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    「人権圧迫?実に馬鹿げた言葉」:米国が北朝鮮「人権」状況を持ち出すことに警告、それで安倍政権は (2018年5月13日 「uriminzokkiri」)

    13日、uriminzokkiriに掲載された動画。米国が、朝米対話に「人権」問題を持ち出すことに反発する内容。動画では、米国が北朝鮮の人権状況を非難することができるのかと、米国の銃器犯罪や人種差別を例に反発している。

    それ自体はこれまでも続けてきたことであるが、タイミングとして興味深い点は、「元帥様」と国務長官ポムペオが「公式」に会談をした後、ポムペオがトップを務める「国務省」を非難している点である。もちろん、ポムペオの名前は出さず、動画では報道官のナウアートの写真を見せている。

    過去記事にも書いてきたが、核問題と人権問題を同時並行的に進めていくのは不可能である。人権問題を放置してよいわけではないが、それを改善するためにも、まず核問題から解決していく必要がある。「人権」は、北朝鮮の体制と直結する問題であり、核問題以上に解決することは難しいし、さらに言えば、米国も含めた外国の力で解決できる問題でもない。北朝鮮が主張しているように、人権状況が「完璧」な国などなく、それぞれ問題を抱えながら、改善の方向に徐々に向かっているのであり、その状況が好ましいのかどうかは、最終的には当該国の政府と国民の意思による。

    だから、これも繰り返し書いてきたが、日本人拉致問題は人権問題と結びつけるべきではない。拉致被害者の人権が著しく侵害されていることは間違いないが、結びつけるべきでないというのは、テクニカルに拉致被害者を1日も早く日本に帰国させるためにはということである。

    このところ、韓国のメディアでは、米国人3人が「釈放」されたことと関連し、北朝鮮に抑留されている元脱北者も含む6人の韓国籍を持つ人々の帰国をどのように実現するのかという話題がしばしば登場する。大凡、奪還するだの、国際共調をしながら取り戻すなどという話はなく、北朝鮮との話し合いの中で、非常に状況が困難な「元脱北者」も含めて韓国に戻れるようにしたいという見解が多い。

    その系でいえば、北朝鮮がずっと主張してきた「国情院に拉致・誘拐された12人の朝鮮食堂女性従業員」問題もある。韓国側が「6人」の問題を持ち出せば、北朝鮮側は当然、「12人」の問題を持ち出すであろう。当人たちの意思確認も含め、交渉が必要となる。しかし、韓国は、交渉の入口から何歩も踏み込んだところに立っている。

    話が韓国に行ってしまったが、残念ながら日本は、交渉の入口にも立てていない状況である。それだけではなく、北朝鮮の表現を待つまでもなく、「平壌に通じる道に自ら障害物を積み上げている」状況にある。安倍政権は、国内の政治状況が厳しい中、北朝鮮との交渉という危険なカードを引けないでいる。大きな賭である北朝鮮カードは、上手くいけば、本質的に問題が異なるにせよ、国内問題で低迷している安倍政権の支持率を一気に回復させる可能性もあるし、失敗すれば、さらに低下さえる可能性がある。

    安倍政権が順風満帆な時期であれば、失敗覚悟で北朝鮮カードを引けたであろう。結果的に失敗したが、安倍政権発足当初に北朝鮮との交渉に臨むことが出来たのは、安倍政権に対する国民の絶対的な支持があったからである。そして、結果として、拉致被害者を帰国させることは出来なかったが、それで安倍政権が傷つくことはなかった。もちろん、核・ミサイルを繰り返す北朝鮮が「悪」であるという認識が国民に浸透していたこともあるが、成功したか失敗したかにかかわらず、安倍政権の試みは評価されたはずだ。

    ところが、今はそれができない状況に陥っている。それがまさに、「米国との共調」、「最大の圧迫」ラッパを吹くだけで、実質的には何もできていない今の安倍政権の限界なのかも知れない。

    <追記: 2018/05/13 1220>
    安倍政権のことを書いていたら、肝心の動画を載せるのを忘れた。

    日本語字幕付き。

    Source: uriminzokkiri, 2018/05/13

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    No title

    興味深く拝見いたしました。

    日本の場合、
    拉致問題がとくに喫緊の課題ということになるのでしょうが、
    「政府認定の被害者の安否の確定」、
    つまり生存しているのならもちろん、万一ご存命でないとしても、
    それらを納得できる形で明らかにするのが、
    まずもって目指されるべき着地点であるように思います。

    「全員の帰還」とか「奪還」とかいう主張は、
    被害者の生命よりも、己の自尊心を優位においたものに感じます。
    被害者家族の方々を担いだ集会や運動も、
    時代錯誤な手法に感じられてなりません。

    被害者家族の方の映像を拝見するたびに、
    何とかならないものかと歯がゆい思いがします。

    Re: No title

    亡くなった被害者がいるとすれば、遺骨をきちんと送還することを要求する必要があります。そして、過去の遺骨鑑定の轍を踏まぬよう、第三国の信用できる鑑定機関に遺骨の鑑定を依頼すべきだと思います。当時よりは、遙かに鑑定能力も向上しているはずですから、正確な鑑定が出来るはずです。

    「全員」や「奪還」というのは、政治的なスローガンに近い目標値で、その目標に向けて、地道な努力を続けていく必要がありますね。被害者家族の映像を見る度に国民皆が胸を痛めていると思います。

    日本首相は「最優先の外交課題」と言ってますが、この頃はどうも違うようです。

    > 興味深く拝見いたしました。
    >
    > 日本の場合、
    > 拉致問題がとくに喫緊の課題ということになるのでしょうが、
    > 「政府認定の被害者の安否の確定」、
    > つまり生存しているのならもちろん、万一ご存命でないとしても、
    > それらを納得できる形で明らかにするのが、
    > まずもって目指されるべき着地点であるように思います。
    >
    > 「全員の帰還」とか「奪還」とかいう主張は、
    > 被害者の生命よりも、己の自尊心を優位においたものに感じます。
    > 被害者家族の方々を担いだ集会や運動も、
    > 時代錯誤な手法に感じられてなりません。
    >
    > 被害者家族の方の映像を拝見するたびに、
    > 何とかならないものかと歯がゆい思いがします。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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