「20時報道」のトップで金正恩さんが「総連支部大会に祝電を送った」というニュースを伝えていたので、「労働新聞」を見たら、そちらにも同じ記事が出ていた。
http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-07-21-0001
これまで、金日成さんや金正日さんは「総連支部大会」に祝電を送ったかは未確認であるが、このニュースを聞いていていて気になったのは「祝電」で総連活動や在日朝鮮人を「高く評価」していることである。日本メディアには「<北朝鮮>正恩氏母の墓、6月下旬に設置 「高英姫」実名も」という記事が出ていたが、金正恩さんが総連を「高く評価」するのは母親紹介への準備作業であろうか。
「毎日新聞」:「<北朝鮮>正恩氏母の墓、6月下旬に設置 「高英姫」実名も」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120720-00000008-mai-int
「総連支部大会」なるものが何か分からないので、朝鮮総連HPをざっと見たが、日本語ページにも朝鮮語ページにもそれらしきことは書かれていない。「支部」というと例えば「東京支部」とか「大阪支部」とかいう日本国内での「支部」を意味するのかもしれないが、「支部」大会ごとしに金正恩さんがわざわざ祝電を送るだろうか。ちなみに同ページによると「支部執行委員会または3分の1以上の分会の要求があった場合、支部臨時大会を開催することができる」されている。
朝鮮総連HP:
http://www.chongryon.com/j/cr/index4.html
こうしたことから、金正恩さんが祝電を送ったのは「全体大会」ではないかと思われる。同ページによると、全体大会は「全体大会は、朝鮮総聯の最高決議機関であり、3年に1回、定期的に中央委員会が召集する。ただし中央委員会または地方執行委員会の3分の1以上の要求がある場合、臨時大会を召集することができる」となっており、全体大会は「1955年5月の結成大会から2007年5月の第21回全体大会まで21回、開かれている」とのことなので、2007年5月以降3年以上経過した2012年7月に北朝鮮の新体制発足との関連で開催されても不思議ではない。
今日本国内では支部ごとの競争が行われて
います。以前からそれはされてきました。
支部ごとだったり、金剛保険などでは
強盛支社決定戦を2年前ぐらいから金日成
主席100周年に向けてやってきたりもしま
した。ただ、そのような一つ一つのたゆま
ない努力に総聯中央がしっかりと目をむけず
金正日への忠誠ばかりを意識する姿が昨年
初めあたりから顕著になったところで金正日
が死去しました。死去前あたりから総聯の傘
下企業や機関でも距離を置く人が同時に多く
なってきているような実感がします。その上
一方で金正恩新指導者の周りに固く団結して
いくため今までと変わらず忠誠を誓うことが
新指導者発足後すぐに総聯中央で決まったの
で、総聯中央と支部や傘下団体や企業との溝
を埋めるため、金正恩第1書記が直接支部に
祝賀を送るという形で、総聯中央よりも支部の
頑張りを応援されているのかなあと思います。
もしかしたら在日の現状をご存じなのかなあと
思っています。新たな指導者には私もとても
好感を持っていますし期待しています.3世で
すが職場の同僚も総聯や共和国を支持はして
いますが、今までのような金正日への忠誠を
誓うだけでなく、ずっと日本で暮らすわけです
から在日の人権確立と民族教育発展に力を注い
で欲しいと思っています。その意味で、新たな
指導者の金正恩第1書記の自然な振る舞いや
笑顔を見ると何か良い方向に持って行ってくれ
そうな気がします。長くなってすみません。
このホームページはとても勉強になっています。
もっと多くの日本人や同胞が共和国の本当の
姿を知らないといけないと思います。
再びコメントありがとうございます。前回頂いたコメントでも「朝鮮中央TV」のスケジュールを詳細にご存じだったので、朝鮮総連と何らかの関係がおありの方かと想像していました。
総連と支部の関係、そして関連企業との関連についての「内部情報」を教えて頂き、ありがとうございます。お説のように、金正恩さんがそこまでの配慮をしているとなると、忠誠一辺倒という体制は、総連自体にとってもそして北朝鮮にとっても問題なのかもしれませんね。また、別の記事にも書きましたが、高英姫さんが在日出身なので、金正恩さんは在日朝鮮人社会に特段の関心を持っていても不思議ではないと思います。このことについて、在日朝鮮人の方は、どのように考えておられるのでしょうか。いつか、教えて頂ければと思います。
拙ブログが何らかの形でお役に立っているのであれば、とても嬉しく思います。記事にも書いておりますが、私も北朝鮮を訪問し、北朝鮮に対する考え方が変わりました。一言で「北朝鮮にも普通の人々が住んでいるのだ」というごく当たり前のことなのですが、それまで日本で触れていた報道からは、とてもそのようには思えませんでした。それが、拙ブログの名前の由来でもあります。
北朝鮮を無条件に称賛したり、無条件に批判することなく、できるだけ客観的に入手できる情報を分析しながら、ただし「論文」ではなくブログなので気軽に記事を書いております。昨年辺りからだと思いますが、北朝鮮がテレビ番組も含む各種情報をインターネットで発信するようになったので、私のようなカジュアルな研究者にとっても大変良い状況となりました。
また、何かありましたら、コメントをいただければ幸いです。
감사합니다.
