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    「米国と傀儡一味の無分別な反共和国破壊秘密策動は破滅を免れない 特大型テロ行為加担者 国内外記者会見で犯罪の真相を暴露」(2012年7月20日 「労働新聞」)

    脱北して韓国に行き、そこで「特殊任務」を与えられて北朝鮮に戻り逮捕されたという男性の記者会見についての記事が「労働新聞」に掲載された。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-07-20-0027

    また、記者会見の模様は「朝鮮中央TV」が放送したようだ。

    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-19-18.flv

    記者会見場には、北朝鮮、朝鮮総連、中国、ロシア、米国、日本の記者が出席したとのことである。顔ぶれは、前回の女性脱北者の記者会見に出席した外国記者と変わらないようである。しかし、殆どが東洋人なので、一部の特徴的な人、例えば、花柄のスマホで動画を撮影する女性(中国人記者か?)、ロシア人と思わしき男性記者しか確認はできない。また、出席者の中にはバッジを付けているにもかかわらず、イヤホンを使用しながら通訳の言葉を聞いている人もいる。北朝鮮に滞在中の在外同胞も出席したとのことなので、彼らであろう。

    記者会見は約53分と長い。その若干のダイジェスト版が「労働新聞」に、そしてかなりのダイジェスト版が「朝鮮中央通信」で配信されている。では、私なりにおもしろいと思うところを切り出したダイジェスト版を書いておくことにする。

    この男性は、清津市に住む51歳の男性で、北朝鮮で「一時的な生活苦に耐えられず」に商売や仲買人をしたあげく、ある女性の脱北を手助けし、その女性が北朝鮮に戻ってきたときに逮捕されたので、自分も逮捕されるのではと身の危険を感じ、2010年4月24日に脱北したという。

    中国に滞在している間に朴という韓国人が接触してき、彼と共に韓国に入った。その後、「ハナ院」での学習などを経て、春川で生活するも、脱北者への待遇は悪く生活は厳しかった。そんなとき、「ハナ院」で知り合った李スボクという人から電話がかかり、「ソウルに来い」と言われた。

    ソウルでは「北民戦」(北韓人民解放戦線)という組織の金ソンミンという人と会わされ、「ドンカモ」という組織への加入を勧められた。「ドンカモ」とは、「(金日成の)銅像をたたき壊す集まり」という意味で、銅像破壊には「巨事(コサの音訳)」という作戦名が付けられていた。これまで、その実行を試みているがなかなか成功しないとのことであった。

    この脱北男性は、「一生食うに困らない」金を払うことを約束されたので、「銅像破壊」作戦に荷担することにした。銅像破壊の目的は、金日成の銅像を金日成の誕生日である「太陽節」など、北朝鮮の重要な日に爆破し、それを北朝鮮国内の反対勢力の仕業であるがごとく宣伝するためであるという。さらに、爆破される様子をスパイ衛星で撮影し、公開するという周到ぶりである。

    この作戦は米国の許可を得なければ実行できないとのことで、この男性と話をした南の情報員と思わしき男性は、米国までわざわざ足を運び作戦実行の許可をもらったようだとしている。それにしても、米国までわざわざ行かなくてもいくらでも連絡は取れるし、いざとなれば米国大使館に行けば十分であろう。北朝鮮が外国で何かの作戦を「実行」する際には、わざわざ本国まで戻って決済を受けなければならないということの裏返しであろうか。

    作戦の概要は次のとおりである。まず、出所が割れないような部品をかき集めて銅像を破壊するための武器を作る。武器は、魔法瓶のような形状の「最先端設備」で、150~300mの距離にある目標物を破壊できるものであるという。小型のロケット弾のようなものであろうか。銅像を壊すごとき、特に「最先端設備」など必要もないと思うのだが、どうなのだろうか。恐らく、「最先端設備」たる所以は、次のところによるのであろう。つまり、この発射装置は、目標(金日成の銅像)に向けて設置されれば、12時間スタンバイ状態なるという。そして、その間に無線による遠隔操作で発射できるようになっているという。

