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    中国・韓国雑感

    昨日、中国の長春での国際会議に参加し、帰りに釜山に寄って帰国した。その間に、北朝鮮が日朝関係について「朝鮮中央通信」を通じて論説を出したりしているが、これらについては別途、記事にしようと思う。本記事では、いろいろと雑感を書いておこうと思う。

    1.日中関係
    日本が尖閣を国有化したことについて、中国政府が強く反発、そして各地でデモが起こっている。長春でもデモが予定されたという話は聞いたのだが、実際にあったのかどうかは分からない。また、私が滞在期間中、特に不快なできごともなかった。タクシー運転手に「何人か」と聞かれたよう(中国語はよく分からない)なので、トラブルを避けるために「韓国人」と言っておいた。パスポートを見せろと言われない限りは、韓国人には化けられる(相手が朝鮮族であっても)。

    しかし、部屋でテレビを見ていると、一日中、尖閣関連のニュースをやっていた。とはいえ、中国各地のチャンネルをぐるぐる回していたので、そう思っただけなのかもしれないが、尖閣関連の報道が非常に多かったことは事実である。そしてもう一つは、「旧日本軍と中国人民の戦い」に関するドラマである。こちらは、尖閣と無関係にいつも放映しているのだが、この時期は特別に感じた。北朝鮮でも反日武装闘争を扱った番組は非常に多いが、やはり朝鮮労働党にとっても中国共産党にとっても、その正統性の証明としての反日武装闘争は非常に重要であるのだろう。その点、韓国の政権は反日武装闘争を正統性の証明と考えていない(反日色が強い李承晩時代ですらそうであったはずだ)。私が韓国にいた80年代も「悪い日本人」が登場するドラマはしばしば放映されていたが、武装闘争色はほとんどなかった。政治体制が異なるので当然といえばそれまでだが、興味深い点である。

    ホテルの近くに南湖公園があるので、散歩をした。中国語はよく分からないのであるが、気のせいか中国人民の会話の中にも「リーベン(日本)」という言葉が多かったようだ。しかし思ったのは、「日本製品不買」などやろうにも絶対に無理だということである。これは、中国だけではなく、日中双方にとってである。南湖公園では、中国人民がCANONのカメラで写真を撮っている風景をよく目にした。しかし、CANON製のカメラとはいえ、多くはMade in Chinaである。つまり、日本メーカーは独自の事情(賃金コスト削減と市場確保)で中国で生産し、中国では雇用が創出(中国の先生は、日系企業に雇用されている中国人民は1千万人と言っていた)されている。そして、そのカメラを中国人民が使って写真を撮って楽しむ。直感的に思ったのは、相互依存関係が多重化している、いわば「多重的相互依存関係」が存在しているのではないかということである。

    今回の事態で、中国人民を刺激したのは、「国有化」という文字だという気がしてならない。日本では、石原都政の「都有化」よりも国有化した方が、円満に解決できるという議論が多く、私も実はそう思っていた。しかし、中国人民にとっては、どうやら「都有化」の方がよかったようだ。つまり、多くの中国人民は、石原都知事がどんな人であるか知るよしもない上、国と都では全く意味が違う。中国は社会主義の国だということを日本政府も私も忘れていたのかもしれない。つまり、中国は土地は全て「国有」なので、日本人が意識する以上に「国有」の意味は大きい。日本人にとっては、「国有」といっても「国が管理する」程度にしか思われないが、中国人にとっては、それが「主権を強く主張する」という意味合いで伝わっているのであろう。今後、この問題がどのように展開するのか分からないが、最悪、国は「国有地」尖閣を沖縄県に譲渡し「県有地」とすることも可能であろう。日本人にとっては、県有地であろうが国有地であろうが「民有地」との違いであるという点からしてほぼ同じであるが、中国人民にとっては、違った響きになるのではないだろうか。

    しかして、人口10億の国で10万人がデモをしたとしても、実際にたいした数ではないような気もする。そもそも、反日デモで中国共産党が入った建物に侵入しようとしたり、米国の外交官が乗った車を取り囲んだり、ましてや同じ中国人民が経営する「日本食店」を破壊するなど「反日思想」とは全く関係ない。多くの論者が論じているとおり、中国人民は経済発展の歪みにフラストレーションを募らせており、それを払拭する「公的な理由」がみつかれば、何でもやるのかもしれない。中国共産党もそれを恐れており、日中関係でジレンマに陥っている可能性は十分にある。やはりここは「小日本人」は「大中国人民」に対して、「大」局的な観点から対応する必要がある。しかし、「政治主導の外交」などほとんど期待できないので、外務省に頑張って欲しい。

    2.釜山
    釜山は、10年以上ぶりに訪問した。日中関係が緊張した時期でもあったので、韓国に着いてからはホッとした。何よりも、言葉が通じるのは嬉しい。釜山行きの飛行機が台風の影響で欠航したので、仁川経由で韓国入りしたのだが、初めてKTXに乗った。快適だし速いので良いのであるが、私はかつて乗った「セマウル号」の方が何となく好きだ。

    ソウルもそうだが、釜山もだいぶ変わっていた。しかし、裏通りに入ると、かつてのソウルのような町並みがまだ残っており、懐かしかった。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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