することは絶対になく、注文を受けるためにテーブルの横に立っているだけであるが、話しかけるには都合が良い。

    今回は色々話したので、どのような脈絡だったのかは忘れてしまったが、立っていた接待員に「元帥様が英断をされ、歴史的な北南首脳会談が実現したし、トランプとも対面された。平和になっていいですね」と言ってみたが、反応は今一つ。なので、「ドンムは、平和を愛していないのか」と尋ねてみると、「平和は愛していますが、懇願はしません」と決定打。なので、「ドンム、それは『我々の銃槍の上に平和がある』と同じだね」と言うと、行ってしまった。政治的な話題だったので、まずかったのかもしれない。

    しばらくすると別の接待員がやって来た。この人とも色々話したので、脈絡を忘れてしまったが、自分は日本語の独習をしていると。何でも人民学校時代に総連から「教育実習」のために実習生の先生がやって来て、2ヶ月ほど自分たちを教えてくれたと。そんなこともあり、中国に来てから日本語を学んでいると言っていた。本はあるとは言っていたものの、話を聞いているとどうやら体系的な勉強は出来ていないようだった(ひらがな、カタカナ、漢字の意味合いもよく理解していなかった)。

    3階の公演は客の数とカラオケのリクエスト次第のようだ。初日は、同行した卒業生が3階に上がって直ぐに5~6曲連続で歌ってからは、客は我らだけだったのでしばらく静かだった。その後、21時過ぎに2階の客が上がってくると1度目の公演があったが、やはり客層に合わせて中国曲や古い朝鮮曲だった。2階同様、新しい曲も含まれており、千年白雪アレンジが施されていた。2階で歌った歌とは異なるが、アレンジの手法は同じで、どうやら一定のパターンに従ってやっているようだった。

    初日、3階には閉店間際の0時頃までおり、「明日も来て下さいね」と見送られながら柳京ホテル徒歩で帰った。

    2日目は、英子狗肉店で食事をしてから、千年白雪会館に行った。

    過去記事にも同店に朝鮮人がいることは書いたが、今回もたくさんいた。よって、注文は朝鮮語で出来るので助かった。店の前の看板には、「朝鮮音楽の公演」というようなことが書かれており、朝鮮服を着た女性が店の前に立っていた。この店には、これまで昼食の時間帯に来ただけなので分からないが、夕方から夜には公演付きの営業もしているようだった。しかし、それが英子狗肉店なのか、隣の別の店なのかは今一つ不明。ともあれ、朝鮮人を雇用している食堂の営業実態は、延吉に関しては確実に制裁前の状況に戻っているようだった。

    千年白雪会館に19時過ぎに着くと、ちょうど2階での公演が始まった。金曜日ということもあり、客の入りは前日よりも少し多めだったようだ。しかし、歌われたのは客層に合わせて中国楽曲と朝鮮民謡が中心で、演目としてはあまりおもしろくなかった。

    公演終了後に直ぐに3階に上がると、日本語を学んでいるという接待員がいた。この接待員、なんと自分が日本語を勉強したという小さな「学習帳(中国製)」を持って来ており、見せてくれた。物好きなオッサンは絶対また来ると確信していたようだ。見れば、単語帳のような感じに、50音順に規則性もない色々が語彙が書かれていた。また、本の活字を一生懸命写しているようで、活字で太くなっている部分はそのまま太くなるように塗ってあった。また、学習帳の表紙裏には、自分の名前が書いてあったが、従業員バッジに書かれている名前と同じだった。店では本名を使わないものとばかり思っていたが、学習帳にまで偽名を書くはずはないだろうから、少なくとも千年白雪会館では本名を使っているのであろう。

    何とも可愛かったので、ノートに「思想・道徳的」に良いメッセージをこっそりと書き込んでおいた(詳細後述)。

    その後、この接待員とは、じゃんけんの話や、指切りげんまんの話をした。「朝鮮ではじゃんけんはどうやるのか?」と聞いたところ、即答は「가위바위보(カウィ、パウィ、ポ)」と。北朝鮮では、そうは言わないことを知っていたので、「ドンム、それは南朝鮮の言い方だよ。ドンムは南朝鮮から来たのか」と言うと、「南朝鮮のお客さんも来るので」と。ここで終わっていれば、在中朝鮮人か朝鮮族疑惑が出てくるのだが、直ぐに「朝鮮では돌가위보(トル・カウィ・ボ)です。구치파(グ・チ・パ)とも言いますよ」と。「グ・チ・パ」は日帝時代に入り込んだ「グウ・チョキ・パー」の残存だと思った。一応、「uriminzokkiri朝鮮語大辞典」で調べてみたが、やはり出ていなかった。

    その後、どんな流れか忘れてしまったが、再び日本語の話になり、「外国語はたくさん知っていた方が良い」と。その系で、「元帥様は、ポムペオが来たときに通訳員がいなくても自由に英語で話しておられた。絶世偉人なので、外国語にも精通しておられるようで感動した」と持ち上げ、「人民は、元帥様に従うんじゃないのか」と問いかけると、「예(はい)」と。「ならば、元帥様に従い、外国語の勉強も一生懸命やりなさい」と言っておいた。「最高領導者同志」は、このような場面でも活躍する。