私が知らないことも、このブログで
紹介してくださっているのでとても
うれしく思います。触れておられる
≪在日出身≫の件については、特段
意識したことは私はありませんし
多くの在日もさほど気にもとめない
かと思いますけれど、新しい領導者
がとにかく在日の方にも配慮して
くださればいいなあと希望している
人は多いと思います。金銭面の支援
でなくて、自由に物品のやりとりが
朝日間でまた復活するような環境を
作って欲しいです。これは日本政府
にも考えて欲しいといつも思ってい
ます。
コメント、ありがとうございます。私も北朝鮮について何を知っているわけでもなく、日・米・韓で出版された書籍や資料、北朝鮮が発するインターネット情報、そして韓国にいたころの経験や知見を基に拙ブログを書いているだけです。
在日朝鮮人一般の方々は、やはりあまり意識しておられないのですね。日本の一部の報道では「高英姫在日出身を隠蔽するために、総連が大変なことになっている」などというのもありますが、組織としての総連の身の処し方はさておき、普通の在日朝鮮人の方々にはあまり関係ないということが分かりました。
朝鮮民族あるいは韓民族という、南北関係のない民族としての在日朝鮮人、北朝鮮の公民としての在日朝鮮人、日本社会における朝鮮総連組織の一員としての在日朝鮮人という、三重のアイデンティティーの中で、在日朝鮮人の方々は、苦労されているのではないかと思います。
日本政府の北朝鮮制裁ですが、この点については過去記事に書いたと思いますが、ほとんど功を奏していないと私は考えています。日本に住んでおられるのでお分かりだと思いますが、日本の北朝鮮外交は「小泉訪朝」以降、事実上機能していないと思います。日本国民にとっては、北朝鮮は拉致と核・ミサイルで「けしからん国」ということなので、制裁を強化しておけば日本国民は誰も文句はいいません(政府としての筋は通るということです)。私とて、拉致と核・ミサイルは「けしからん」と思っています(別途、日本の朝鮮半島植民地化という歴史問題があることも分かっています)。ただし、日本政府が今課している国連安保理決議以上の最強の制裁は、拉致問題と核・ミサイル問題解決という日本の国益に合致するのか、そして東北アジアの平和と安定に寄与するのかということについて、大いに疑問を感じます。中国というバックドアが存在する限り、北朝鮮を制裁で締め付けても何の解決にも繋がらないということは、もう分かっているはずなのですが、国内の政治問題に汲汲とし、外交(対北朝鮮外交だけではありません)をないがしろにする現政権にとっては、「制裁をしていますよ」という方が都合が良いのだと思います。
と、堅い話を書きましたが、個人的には、北朝鮮から帰国後、人民大学習堂に本を送れなかったのが悔やまれます。人民大学習堂では、講師ドンム(平壌外大英文科卒業の実に聡明な女性。初めは朝鮮語で話をしていましたが、途中から英語に切り替えたところ実に流暢な英語でした)の他に、それなりの職位の男性が出てきて下さりました。どういう話の流れだったのかは忘れてしまいましたが、私は「古本はたくさんあるので帰国後に送る」と約束をしたのですが、制裁の影響で送ることができませんでした。過去に、北京を訪れた際に、朝鮮族が経営する食堂に入り、そこに日本語が分かるおばあさんがおり、日本の本が読みたいというので、そのおばあさんに帰国後に日本の文庫本小説(古本)をたくさん送りました。それと同じことができなかったのは、残念です。そのおばあさんは日本人だったのか、その血縁者だったのかはもう忘れてしまいましたが、私が送った本は読んでもらえたと思っています。
良好な国際関係とは、そういう小さな交流の積み重ねではないのでしょうか。
我々在日同胞のことをとても気遣
ってくださるお返事コメントを
ありがとうございました。
在日といっても言われるように
総聯と民団の幹部はじめ、その
傘下企業や支援する企業(パチン
コ経営者は両団体問わず幹部
だったりします)、そして
どちらの団体とも良い関係を築く
人(多くの同胞企業人)そして
どちらとも距離を置くひとなど
たくさん種類は分かれると思い
ます。私は故郷はいわゆる韓国
にあるし、たぶんほぼ9割がたの
同胞がいまの韓国慶尚道とチェ
ジュ道のはずです。にもかかわ
らず、なぜ総聯系もそれなりに
弾圧を受けながらも(私はそう
思っているので)続けていける
のかといえば、ウリマル(朝鮮
語のことです)の教育に力を
