米国、朝鮮戦争時の国連軍16カ国+日本、韓国で北朝鮮船舶に対する海上臨検を検討 (2017年11月30日 「米国務省定例記者会見」)
29日の米国務省定例記者会見の北朝鮮関連部分を読んだ。
US Department of State, Daily Press Briefing, https://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2017/11/276035.htm#DPRK
北朝鮮のミサイル発射に対する大枠の話として報道官は、
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現時点では、外交オプションは依然として実行可能である。米国は引き続き、北朝鮮による挑発行為を止めさせ、非核化への平和的な道を模索することに努力する。
Diplomatic options remain viable and open for now. The United States remains committed to finding a peaceful path to denuclearization and to ending belligerent actions taken by North Korea.
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と述べており、「全ての選択肢」という表現は使われていない。
一方、トランプがツイートした「追加的な大規模制裁」と思われる内容にも触れている。北朝鮮のミサイル発射を受け、米国務長官ティラーソンがカナダ外相と電話会談をし、海上臨検について話し合ったということのようだ。この臨検には、朝鮮戦争当時の国連軍構成国16カ国(米国、英国、タイ、カナダ、トルコ、オーストラリア、フィリピン、ニュージーランド、エチオピア、ギリシャ、フランス、コロンビア、ベルギー、南ア、オランダ、ルクセンブルグ)と日本、韓国で海上臨検実施を検討するようだ。
米国の目論見では、安保理決議2375に軍事力による北朝鮮船舶と北朝鮮との貿易相手国船舶に対する海上臨検を可能にしようとしたが、中国とロシアの反対で米国の目論見は破綻した。
詳細は、38 North, Interdicting North Korean Vessels: Another False Hope, http://www.38north.org/2017/10/awinner100417/
しかし、今回は国連安保理の枠組みではなく、米国を中心とした有志連合で海上臨検の実施を目論んでいるようだ。しかし、事実上、北朝鮮との貿易のほとんどを行っているのは中国で、臨検は公海上とはいえ、中朝間の航路がある黄海や渤海で行うことになるだけではなく、中国船籍の貨物船による北朝鮮との貿易が確認されれば、その船すら臨検対象となり得る。同様のことは、朝露間を往来する船舶にも言えるが、これまでMarine Trafficで見てきた限りでは、朝鮮との間を往来する船の数は圧倒的に中朝間が多い。
上記の38 Northの記事にも書かれているように、北朝鮮船舶が臨検を拒否、米軍が武力を行使しながら臨検を実施、その結果、安保理決議に違反する品目が出てこず、さらには武力行使の過程で北朝鮮側に死傷者が発生すれば、深刻な国際問題となる。また、北朝鮮が安保理決議に基づかない行為を、独自の北朝鮮に対する戦争行為であると主張し、反撃する可能性すらあり、下手をすれば全面戦争へと繋がる。
16カ国とはいえ、現実的に対応できる国は、米国、英国、カナダ、オーストラリア、フランス、日本、韓国程度と予想され、日本について言えば、米国軍艦による臨検を横で見ていて、北朝鮮が反撃をすれば、集団的自衛権を行使するという名目で米軍艦船と共に北朝鮮に対する戦闘行為を行うことになろう。
そして、全面戦争になれば、東京にミサイルが飛んでくる。避難訓練などほとんど役に立たない。
日本首相は、米国と有志連合を組んで北朝鮮を軍事力で叩くのが夢なのかも知れないが、日本国民を危険に陥れるような愚行は慎むべきである。
US Department of State, Daily Press Briefing, https://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2017/11/276035.htm#DPRK
北朝鮮のミサイル発射に対する大枠の話として報道官は、
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現時点では、外交オプションは依然として実行可能である。米国は引き続き、北朝鮮による挑発行為を止めさせ、非核化への平和的な道を模索することに努力する。
Diplomatic options remain viable and open for now. The United States remains committed to finding a peaceful path to denuclearization and to ending belligerent actions taken by North Korea.
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と述べており、「全ての選択肢」という表現は使われていない。
一方、トランプがツイートした「追加的な大規模制裁」と思われる内容にも触れている。北朝鮮のミサイル発射を受け、米国務長官ティラーソンがカナダ外相と電話会談をし、海上臨検について話し合ったということのようだ。この臨検には、朝鮮戦争当時の国連軍構成国16カ国(米国、英国、タイ、カナダ、トルコ、オーストラリア、フィリピン、ニュージーランド、エチオピア、ギリシャ、フランス、コロンビア、ベルギー、南ア、オランダ、ルクセンブルグ)と日本、韓国で海上臨検実施を検討するようだ。
米国の目論見では、安保理決議2375に軍事力による北朝鮮船舶と北朝鮮との貿易相手国船舶に対する海上臨検を可能にしようとしたが、中国とロシアの反対で米国の目論見は破綻した。
詳細は、38 North, Interdicting North Korean Vessels: Another False Hope, http://www.38north.org/2017/10/awinner100417/
しかし、今回は国連安保理の枠組みではなく、米国を中心とした有志連合で海上臨検の実施を目論んでいるようだ。しかし、事実上、北朝鮮との貿易のほとんどを行っているのは中国で、臨検は公海上とはいえ、中朝間の航路がある黄海や渤海で行うことになるだけではなく、中国船籍の貨物船による北朝鮮との貿易が確認されれば、その船すら臨検対象となり得る。同様のことは、朝露間を往来する船舶にも言えるが、これまでMarine Trafficで見てきた限りでは、朝鮮との間を往来する船の数は圧倒的に中朝間が多い。
上記の38 Northの記事にも書かれているように、北朝鮮船舶が臨検を拒否、米軍が武力を行使しながら臨検を実施、その結果、安保理決議に違反する品目が出てこず、さらには武力行使の過程で北朝鮮側に死傷者が発生すれば、深刻な国際問題となる。また、北朝鮮が安保理決議に基づかない行為を、独自の北朝鮮に対する戦争行為であると主張し、反撃する可能性すらあり、下手をすれば全面戦争へと繋がる。
16カ国とはいえ、現実的に対応できる国は、米国、英国、カナダ、オーストラリア、フランス、日本、韓国程度と予想され、日本について言えば、米国軍艦による臨検を横で見ていて、北朝鮮が反撃をすれば、集団的自衛権を行使するという名目で米軍艦船と共に北朝鮮に対する戦闘行為を行うことになろう。
そして、全面戦争になれば、東京にミサイルが飛んでくる。避難訓練などほとんど役に立たない。
日本首相は、米国と有志連合を組んで北朝鮮を軍事力で叩くのが夢なのかも知れないが、日本国民を危険に陥れるような愚行は慎むべきである。