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    「中国は朝鮮半島の変化にどう反応すべきか」:朝米関係急展開に当惑、「元帥様」の仕返し、中朝関係を強調、米朝首脳会談の場として北京? (2018年3月9日 「Global Times」)

    9日、Global Timesに、金-トランプ会談の可能性が高まっている状況の中で中国はどうすべきかに関する「社説」が掲載された。以下、要点。

    Global Times, How China should react to dramatic Korean Peninsula changes, http://www.globaltimes.cn/content/1092567.shtml

    *******************
    中国人民は、冷静かつ落ち着いているいるべきで、中国が排除されたという気持ちになってはならない。
    Chinese people should stay calm and remain poised, and avoid the mentality that China is being marginalized.

    中国と北朝鮮は正常な関係があり、イデオロギー的な関係以外にも、経済協力は双方の利益となっている。中国が北朝鮮に対して大規模な経済援助を提供しているという認識は間違いである。
    China and North Korea only have normal relations, apart from the ideological connection, and their economic cooperation is mutually beneficial. It is a misconception that China still provides huge amounts of economic aid to North Korea.

    中国の北朝鮮に対する影響力は、中国の国力と地政学的に近いところに起因している。中国は、国際的な制裁に影響を及ぼす能力があり、朝鮮半島情勢のステークホルダーでもある。しかし、中国は朝鮮半島問題解決の努力をリードできていない。
    China's influence on North Korea is based on China's increasing national strength and geopolitical closeness. China is capable of impacting international sanctions, and remains a stakeholder in the Korean Peninsula situation. However, China cannot lead the efforts to solve peninsula problem.

    それにもかかわらず、朝鮮半島情勢の流れは、中国が推進してきた方向に向かっており、中国の努力が実ったことを示している。中国が提唱してきた「ダブル・サスペンション(同時中断)」が表明され、「デュアル・トラック(並進)」アプローチが形作られている。
    However, the trend of the peninsula situation is in the direction that China has been pushing and shows China's efforts worked. The "double suspension" that China has advocated appeared, and the "dual-track" approach is taking shape.

    中国の周辺国が完全に米国の側に立ってしまうことはありえないので、大国としての中国は北朝鮮が「米国の方を向く」ことを憂慮する必要はない。朝鮮半島で核危機が発生して以来、中国は積極的に北朝鮮と米国の直接対話を求めてきたし、今、我々はそのアプローチを続けるべきである。金-トランプ会談は非核化と平和に貢献するであろうし、それは中国が最も望むことであることなので、中国がそれを不愉快に感じる理由はどこにもない。
    As a major power, it is unnecessary for China to worry about North Korea "turning to the US," as there will be no one around China that will completely side with the US. Since the very beginning of the peninsula nuclear crisis, China has been actively pushing for a direct dialogue between North Korea and the US, and we should continue to support this approach at this moment. If the Kim-Trump meeting will contribute to denuclearization and peace that China desires the most, China has no reason to be unhappy about it.

    現在、中朝関係が低迷しているのは、北朝鮮の核実験のせいであり、人々が思っているように、いわゆる歴史的あるいは文化的な要因、あるいは北朝鮮の指導者の人格によるものではない。
    The current low in China-North Korea relations is due to the North's nuclear tests, not the so-called historic or cultural factors or the North Korean leader's personality, which have been hyped by some people. China-North Korea ties will improve when the nuclear issue is settled.

    新しい技術の発展し、国際関係がシフトしたので、中国の地政学的バッファーとしての北朝鮮の重要性は著しく減少した。健全な中朝の結びつきは、中国にとってよりも北朝鮮にとってより重要である。中国は、米国と北朝鮮の接触を支持し、金-トランプ会談を歓迎する。当面、中国は積極的に変化した情勢に対処し、北朝鮮との関係を改善して行く方向に進めていく。
    With the development of modern technology and the shift of international relations, North Korea's significance as China's geopolitical buffer has been greatly reduced. Sound China-North Korea ties are more important to North Korea than to China. China should support the US-North Korea contact and welcome the Kim-Trump meeting. In the meantime, China should actively respond to the sharp change in the situation and improve relations with North Korea to further improve the direction.

    我々は、北朝鮮を尊敬すべきである。中国は、一方では国連安保理の権威を維持し、もう一方では、北朝鮮政府が米国政府と対話を通じた非核化を始めている時点での北朝鮮の権利を保護することを支援する。中国は、国際的な安保メカニズムを維持しつつ、北朝鮮が非核化を始めた時に米国に騙されたり握り潰されたりしないように支援する。
    We should respect North Korea. China will, on one hand, uphold the authority of the UN Security Council, while on the other hand, help protect the rights of North Korea when Pyongyang begins denuclearization talks with Washington. China will advocate the international security mechanism and help prevent North Korea from being deceived or squeezed by the US once it begins to denuclearize.

