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    「<テレビ連続劇>懲罰- 第15・16部」(最終回)(2012年7月23日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」の「懲罰」が完結した。最終回に至る2回は、若干時間が短かった。日本のテレビドラマなどは、1時間なら1時間、2時間なら2時間という時間枠に入るように作られているが、過去記事のコメントで情報を頂いたように、放送時間も時間帯もかなりバラバラのようである。

    かつて、大同江ビールのCMをテレビで流し、金正日さんが「資本主義的だ」と激怒して、CMが中止になったという話をどこかで読んだことがあるが、今でもCMは流れていないのであろうか。2010年夏に平壌のホテルで見ていたいくつかのチャンネルでは、CMはなかった。しかし、金正恩さんの「企業所間で競争させ、質を向上させる」という発想から行けば、CMを復活させるのも悪くないのではないだろうか。金正恩さんが視察したのは、「百貨店」だったので、各企業所からの商品が並べられていたようだが、一般商店ではどうなのであろうか。いずれにせよ、CMで企業所の自慢の製品を朝鮮人民に紹介することは悪いことではないと思う。

    商店ではどうなっているのか分からないが、社会主義経済体制下なので、飲食店で出されるビールは系列企業所から入ってくるビールしか飲めず、選択はできないのではないかというのが私の観察である。というのは、平壌空港で飛行機待ちの時間があったので、案内員ドンムと空港内の食堂でビールを飲んだ。その時、平壌ビール(だったはず)が出てきたので、大同江を帰国前にもう一度飲みたいと頼んだのだが、系列の企業所があるのでここにはないと言われた。これは、かつての中国でもそうだったようで、延吉には地元企業の「氷川ビール」しかなかった。社会主義体制ではないが、かつての韓国でも焼酎がそうであった記憶がある。

    実に意外であったのは、案内員ドンムが空港で飲んだビール代を払ってくれたことである。慣例で、案内員ドンムと運転手ドンムにはチップは渡したのだが、それでも「最後ぐらい」と遙かに金持ちの日本人民にビールをご馳走してくれたのは、朝鮮民族の美徳なのであろう。とても嬉しかった。怖い顔をした北朝鮮入管係官の前を無事通過できるか、ガラスドアの外から心配そうな顔で見ていた案内員ドンムたちの顔は今でも忘れない。

    話を「懲罰」にもどす。ストーリーは、勧善懲悪の形で終わっている。資本主義的だった写真店主と南の女スパイに一時抱き込まれた保安部長は、最後には改心するのであるが敵の銃弾で英雄的に死んでしまう。主人公はスパイ組織のボスを逮捕。一方、ヒロインはやはり敵の銃弾を受ける。このヒロインが死んだのか助かったのかは明確にされていないが、テーマ曲が流れる背景で主人公と共に海岸を歩いている姿が映し出されるので、助かったのかもしれない。

    南の組織の裏ボスがいて、最後に登場する。私はずっと目つきが怪しい鉄道保安隊の女性保安員だと思っていたのだが、そうではなくて主人公の食事の世話などをしていた食堂のオバサンであった。何でも、日本陸軍中野学校で教育を受け、解放後は南に包摂されたという設定である(なので、格闘技の技も凄い)。この人も結局、なんと私が怪しいと思っていた鉄道保安隊の女性保安員に「動くな」と頭に銃を突きつけられて逮捕される。

    心がぶれた人々は改心しつつも死に、悪者は全員死ぬか逮捕された。もちろん、ソウルにいて指令を出した米国人たちは生き残るのだが。

    そして、犯人逮捕の翌日、金日成特別列車は、現地指導に向かう金日成さんを乗せて出発する。

    観察総集編みたいになってしまうが、番組の中で「うどん」という言葉が出てきていた。時代設定が解放直後なので、「うどん」という言葉が出てきても不思議ではないが、今でも通じるのであろうか。80年代の韓国では「うどん」は普通に使われていた。

    日本人強盗に母親を殺され、それを契機にチンピラになった若者が南の女スパイ殺害容疑で逮捕されるのだが、取り調べを受けた後、担当官室に連れて行かれタバコを勧められる。その若者は、「俺は銃殺になるから、最後のタバコを勧めるのか」と言っていた。解放直後だったという事情があるにせよ、今でも「逮捕→取り調べ→銃殺」という流れがあるのだろうか。この若者は、実は無罪が証明され釈放されるのだが。その後、改心して祖国のために機関車工場で仲間のチンピラと共に働きで出す。

    ともかく、おもしろいドラマであった。金正恩さんの発議で、北朝鮮では「祖国解放戦争戦勝節記念行事」が行われることになったと、「労働新聞」などが伝えている。この時期は毎年そうなのかもしれないが、「祖国解放戦争」という記録映画が何部にも分かれてアップロードされているので、今度はこちらでも見ることにする。

    「懲罰」15・16部:
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-23-19.flv

    「労働新聞」記事:「我が党と祖国の歴史に特記すべき大慶事、敬愛する金正恩元帥様の直接的な発議により戦勝節慶祝行事が盛大に行われることになった」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-07-24-0001

    「朝鮮中央TV」:「祖国解放戦争 第6部」
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-24-14-y.flv

    <追記>
    uriminzokkiriに「懲罰」がおもしろかったというコメントを書いておいた。コメント一覧を見ると、ほとんどが中国からのものである。日本人からのコメントも公正に処理できるのであろうか。いたずら対策でもあろうが、投稿後、管理者の確認後に掲載するという文言が出た(このブログの設定と同じだ)。投稿は朝鮮語で行ったが、書いたことは以下のとおり。

    「連続劇「懲罰」は日本人が見ても、とてもおもしろかったです。時間が経つのを忘れて、最後まで見てしまいました」

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    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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