入れて誇りを持てるように子を
育てるという利点で共感してい
る人が圧倒的に多いと考えてます。
もちろん実は祖国訪問しても
うまく話せない同胞も多いです
がそれでもウリマルの教育に
力をいれる学校の存在は大きい
ですね。地区レベルの飲み会の
あとに少人数では,よく「いつ
韓国籍に変えるのかとか変えた
のか」などの会話も普通にしま
すが、仮に国籍を変えてもそん
なに多くの同胞にとっては大き
な問題ではなく、一部の総聯や
民団の幹部が問題視している
だけだと思っている人が実は
多いくらいです。
ところで小泉さんの話がありま
したが彼はやはり変人ですが
人情家だと評価しています。
それは金正恩総書記逝去の際に
きちんと総聯本部に足を運び
弔問したからです。祖国の人は
どう思っているのかわかりませ
んが私は仮に意見や戦争観の違い
はあっても彼の対話を一貫して
続けようとした姿勢をとても
評価したいですし、今の日本の
政府は結局のところ何もしてい
ないと感じます。ちなみに朝鮮
は内政不干渉の立場ですから
日本が動かない限りは、たぶん
朝日国交は無理だと思います。
コメントありがとうございます。やはり、言語というのはパワーがありますね。朝鮮学校の生徒たちを時々駅で見かけるのですが、朝鮮語で話していることが多いです。ただ、失礼な言い方かもしれませんが、この子たちが話す朝鮮語は、北朝鮮の朝鮮語でも韓国の韓国語でもない、日本のあるいは総連の朝鮮語になってきているような気がしてなりません。もちろん、言語としては朝鮮語であるし、何の問題もなく通じるのですが、オギャンというか独特の雰囲気があります。北朝鮮に行くまでは、あれは北朝鮮のオギャンかと思っていたのですが、行ってみるとそれとも違うことが分かりました。長い間日本語環境の中で生き延びるうちに変質したのではないかと思いますが、これは特殊な出来事ではなく、他の言語でもそういうことが起きた事例を言語学だったか文化人類学の本で読んだことがあります。
小泉さんについては、特に経済改革でいろいろな評価がありますが、「日朝平壌宣言」については韓国・朝鮮の研究者を除いてあまり語らないような気がします。私は「日朝平壌宣言」が非常に良くできた、つまり日本と北朝鮮の間にある種々の問題を包括的にかつ未来志向的に共に解決していこうという意思が盛り込まれた文書だと思います。日本と北朝鮮の関係は、やはりこの文書に立ち返るところから再構築することになるのだと思います。
最近、「金正恩さんが経済改革を指向しているのではないか」という記事が日本や韓国、そして中国のメディアによく登場します。私も、北朝鮮メディアを通じて入ってくる彼の行動や言動からそのような予感を感じます。北朝鮮の経済改革は、朝鮮人民にとっても周辺諸国にとってもよいことのはずですが、それを受けて日本はどう動くのでしょうか。衰えてきたとはいえ、日本の経済力は依然として甚大です。北朝鮮が経済改革を進めるとして、初めは中国との経済協力強化、韓国の次期政権次第では韓国との強化(あるいは回復)、そして次が外交関係がある西欧諸国と来るのではないかと思っていますが、いずれ日本となるのは間違いありません。その時に日本はどうするのか。今から考えておく必要があると思います。
実は私も朝鮮学校の出身です。ですが、
仕事柄、日常的にウリマル(朝鮮語)を
使用しているわけではありません。
電話などでは、よくいわれるチャンポン
状態になってしまいます。そんな時でも
ほとんど日本語で話しているとかウリマル
で話しているとかは全く意識しませんし
それ自体気づかないようです。よく親しい
日本人は「すごい不思議な会話だ」と驚か
れます。たぶん英語とかだと文法が異なる
ので、そうはいかないでしょうね。それでも
民族学校卒業生でない同胞たちは団体に関
係なく、日本語で話すしかない人も多いです
から、やはり民族教育の力は恐るべきだと
思っています。理解がない日本人の中には
民族教育では偏った歴史や「金ファミリー」
賛美の教育しかやっていない、みたいな話を
される人もいます。確かに私が少女時代は
そんな教育はされていましたが、一方でそ
れによって祖国への帰属感や民族の誇りの
ようなものを育ててくれた所だったと思い
ますし、今でも思いたいです。私も夫も民
族学校出身です。我が家の娘も今小学生で
すが、日本学校よりも学費が高いので民族
学校に入れるのをあきらめました。でも、
ウリマルは家で話すようにしてチャンポン
