「<録画報道>朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第12期第6次会議開催」(2012年9月25日
第12期第6次最高人民会議の様子を伝える動画を「朝鮮中央TV」が放映した。
http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-25-12-y.flv
既に書いたとおり、この会議では12年義務教育の実施についてと組織問題(党人事)が議題となった。気になったのは、4月に行われた第5次最高人民会議と比べ、出席者が少ないことであった。4月の会議では、代議員総数687名中616名が出席していたが、今回は597名であった。代議員は、最高人民会議には最優先で出席するはずなのであるが、これだけの欠席者があるということは、代議員の高齢化が進行し病気などの理由で出席ができないということなのであろう。第12期代議員選挙は2009年3月8日に行われているが、代議員の任期は5年なのでまだ2年任期は残っていることになる。
会場の様子を見ると、軍人以外の代議員(男性)はネクタイを着用しスーツを着ており、女性は朝鮮服(チョゴリ)である。金正恩さんだけ人民服を着ているのだが、金正恩さんの写真が「労働新聞」に初めて大きく掲載されたとき、彼はネクタイをしてスーツを着ていた。その後、スーツ姿は見たことがないが、なぜだろうか。金日成さんはよくスーツを着ていたが、金正日さんのスーツ姿は見たことがない。もしかすると、金正恩さんは金日成さんを連想させるためにスーツでデビューしたものの、その後、多少なりとも金正日色を残すために人民服を着ているのかもしれない。北朝鮮ではスーツが依然として高価で、人民の手に届かないものであるとすれば、人民服の方が「人民に近い」感じを醸し出せるのかもしれないが、「朝鮮中央TV」の報道に登場する朝鮮人民は、そこそこスーツを着ているので、そんなこともないのかもしれない。それに、平壌の楽園百貨店で売っている人民服はとても高価だった(欲しかったが、とても非実用的な目的で購入できる値段ではなかった)。
それにしても、教育制度改革だけのために、なぜわざわざ最高人民会議を開催したのであろうか。民主的制度装置である「会議」を形式的にせよ、年に2回程度は開催した方が良いという金正恩さんの考えなのだろうか。あるいは、本来は一部メディアが報道していたように、経済改革案を議論する予定であったが、最終的な調整が付かずに教育制度改革にすり替えたのであろうか。
北朝鮮の教育制度改革は、金日成時代に2回行われ、金正日時代には一度も行われなかった。その意味では、金正恩さんが「金日成らしさ」を出すために教育改革を実施したとも考えられる。北朝鮮の報道では、先軍政治の結果、「核保有国となり、人工衛星を発射する国」となった北朝鮮は、「知識経済時代」に適合した教育を行わなければならないというようなことを言っている。北朝鮮が発表した文書を読むと、授業内容(カリキュラム)の再検討も求めている。これが何を意味するのかは分からないが、「主体革命偉業」を担うこれからの世代には「主体思想教育」以上に実用的(北朝鮮の言葉を使えば「実利的」)な教育をするような転換を考えているのかもしれない。
もしかすると、突然の経済改革をするのではなく、教育の中で「体制維持をしながらの改革・開放」への道筋をつけようとしているのかもしれない。それは、新たな教育内容は、子供たちだけではなく、最高指導者が発議した事案であるとすれば、全人民が学習することになるからである。
http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-25-12-y.flv
既に書いたとおり、この会議では12年義務教育の実施についてと組織問題(党人事)が議題となった。気になったのは、4月に行われた第5次最高人民会議と比べ、出席者が少ないことであった。4月の会議では、代議員総数687名中616名が出席していたが、今回は597名であった。代議員は、最高人民会議には最優先で出席するはずなのであるが、これだけの欠席者があるということは、代議員の高齢化が進行し病気などの理由で出席ができないということなのであろう。第12期代議員選挙は2009年3月8日に行われているが、代議員の任期は5年なのでまだ2年任期は残っていることになる。
会場の様子を見ると、軍人以外の代議員(男性)はネクタイを着用しスーツを着ており、女性は朝鮮服(チョゴリ)である。金正恩さんだけ人民服を着ているのだが、金正恩さんの写真が「労働新聞」に初めて大きく掲載されたとき、彼はネクタイをしてスーツを着ていた。その後、スーツ姿は見たことがないが、なぜだろうか。金日成さんはよくスーツを着ていたが、金正日さんのスーツ姿は見たことがない。もしかすると、金正恩さんは金日成さんを連想させるためにスーツでデビューしたものの、その後、多少なりとも金正日色を残すために人民服を着ているのかもしれない。北朝鮮ではスーツが依然として高価で、人民の手に届かないものであるとすれば、人民服の方が「人民に近い」感じを醸し出せるのかもしれないが、「朝鮮中央TV」の報道に登場する朝鮮人民は、そこそこスーツを着ているので、そんなこともないのかもしれない。それに、平壌の楽園百貨店で売っている人民服はとても高価だった(欲しかったが、とても非実用的な目的で購入できる値段ではなかった)。
それにしても、教育制度改革だけのために、なぜわざわざ最高人民会議を開催したのであろうか。民主的制度装置である「会議」を形式的にせよ、年に2回程度は開催した方が良いという金正恩さんの考えなのだろうか。あるいは、本来は一部メディアが報道していたように、経済改革案を議論する予定であったが、最終的な調整が付かずに教育制度改革にすり替えたのであろうか。
北朝鮮の教育制度改革は、金日成時代に2回行われ、金正日時代には一度も行われなかった。その意味では、金正恩さんが「金日成らしさ」を出すために教育改革を実施したとも考えられる。北朝鮮の報道では、先軍政治の結果、「核保有国となり、人工衛星を発射する国」となった北朝鮮は、「知識経済時代」に適合した教育を行わなければならないというようなことを言っている。北朝鮮が発表した文書を読むと、授業内容(カリキュラム)の再検討も求めている。これが何を意味するのかは分からないが、「主体革命偉業」を担うこれからの世代には「主体思想教育」以上に実用的(北朝鮮の言葉を使えば「実利的」)な教育をするような転換を考えているのかもしれない。
もしかすると、突然の経済改革をするのではなく、教育の中で「体制維持をしながらの改革・開放」への道筋をつけようとしているのかもしれない。それは、新たな教育内容は、子供たちだけではなく、最高指導者が発議した事案であるとすれば、全人民が学習することになるからである。