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    「米研究所、河野外相発言に反論=北朝鮮核施設の活動減少」、安倍訪米、河野訪韓、日本の外交 (2018年4月3日 「時事通信」)

    2日、『時事通信』が、38 Northが日本外相河野の「核実験の用意を一生懸命やっているというのも見える」との発言に対し、「『過去数カ月に比べて活動は大幅に減少している』と反論した」と報じた。

    『時事通信』、「米研究所、河野外相発言に反論=北朝鮮核施設の活動減少」、https://news.yahoo.co.jp/pickup/6277632

    実は、この河野発言を聞いたときに、「何を根拠に」と直ぐに思った。38 Northは、「核施設周辺で動きがある」と報じてはいたが、「核実験の用意」とは言っていない。『時事通信』が引用している38 Northの原文では、最近の動きについて

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    しかし、北朝鮮は、最近の道路整備が示しているように、北朝鮮政府が核実験を決定すれば対応できるように、核施設が稼働できるよう維持し続けているように見える。

    Nevertheless, it is highly likely that the North Koreans continue to maintain the readiness of the nuclear test facility—one indication is recent roadwork—to allow nuclear testing in the future should Pyongyang decide to do so.

    38 North, Japanese Foreign Minister’s Reports of North Korea Preparing for Another Nuclear Test Not Supported by Commercial Satellite Imagery, https://www.38north.org/2018/04/punggye040218/
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    と、北朝鮮核施設周辺での動きを分析している。

    もちろん、河野は38 Northを引用したと言っていないが、38 Northの同記事では、河野のこうした発言の根拠が

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    「おそらく米国により提供された衛星写真に基づくものであろう」
    “may be based on satellite imagery provided by the United States.”
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    としていることから、38 Northが使った衛星写真と同じものを見ながら「核実験の用意を一生懸命やっている」と述べたと判断した模様である。

    そして、冒頭に書いた、「何を根拠に」の話に戻るのだが、私が思ったのは、まさか38 Northの衛星写真を曲解、あるいは拡大解釈しながら述べているのではなかろうということである。その一方で、日本が保有する軍事用スパイ衛星の情報をこんなところで明け透けに披露してしまってもよいのだろうかということでもあった。

    河野はどちらとも言っていないが、それらどちらでもない、もっと幼稚な「北風吹かせ」のための、その場限りの思いつきの発言だった可能性もある。

    日本首相安倍は、米国に行き「北朝鮮に関する政策を日米ですり合わせたい考え」だという。

    『読売新聞』、「安倍首相17日に訪米、トランプ氏と首脳会談へ」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180402-00050069-yom-pol

    「摺り合わせる」も何も、出発点から取り残されているのだから、「聞いてくる」以上のことはできないであろう。日本国内向けの実績宣伝用に帰国後、「拉致問題解決についてもしっかりとトランプ大統領にお願いした」というようなことを自慢げに語る日本首相安倍の顔は今から想像できるが、「お願い」したところで、拉致問題が朝米会談における上位の問題となる可能性は低い(しないよりは良い程度であろう)。拉致問題解決の重要性を、体制維持のための軽薄な宣伝用に使うのではなく、真剣に取り組むつもりならば、むしろ朝米会談後を見据えた拉致問題解決のための日本独自でやるべきことをしっかりと考えておく必要がある。

    核問題は、どのみち、妥結後に金を出す以外、日本は何もできないのだから「日米韓共調」と宣伝しておけばよい。しかし、逆に拉致問題解決は「日米韓共調」では解決できない問題であることをしっかりと再確認し、その努力を正しく推し進めていかなければならない。

    「北朝鮮に騙されるな」などということは、日本首相に言われなくても、関係国はよく分かっている。今、それを言って回ったところで、何の意味もないことがなぜ分からないのだろうか。

    外相河野も、拉致問題などの話をするために韓国訪問を検討中という。過去記事にも書いたが、文在寅は「分かりました」と言うであろう。しかし、韓国が抱える北南間の重要アジェンダに「日本人拉致問題」が入ったとしても、下位であることは間違いない。こちらももまた、しないよりは良いぐらいの話である。

    『東京新聞』、「河野外相、来週に初訪韓 大統領に拉致問題提起を要請へ」、http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018040201002090.html

    出遅れたなら出遅れたで、次にすべきことをきちんとやれば良い。しかし、今の政権を見ていると、政権維持のために「北風」を利用することと、日米同盟を叫ぶことには長けているが、独自の外交は麻痺しているように思えてならない。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
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