で構わないので使えるようになって欲しい
なと思っています。我が子のように日本学
校に通っている人のために、総聯民団とも
にサマースクール略してサマスがあり、
楽しい行事の合宿をしながら言葉や文化を
覚えます。あと大阪では日本の小学校の中
に民族学級というのがあって、勉強できる
ように配慮されているのですよ。それでも
覚えきれないのが普通で、日本学校出身者
が朝大に入学した際には専門カリキュラム
が組織されて100日間運動という厳しいけど
とても勉強になる運動でみっちりとウリマル
を身につけさせられます。このおかげで
ウリマルをそれなりに使用できるように
なった友人は何人も周囲にいます。祖国訪問
しても確かに言葉がうまく通じないことも
ありますが何とか指導員や随行員がうまく
とりもってくれるので助かります。
少しは在日の実態がおわかりになりました
でしょうか? 大変長くなってすみません。
総聯,民団
ともに商工会という機関というか団体が
あります。時々交流会をやりますし、少人
数だったらしょっちゅうコンパもやります。
もちろん双方とも本国の政治の話は出さな
いようにしています。そんな時思うのです
けど、一般的に総聯系の商工会や青商会は
チャンポンで話すことが多いです。しかし
民団系の方々は挨拶はウリマルでしても、
民団組織での大会などは日本語がほとんど
だと話しておられました。ちなみに民団本
部と韓商連の葛藤で溝ができたままになっ
ていて、相互ともに上部機関が迷走すると
困った事態になりますね、などと笑うに
笑えない飲み会になることもあります。
本来は在日の権利擁護に総聯も民団も奔走
してもらいたいと思っているのですけど。
再び、コメントと情報をありがとうございます。私は、いま、「懲罰」の最終回を見終わったところで、何か記事を書こうと思っていたところです。夜は、ビールを飲みながら酩酊しておりますので、本当は、明日の朝にでもコメントへのお礼を書いた方が良いかもしれませんが、せっかく頂いたので書いておくことにします。
コメントの文面などから、朝鮮学校を卒業された女性の方だと思っていました。「美香(ミヒャン)」という漢字も想像しておりました。実生活でも、朝鮮名をお使いなのかもしれませんが、もし投稿名が実名だとすれば、お名前をつけて下さった方(ご両親でしょうか)は日本名としてでも通用する「美香(みか)」というお名前を考えられたのではないのかなどと、勝手に思っています。
お説のとおり、日本では在日朝鮮人同士の会話でも朝日チャンポンになるのは実に自然だと思います。特に、朝鮮語と日本語は、語順がほとんど同じということもあり、チャンポンにしやすいですし、日本語独特の表現や特定の名詞は、敢えて朝鮮語にするよりもお互いに日本語が分かる在日朝鮮人同士では、朝鮮語に日本語を交ぜてしまった方がスムーズなコミュニケーションが成り立つと思います。実はこれ、体系が全く異なる英語でもそうでして、職場で英語を話すときでも、相手がある程度の日本語を理解していれば、敢えて英語にすると分かりにくい部分は、そのまま日本語表現を使って話しています。
朝鮮総連、民団、そしてその傘下の商工会組織などについては、私は実に不勉強で、全く全体像がつかめていません。それなので、コメントして頂いた組織につても「そんなのあったの」という組織が含まれています。これから、もっとそちらについても勉強しなくてはならないかとおもいますが、現状、私の能力では朝鮮半島だけで手一杯という感じです。
ともあれ、日本で南北の組織が交流するのは本当に良いことだと思います。将来、いかなる形にせよ、南北統一が実現すれば、その媒介(政府・非政府)組織として機能するのが在日朝鮮・韓国人の方々ではないかと思っています。
韓国の日本における民族教育、特に韓国語教育は、日本に滞在する韓国ビジネスマンの子女に対してのみであり、在日韓国人に対してはほとんど行われていないというのが私の認識です。
ウリマル教育を受けた子供たちは、それが祖国の言葉であるということはさておき、日本語以外にも朝鮮語をはせるという自負心を持てば良いのではないでしょうか。日本の現実からすれば、「韓国語」と言い換えた方が、実用性の幅は広がるはずですが。
民団の方ともしばしば交流を持たれるとのことですが、組織本体はさておき、在日朝鮮・韓国人コミュニティーは、60年代の対立の呪縛からはとっくに解放されているのではないかと思っています。