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    金ヨンチョルと会談後のポムペオ記者会見より:ポムペオは強者 (2018年5月31日 「米国務省」)

    31日に行われたポムペオ-金ヨンチョル会談後の記者会見のスクリプトが米国務省HPにあった。その中から、気になる部分をピックアップしておく。

    ***************
    記者:北朝鮮関係者と会った経験からして、今後の非核化への道程をどう考えているのか。

    ポムペオ:間違えないで欲しい。トランプ大統領も政権もこの問題がどれほど難しいのかを完全に理解している。北朝鮮は、彼らの核開発が政権を維持するための保障を与えるとみなして、核開発をしてきた長い歴史がある。今行われている一連の努力は、北朝鮮にトランプ大統領が言ったことを確信させることだ。もしそれを達成することができるかどうかは、北朝鮮が本当に非核化をする準備ができているのかどうか-それには核計画の全ての要素が含まれるのだが-、もし我々が、非核化した方がより大きな安全が保障され、逆に彼らの安全に対する本当の脅威は核計画を維持し続けることであることを彼らに確信させられるかどうかである。我々はそれについて多くの会話をした。もちろん、本当のテストは、それを実際に達成するときに試されるわけだが、双方が世界が求める北朝鮮の非核化と非核化を達成するために彼らが必要とする安全保障をどのように進めていくのか、どのような道筋に進むのかについて多くの会話がなされてきた。
    SECRETARY POMPEO: Yeah, this is – look, make no mistake about it. President Trump, this administration completely understands how hard this problem is. There is a long history where North Korea has viewed its nuclear program as providing the security that it needed for the regime. The effort now is to come to a set of understandings which convince the North Koreans of what President Trump has said. If we’re able to achieve it, if the North Koreans are prepared in fact to denuclearize – this includes all elements of their nuclear program – if we convince them of that, that in fact their security is greater, that in fact the real threat to their security is the continued holding onto of that nuclear weapons program and not the converse. We’ve had lots of conversations around that. The true test, of course, comes when we actually achieve this, but many conversations have been had about how we might proceed, what the path might be forward so that we can achieve both the denuclearization that the world demands of North Korea and the security assurances that would be required for them to allow us to achieve that.

    記者:会談は順調に進むのか、あるいは再び後退もあり得るのか。

    ポムペオ:マーサ記者、私は金正恩委員長と2回、そして今、金ヨンチョルと3回目の会談をした。私は、彼らと長い時間を過ごした。私は、彼らが、これまでに準備したことがない戦略的転換をどこでするのかというこれから先の道程について熟考していると信じている。これは、明らかに彼らの決定であり、彼らが決めなければならない。今言ったように、彼らは彼らが何十年も歩んできた道と根本的に異なる道を選ばなければならない。その道が真っ直ぐではないときがあっても、解決するのが難しく思えること、路上に障害物があるように見えること、そしてそれが乗り越えられないと思われるときがあったとしても、誰も驚かない。
    SECRETARY POMPEO: So Martha, I have had the chance to meet Chairman Kim Jong-un twice and now Kim Yong-chol three times. I’ve spent a great deal of time with each of them. I believe they are contemplating a path forward where they can make a strategic shift, one that their country has not been prepared to make before. This will obviously be their decision. They’ll have to make that. They’ll have to choose – as I just spoke about, they’ll have to choose a path that is fundamentally different than the one that their country has proceeded on for decades. It should not be to anyone’s surprise that there will be moments along the way that this won’t be straightforward, that there’ll be things that look hard and times it appears there’s a roadblock and sometimes, perhaps, even perceived as insurmountable.

    我々のすべきことはとても明確である。それは前に進められる-大統領は、その結果を出せる命題を試すために前に進めるよう私に命じた。私は皆が、この一時間一時間、一分一分を見守っていることを理解している。我々の道筋を描くこのプロセスは、数日、数週間かかるであろう。厳しいときもあるだろう、難しいときもあるだろう。私も彼らと難しいことについての会話をしたこともある。一方、彼らは、私に直ぐに応じることもあった。我々は挑戦の時代にあり、挑戦や困難の瞬間に驚くことも、恐れることも、抑止されることもあってはならず、次に橋渡ししていかなければならない。我々のミッションは、歴史的な結果が達成できるようそれらを橋渡ししていくことである。
    Our mission is incredibly clear. It is to continue to push forward – the President has directed me to push forward to test the proposition that we can achieve that outcome. So I know everyone’s following this minute by minute and hour by hour. This is going to be a process that will take days and weeks to work our way through. There will be tough moments, there will be difficult times. I’ve had some difficult conversations with them as well. They’ve given it right back to me too. There is – we’re decades into this challenge, and so one not ought to be either surprised or frightened or deterred by moments where it looks like there are challenges and difficulties, things that can’t be bridged. Our mission is to bridge them so that we can achieve this historic outcome.
    ***************************

    ポムペオという人は、国務長官に任命されたとき、とても頭の固い強行派のように言われた。しかし、上で訳出したような彼の話を聞いているととてもそのようには思えない。もしかすると、CIA長官という経歴があるからこそ、中央を強行突破するのではなく、相手と話をしながら、後略していき、結果を出すという手法を知っているのかもしれない。ポムペオは、「元帥様」との2回の会談、金ヨンチョルとの3回の会談を通じて、「敵」が何を要求しており、米国の目的を最も高い水準で達成するにはどうしたらよいのかをよく見抜いているような気がする。今後、道は平坦ではなく、困難なこともあるが、粘り強く米国の目標を達成するために進んでいくという姿勢が見える。この辺り、短気な素振りをするトランプの態度とのコンビネーションで、北朝鮮には非常に有効に作用しているように思われる。

    トランプがポムペオをどのように発掘したのかは分からないが、このようなおとは前任者のティラーソンでは到底できなかったであろう。

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    硬軟両様

     詳細な解説ありがとうございます。
    ポムペオ長官は、相当な人物ということがわかりました。
    アメリカ政府は、交渉は「硬軟両様」を駆使しています。
    とても元帥サマ、かないませんね~。
     それと、トランプは、「経済復興は日韓中で」と言っているようです。どのみち「奉加帳」は回ってきます。日本も言うべきことは言わないといけません!
    「拉致解決」「北の民主化」とか‼

    付(後略→攻略)

    Re: 硬軟両様

    私が聞いただけで、トランプは2回「韓中日は金を払え」といいましたから、請求書は回ってくるでしょうね。だとして、その金が日本にとって有効なものにする準備は全然できていません。韓国と中国は準備万端ですけど、それとロシアも。

    ところで、4日付け『労働新聞』を見ていたら、例の「鉄道橋」が「我々式の工法」と書いてありました。追って訳出してみようと思います。コメントお願いしておきます。

    >  詳細な解説ありがとうございます。
    > ポムペオ長官は、相当な人物ということがわかりました。
    > アメリカ政府は、交渉は「硬軟両様」を駆使しています。
    > とても元帥サマ、かないませんね~。
    >  それと、トランプは、「経済復興は日韓中で」と言っているようです。どのみち「奉加帳」は回ってきます。日本も言うべきことは言わないといけません!
    > 「拉致解決」「北の民主化」とか‼
    >
    > 付(後略→攻略)
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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