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    トランプが考えるCVID (2018年6月12日)

    12日、署名後のトランプ単独記者会見を英語で聞いている。某局では通訳入りで聞かざるを得なかったのだが、やはり通訳を通すと細かな情報が脱落してしまうようだ。


    Source: YouTube

    トランプに対しては、CVIDに関する質問が多く出されている。トランプは、「科学的にも機械的にも時間がかかる」ということで答えているが、トランプの言葉を聞いていると、どうやら「科学的にも機械的にも」証明されるCVIDではなく、信頼造成でのCVIDを言っているような気がしてきた。

    つまり、北朝鮮のように限りなく実用性がある核兵器と運搬手段を確保した国におけるCVIDは極めて困難であると言うことを認識しており、場合によっては、現実的に不可能と思っているのかも知れない。つまり、米国と同盟関係にある日本が、核武装をしようと思えば、技術と原料、運搬手段も全て持っている。日本が核武装で犠牲にする物があるとすれば、米国との同盟関係や国際的な立場、とりわけ唯一の被爆国という立場であろう。恐らく、韓国も技術と原料については同じことがいえるだろうし、他にも同じことが可能な国は多くあろう。

    しかし、日本の韓国も、そして米国と敵対関係にない国々は、当面、核武装する意思はない(北朝鮮の核を口実に核武装することはあり得るにしても)。

    だとすると、北朝鮮を「非核化」したとして、米国との敵対関係が続けば再び核武装を試みることは可能であろうし(その系では、Iはとても難しい)、その必要が無ければ、日本や韓国のように能力はあっても核武装はしない。

    トランプは、北朝鮮の現存の核攻撃能力(核とミサイル)を取りあえずそぎ落とし、当面の攻撃能力もそぎ落とし、それが一定のポイントから後戻りしないよう、信頼造成措置を取ろうとしているような気がしてきた。いわば、CVIDという空想に近いゴールから、現実的かつ現実世界でアプライされているレベルでの妥結を図ろうとしているような気がする。

    そのためには、元帥様との信頼関係を築く、そのスタートとなったのが、今日の朝米首脳会談の本当の意義と考えているのかも知れない。記者会見のトランプ発言を聞いていると、元帥様にとても気を使っている。例えば、記者が提起した人権問題については、北朝鮮の人権状況が良くないことは認めつつも、「北朝鮮だけの話ではない」と言っている。人権状況が悪い国が北朝鮮だけではないことは事実であるし、とにかく、信頼関係を構築していくためには、北朝鮮という国と体制を否定したら何も始まらない。

    トランプは、「元帥様」や随行員にipadで会見前にスクリーンで流されていた動画を見せたという。この動画も、いずれどこからかダウンロードできるようになると思うが、間接的に見ていたあの動画は、北朝鮮を否定することなく、北朝鮮の明るい未来を見せる内容となっていた。元帥様は何回も登場し、普通の朝鮮人民もたくさん出ていた。決して、韓国科した北朝鮮でも米国化した北朝鮮でもなかった。今の北朝鮮体制の中で、豊かになっていく北朝鮮の姿が描かれており、だからこそ、トランプの言っていることが事実であれば、「元帥様」以下、北朝鮮の参加者は、あの動画に自分たちも含む北朝鮮の明るい未来を見たのであろう。

    まだ、20分ぐらい動画は残っているが、この記事を投稿してから見ようと思う。

    <追記: 2018/06/12 2343>
    就寝前のビールを飲みながらあと少し書いておく。

    結局、北朝鮮が「良い」と評価した、「トランプ・モデル」なるものは明確にされなかった。上に書いたことが「トランプ・モデル」なのかもしれないし、全くの的外れなのかも知れない。ただ、「リビア・モデル」ではないことは確かだと思う。だとすると、友好的な関係を築きつつ、できる限りの非核化をさせ、その関係を維持する。その障害となるのは、もちろん韓国である。文在寅政権がいつまでも続くとは限らない。だからこそ、「板門店宣言」という言葉を北朝鮮との宣言文に盛り込み、韓国に保守政権が誕生しても、米国は「板門店宣言」の精神を尊重するというある種の楔を打ち込んだ可能性がある。一方、韓国とも米国とも良好な関係にある限りにおいて、北朝鮮には米国に対する「核攻撃能力」は保有させない。

    原理主義的人権や原理主義的民主主義的な考えを放棄すれば、案外、現実的な方途のような気がしている。

    トランプは、「今日の会談での勝者は、(抑圧されている)朝鮮の何千万の人々だ」と言っている。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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