    具体的作戦につては次のとおりである。目標とする金日成銅像は、国境地帯に近いものとする(その理由は後述)。まず、銅像の近く(100m未満)のアパートの屋上に発射装置を設置する。そして、指定された時間になったらロケット弾を発射し銅像を破壊する。発射の方法は二通り準備されており、一つ目の方法は、中国に越境した脱北者男性がロケット弾発射リモコンのボタンを押しロケット弾を発射する。ただし、そのバックアップ・プランもあり、銅像から500m以内に居住するこの脱北男性のお母さんが、脱北男性が手渡した「携帯電話」でロケット弾発射するというやり方だ。もちろん、お母さんは、そんなに恐ろしいことをできるはずもないので、男性はお母さんに「7時までに俺が電話をしなかったら、俺に電話をしてくれ」と電話の操作法を教えておく。この操作法こそが、ロケット弾を発射する操作法ということだ。ロケット弾発射リモコンの電波の到達距離は、4~6Kmなので、金日成銅像は国境地帯になければならないということになる。

    ちなみに、発射装置などは発射と同時にバラバラになり、誰が作ったのかという痕跡が残らないような仕組みだという。アフガニスタンかイラクか忘れたが、反政府勢力の密着取材をして、政府軍が通る道に彼らが爆弾を仕掛けるドキュメンタリーを見たことがある。その中に出てくる彼らが作る爆弾のリモコンなど実に単純で、携帯電話を2台使っただけのものである。詳細な作動原理まではさすがに紹介されなかったが、1台目の携帯で電話をかけると、爆弾に取り付けられたもう1台の携帯の呼び出し音かバイブレーターに起爆装置が反応して爆発する、そうでなくても爆弾に取り付けられたもう1台の電話機が自動的に応答した後に、予め設定しておいたコードをトーンを使ってキーパッドから入力するという程度であろう。

    何が言いたいのかというと、金日成像を破壊するくらいなら、何も「最先端設備」など使う必要はなく、中国で容易に手に入るであろう爆発物と中国製携帯電話があれば十分なはずである。中国製を使えば、韓国の仕業とはばれないし、中朝を行き来する反体制活動家の仕業とすることができる。この爆弾を金日成像の目立たないところに置いておいて、爆破すればよい。目的からすれば、別に金日成像が吹っ飛んで跡形もなくなる必要はなく、ある程度派手な爆発があり、それをスパイ衛星で撮影すれば良いだけの話である。

    で、落ちは、結局この脱北男性は、北朝鮮に潜入し、事前に金日成像やアパートの様子を探り、中国に戻ろうとしたところで逮捕されてしまう。6月19日午前2時のことである。脱北男性曰く「共和国保安機関では、既に私のような犯罪者の一挙一動を鋭利に注視していた」そうだ。

    この脱北男性は、終始一貫、原稿を見ながら話をしている。また、記者の一部にも原稿が配布されたようで、それを見ながら聞いている人もいた。質問の時間には、「朝鮮中央通信」、「総連朝鮮新報」、「民主朝鮮」の記者が質問をするが、いずれも原稿を棒読み(特に「朝鮮新報」記者)。そして、脱北男性も原稿を読みながら応えている。記者会見に同席した政府関係者と思わしき男性は「他に質問はありませんか」と数回いうが、質問など出ようもない。出たところで、原稿に書かれていないことを脱北男性も話せるはずがないからだ。

    前回の脱北女性の話は、それなりに真実味があったし、おもしろかった。今回は、証拠品として韓国のパスポートや朝鮮日報記者を名乗るスパイの名刺、連絡先の電話番号なども公開しているが、ストーリーからして実にお粗末きわまりない。

    テレビドラマ「懲罰」の金日成特別列車爆破計画の方が、よほど真実味がある。で、今日は、第10部のアップロードはなかった。

    工作員とされる「朝鮮日報」記者の名刺
    2012-07-19-18flv_001840040.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-19-18.flv

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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