    中国は米国と北朝鮮の対話を歓迎し、非核化過程における北朝鮮の利益を守ることを意を徹して支援する。こうした努力をすることで、中国の利益は排除されることはない。
    China will welcome the dialogue between the US and North Korea, and resolutely support North Korea securing its due interests in the process of denuclearization. Through these efforts, China's interests will not be pushed aside.

    ********************

    中国は、朝米関係にこれほどドラスティックな変化が起こるとは想定していなかったし、朝鮮側も中国に韓国大統領特使との対談内容を一切(あるいは「ほとんど」)伝えていなかったのであろう。青瓦台関係者が言ったように、「元帥様」と韓国大統領特使の対話内容は、「代表団5人と文在寅」しか知らなかったのであろう。このあたり、「元帥様」も中国に裏切られたという感を持っており、唯一の同盟国である中国を飛ばして、韓米との関係改善を進めたのであろう。

    中国は怒るわけにはいかないので、「中国が排除されたという気持ちになってはならない」とは言っているが、実はこれが本心であることは間違いない。

    しかし、今回のような結果になったのは、そもそも中国が提唱してきた「ダブル・サスペンション」と「デュアル・トラック・アプローチ」と自画自賛気味に主張しているが、この点については、数日前に拙ブログに書いた記事の中でも認めているとおりである。

    そして再び「北朝鮮が『米国の方を向き』」、「米国の側に立ってしまうことはあり得ない」と、朝米首脳会談について「不愉快に感じる理由はどこにもない」と言いつつも、北朝鮮に対して釘を刺している。「元帥様」は、中国の仕打ちを痛く感じているはずだから、間違いなく、「米国の側に立つ」ことをちらつかせながら、中国からその間の「お詫び」として色々な支援を引き出すことを考えているはずであるし、中国もそう来ることが分かっているからこのようなことを言っているのである。

    そして、気を使いつつ、朝中関係の悪化は、「元帥様の(人格の)せいではない」とまで言いつつ、「元帥様」の気をなだめている。こういう台詞を言うのは、やはりカリスマ的指導者を重視する社会主義中国ならではであろう。

    それだけではなく、「中国は積極的に変化した情勢に対処し、北朝鮮との関係を改善して行く方向に進めていく」と、北朝鮮が「米国の側に立」たないようにニンジンをぶら下げ、さらに、米国は悪なのだから気をつけろとばかりに、「北朝鮮政府が米国政府と対話を通じた非核化を始めている時点での北朝鮮の権利を保護することを支援する。中国は、国際的な安保メカニズムを維持しつつ、北朝鮮が非核化を始めた時に米国に騙されたり握り潰されたりしないように支援する」とまで述べている。

    仮に、金-トランプ会談が本当に開催されることになれば、場所が問題となる。「元帥様」が米国に行くのは危険すぎるし、トランプが平壌に行くのはトランプの面子に傷が付く。朝米対話の門を開いたソウルという可能性もあるが、ソウルもやはり金-文会談に関する記事に書いた理由で、「元帥様」には安全でも「保守一味」の「妨害策動」で居心地が良い場所でもないであろう。

    東京は問題外なので(もちろん、東京で開催させられれば、安倍は名実共に「世界の安倍」になれるだろうが)、北京の可能性が高くなる。中国は、当然それを考えているであろう。

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    疎外感

     日本は蚊帳の外!みたいな論調がありますが、(蚊帳の外のほうが良いと思いますが)中国も、疎外感があるようですね。
     非凡(よく言えば)なトランプ不動産王のことですから、先は読めないです。ですから、日本は、中国に接近するのが、得策なのでは?貿易戦争も勃発しそうですから。

     チンピラアベも、「北京開催」を提案する度量があれば、よいことですね。焦ってワシントンに行くことは、ないですよ。
     

    Re: 疎外感

    今、『聯合ニュース』を読んだら、トランプが習近平に電話を掛けたと。詳細はこれから読みますが、「北京でよろしく」とでも言ったのではないでしょうか。


    >  日本は蚊帳の外!みたいな論調がありますが、(蚊帳の外のほうが良いと思いますが)中国も、疎外感があるようですね。
    >  非凡(よく言えば)なトランプ不動産王のことですから、先は読めないです。ですから、日本は、中国に接近するのが、得策なのでは?貿易戦争も勃発しそうですから。
    >
    >  チンピラアベも、「北京開催」を提案する度量があれば、よいことですね。焦ってワシントンに行くことは、ないですよ。
    >  
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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