    その系で、「歌はないのですか」と言ってきたので、「『学ぼう』はあるのか」と聞いたところ、あるということで「学ぼう」を接待員同志と一緒に熱唱した。

    今日(25日)の『労働新聞』にも「安倍一味」非難シリーズが掲載されていたが、「安倍一味」について接待員がどのような反応を示すのか見たくて、「安倍一味」を批判する話題を持ちかけてみた。政治的な話だったからなのか、『労働新聞』6面はあまり読んでいないのかは分からないが、反応は今一つだった。

    その系で、嘘の話になり、さらに指切りの話になった。「朝鮮中央TV」で指切りをするシーンを見たことがあるのかどうかというと、今一つ記憶が曖昧だ。そんなこともあり、接待員に「朝鮮で指切りはどうやるのか」と尋ねたところ、途中までは日本と同じように小指を絡め、一番最後には親指に息を掛け、お互いに「印鑑」のように親指を押しつけあうというものだった。日本のように「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます」という歌があるのか聞いてみたら、「거짓말 거짓말 거짓말 하면 나쁜 놈이다(嘘、嘘、嘘ついたら、悪い奴だ)」と、日本の指切り歌と同じような感じで言っていた。これもやはり、日帝時代の残滓だろうか。

    2日目は、22時頃から客がどんどん入ってきて、ステージに近いところから7割ぐらいの座席が埋まった。酔っ払いが多かったこともあり、接待員に歌をリクエストしたり(1曲50元)、みずから歌を歌ったり(1曲50元)、公演中に踊ったりする人がいた。同行者も負けじとたくさんの歌を歌っていたが、23時を過ぎる頃には客が入り乱れて朝鮮の革命歌謡を歌いまくる状態になっていた。「愛国歌」と「金日成将軍の歌」を何回聞かされたか分からない。朝鮮語の歌なので、歌っているのは主に朝鮮族であったが、未確認ながら南朝鮮人もいたようだ。この人、へろへろに酔っ払っており、丁重に追い出されても再び店に舞い戻ってきて歌うことを何回となく繰り替えいしてた。もちろん、歌った分はしっかりと会計の対象にはなっていたが。そんな状態だったので、誰が歌っていようがお構いなしに前に出てきて合唱をする「延吉労働亭」状態。きっかけは、同行者の連発5曲カラオケだったのだが、この日、千年白雪会館は利益率が非常に高い売り上げを計上したことは間違いないし、しかもその売り上げが朝鮮革命歌謡によるものという事態も、そうしばしばはないであろう。とにかく、2時間近く、休みなくカラオケとリクエストが続いていたので、50曲以上あったことは間違いない(学生と行くカラオケボックス状態)。

    そんな熱狂の渦の中、時計を見ると0時半になっていた。閉店する雰囲気もなかったのだが、酩酊し何を言っているのか分からない朝鮮族のオッサンが絡んできたので、我らは戦略的後退を余儀なくされた。

    気になる会計であるが、1日目は2人で約1100元。この日は、同行者が歌いまくっていたので、「僕が払います」と気前よく払ってくれた(ちなみに彼は20年ぐらい前の卒業生で、立派な社会人)。ところが、2日目は嘘か誠か2人で188元だった。188元というのは、ざっと計算して飲食代だけである。理由は不明ながら、2日連続での来店、そして狂乱の渦のきっかけを作った貢献を評価してくれたのかも知れないが、普通に計算されていれば、前日以上であったことは間違いない。

    「(元帥様に従い、今度来るときまでに日本語を)一生懸命勉強しておくこと」と私が書いたのノートを持った接待員同志と指切りげんまん。
    20180720 shirayuk yakusoku

    <追記: 2018/07/26 1308>
    もう一つ思い出したことがある。『母なる党に捧げる歌』を歌いたかったのだが、どうしても曲名を思い出せなかった。仕方がないので、下の動画を頭浮かべ、「功勲国家合唱団の女性歌手が、独唱をし、カメラが色々な角度から撮影をして、練習風景も見せて・・」と説明をした。そしたら、接待員が、「これでしょ」とメロディーを口ずさんだ。「そうそう、ありますか」と言うと「ある」というので、歌うことにした。ところが、あるにはあるのだが、「功勲国家合唱団」の「男性独唱バージョン」で、カラオケではなかった。イントロの部分で、接待員同志、「厳粛な気持ちで」と一言。私の声域は狭いので、「朝鮮労働党」という盛り上がる部分では声がかれてしまうのだが、「厳粛な気持ちで」歌っていると、そこは同志がカバーしてくれた。


    Source: KCTV, 2017/09/12

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    来月、フィールドワークす致します!

    先生、お疲れ様です。
    柳京ホテル、来月の宿泊、ネット予約しました。朝食、納豆でご飯お代わりしたいです。
    千年白雪会館、是非とも行きたいです!

    Re: 来月、フィールドワークす致します!

    おお!そうですか!柳京は、ネットでも電話でも。ガラガラですから、飛び込みでも問題ないはずです。私は年寄りなので、ご飯を残してしまう方でして、お代わりは試したことがありません。納豆は美味しいですよ。ウズラの卵、海苔、ネギがちゃんと乗っています。千年白雪会館ですが、柳京からは徒歩で15分ぐらいです。人民公園横の川沿いの道を南に向かって歩いて行くとあります。後で、ブログにGoogle Earthの地図を貼り付けておきますね。

    > 先生、お疲れ様です。
    > 柳京ホテル、来月の宿泊、ネット予約しました。朝食、納豆でご飯お代わりしたいです。
    > 千年白雪会館、是非とも行きたいです!
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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