ミネソタ州政治集会でトランプ、5分間に「金正恩」4回、非核化の今後、ショート・タームの平和の連続 (2018年6月21日)
トランプが動画付きでツイートしたミネソタ州で開かれた政治集会の演説の中で、トランプが「金委員長」を含む「金正恩」を4回口にした。
トランプの話は、主として「非核化」合意を不十分とする米国政治家やメディアの批判に反論するものとなっている。トランプは、非核化について「total」な非核化だと言っている。「complete」を「total」と言い換えているが、シンガポール会談後の記者会見でも使っていた「comprehensive」に近い意味で使っているのであろう。
そして、北朝鮮が北部核試験場を破棄したこと、ロケットエンジンのテストベンチを破壊した(これから?)こと、核・ミサイル実験を中止したことなども成果として掲げている。
また、「北朝鮮に妥協しすぎた」という批判に対しては、自分は「会っただけ」で、その他のことは何もしていないと言っている。彼の「何もしていない」というのは、カネの話だと思うが、8月に予定されている「ウルチ・フリーダム・ガーディアン」米韓合同演習を中止するという決定は、「カネ」を節約する一方で、政治・軍事的な意味では北朝鮮に対し「大きなこと」をしてやったことになる。
さらなる非核化に向けた日程については一切口にしなかったが、今後、ポムペオが再び訪朝するなどしながら、進められていくはずである。
北部核試験場破棄やロケットエンジン・テストベンチの破壊は、「未来」の核・ミサイル実験に関する部分であり、一定の技術を獲得した北朝鮮にとっては比較的放棄が容易な部分である。問題は、「現在」の非核化で、これについても北朝鮮による何らかの行動が近い日時に実施されるものと思われる。少なくとも、8月に予定されていた合同軍事演習前に北朝鮮の象徴的な行動がなければ、トランプは米国内で強く批判され、彼の顔は潰れ、当然、11月の中間選挙の結果には大きなマイナス要因として作用する。「現在」の部分については、「可能な限りの」検証も含めれば多くの時間を要するが、それでも象徴的な行動をして、米国民に見せる必要はある。米国人専門家の目の前で「火星15」と「火星14」を解体するもよし、何個かの核爆弾を米国の船に積み込んで搬出させるもよし、とにかく分かりやすい「儀式」を挙行する必要がある。
トランプはまた、中国についても言及し、今回の非核化に向けた流れが、習近平による朝中国境統制の成果であり、そのことには感謝していると言っている。自分は中国製品に対して大きな関税を課したが、習近平は自分の友人であると言っている。この演説を聞いている限りでは、「元帥様」の訪中は、非核化に向けて肯定的なものだとトランプは評価しているような印象である。
トランプは、何よりも「アジアと世界に平和が来た」ことを過去数年間と対比しながら強調している。現時点において、それは間違いないし、さらに言えば「恒久の平和」など理想でしかないのだから、その時その時のショート・タームでの平和な状況を連続させていくことこそが重要である。昨夜、某国の大使館関係者と食事をしながら話をしていたのだが、上に書いたことと関連し、「貴国と日本が、今後50年間、絶対に戦争をしないと確言できますか?」と質問したところ、「絶対ない」とは答えなかった。ちなみに、「某国」は日本と友好関係にある国であり、普通に考えれば「戦争などしない」。
それにしても、約5分の演説の中で、彼は「元帥様」名前を5回、全てポジティブな文脈で口にした。そのたび毎に、トランプを支持する群衆は歓声を上げていたが、1年前であれば、「元帥様」の名前に続くのはブーイングであったはずである。
米国も変わったものだと思いながら、動画を見ていた。
北朝鮮に関する言及は26分~32分頃まで。
Source: Fox News YouTube, 2018/06/21
<追記: 2018/06/21 1225>
トランプは、米国人人質3人を解放したこと、また米兵の遺骨200体が米国に送られたことについても言及した。
トランプの話は、主として「非核化」合意を不十分とする米国政治家やメディアの批判に反論するものとなっている。トランプは、非核化について「total」な非核化だと言っている。「complete」を「total」と言い換えているが、シンガポール会談後の記者会見でも使っていた「comprehensive」に近い意味で使っているのであろう。
そして、北朝鮮が北部核試験場を破棄したこと、ロケットエンジンのテストベンチを破壊した(これから?)こと、核・ミサイル実験を中止したことなども成果として掲げている。
また、「北朝鮮に妥協しすぎた」という批判に対しては、自分は「会っただけ」で、その他のことは何もしていないと言っている。彼の「何もしていない」というのは、カネの話だと思うが、8月に予定されている「ウルチ・フリーダム・ガーディアン」米韓合同演習を中止するという決定は、「カネ」を節約する一方で、政治・軍事的な意味では北朝鮮に対し「大きなこと」をしてやったことになる。
さらなる非核化に向けた日程については一切口にしなかったが、今後、ポムペオが再び訪朝するなどしながら、進められていくはずである。
北部核試験場破棄やロケットエンジン・テストベンチの破壊は、「未来」の核・ミサイル実験に関する部分であり、一定の技術を獲得した北朝鮮にとっては比較的放棄が容易な部分である。問題は、「現在」の非核化で、これについても北朝鮮による何らかの行動が近い日時に実施されるものと思われる。少なくとも、8月に予定されていた合同軍事演習前に北朝鮮の象徴的な行動がなければ、トランプは米国内で強く批判され、彼の顔は潰れ、当然、11月の中間選挙の結果には大きなマイナス要因として作用する。「現在」の部分については、「可能な限りの」検証も含めれば多くの時間を要するが、それでも象徴的な行動をして、米国民に見せる必要はある。米国人専門家の目の前で「火星15」と「火星14」を解体するもよし、何個かの核爆弾を米国の船に積み込んで搬出させるもよし、とにかく分かりやすい「儀式」を挙行する必要がある。
トランプはまた、中国についても言及し、今回の非核化に向けた流れが、習近平による朝中国境統制の成果であり、そのことには感謝していると言っている。自分は中国製品に対して大きな関税を課したが、習近平は自分の友人であると言っている。この演説を聞いている限りでは、「元帥様」の訪中は、非核化に向けて肯定的なものだとトランプは評価しているような印象である。
トランプは、何よりも「アジアと世界に平和が来た」ことを過去数年間と対比しながら強調している。現時点において、それは間違いないし、さらに言えば「恒久の平和」など理想でしかないのだから、その時その時のショート・タームでの平和な状況を連続させていくことこそが重要である。昨夜、某国の大使館関係者と食事をしながら話をしていたのだが、上に書いたことと関連し、「貴国と日本が、今後50年間、絶対に戦争をしないと確言できますか?」と質問したところ、「絶対ない」とは答えなかった。ちなみに、「某国」は日本と友好関係にある国であり、普通に考えれば「戦争などしない」。
それにしても、約5分の演説の中で、彼は「元帥様」名前を5回、全てポジティブな文脈で口にした。そのたび毎に、トランプを支持する群衆は歓声を上げていたが、1年前であれば、「元帥様」の名前に続くのはブーイングであったはずである。
米国も変わったものだと思いながら、動画を見ていた。
北朝鮮に関する言及は26分~32分頃まで。
Source: Fox News YouTube, 2018/06/21
<追記: 2018/06/21 1225>
トランプは、米国人人質3人を解放したこと、また米兵の遺骨200体が米国に送られたことについても言及した。