大連沖にいた北朝鮮船籍船、コンテナ埠頭に着岸中 (2017年8月16日)
15日、大連沖に停泊していた北朝鮮船籍船2隻が、大連のコンテナ埠頭に着岸している。
地図がずれていることに注意。

Source: Marine Traffic, 2017/08/16 1812JST
Google Earthで見ると、2隻はそれぞれの☆の位置に着岸していると思われる。

Source: Google Earth 筆者加工
コンテナ埠頭なので、コンテナの中身は不明。仮に安保理決議2371で取引が禁じられた品目であっても、既に契約が行われている場合(今回のケースはそれに相当するであろう)、安保理当該委員会に45日以内に報告することを条件に、決議採択から30日以内であれば輸入は許可されている。一方、中国独自の輸入禁止措置にこうした猶予期間が設けられているのかは不明。
下の写真は、咸鏡南道にあるHungnam Manson Trading Companyの加工水産物であるが、これらも安保理決議2371では取引禁止品目とされている。

Source: Foreign Trade of the DPRK, 2016 3, Foreign Trade Publishing House, p.21
<追記: 2017/08/17 1246>
中国当局の禁輸措置に関するコメントをいつもタイムリーに中国語を翻訳してコメントして下さる方から頂いた。本当に有難い限りである。以下、コメントからも見られるが、訳出された部部のみ記事の方にも転載しておく
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国連安保理第2371号決議の執行に関する公告
商務部 海関総署 公告 2017年第40号
国連安保理第2371号決議の執行のため、中華人民共和国対外貿易法にもとづき、ここにおいて朝鮮との輸出入貿易に係わる一部産品につき下記の管理措置をとる:
1 公告の施行日より、石炭・鉄・鉄鉱石・鉛・鉛鉱石・水産物の朝鮮からの輸入を全面的に禁止する。公告の施行日の前に既にわが港に到着している上述の貨物につぃては、通過の許可を与えることができる。9月5日の零時からは、輸入の手続きも行わない(税関が既に申告を受けたが、まだ通過の許可手続きをしていない貨物を含む)。この後、入境する上述の産品については、一律に貨物輸入禁止により処理する。
2 上記の措置は、信頼できる情報にもとづいて、朝鮮原産ではなく、かつ朝鮮の羅津港(Rason)を経由して再輸出されたと輸出国が証明する石炭には適用しないが、輸出国は事前に国連安保理が第1718号決議にもとづいて設立した委員会に報告しなければならない。羅津港を経由して朝鮮原産でない石炭を輸入する中国企業は、国連安保理が第1718号決議にもとづいて設立した委員会への輸出国の報告資料を保持しつつ通関手続きを行わなければならない。
3 関係する禁輸産品の詳細については付属文書を参照のこと。
本公告は2017年8月15日より施行する。
付属文書:国連安保理2371号決議により新増設された対朝鮮禁輸一部産品の明細
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第2項は、一部の石炭が「他国原産の石炭の再輸出」という名目で北朝鮮から輸出されていたことを示しているように思われます。実際、前回の公告第12号を確認すると、輸入を停止したのは「朝鮮原産の石炭」となっているので、北朝鮮の港から来たものであっても「朝鮮原産」に相当しないとされる石炭は輸入可能だったことになります。
今回の措置にそういう「抜け穴」があるのかについては、自分も興味があるのですが、なかなか公告と付属文書の文面だけからでは判断がつけられません。
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コメントを下さった方がお書きに「第2項」は、ロシア産(等外国の)石炭の羅先港経由での第三国への輸出を許可する条項で、安保理決議条項にも含まれている。記憶では、北朝鮮産の石炭輸入に上限を設けた一つ前の決議には既にこの条項はあり、きちんと比較こそしていないが、今回の制裁決議2371でもそれをそのまま引き継いでいるものと思われる。
「第1条項」は、一見、制裁決議を履行する形を取っている。しかし、今一つよく分からないのは「公告の施行日の前に既にわが港に到着している上述の貨物については、通過の許可を与えることができる」と「通過の許可」を与えておきながら、一方で、「9月5日の零時からは、輸入の手続きも行わない」としている点である。「通過」を一度陸揚げされ、そのまま第三国に輸出されるという意味ではなく、「税関を通過させる」つまり、「中国に輸入する」という意味で捉えれば、安保理制裁と内容的には一致するのだが。
地図がずれていることに注意。

Source: Marine Traffic, 2017/08/16 1812JST
Google Earthで見ると、2隻はそれぞれの☆の位置に着岸していると思われる。

Source: Google Earth 筆者加工
コンテナ埠頭なので、コンテナの中身は不明。仮に安保理決議2371で取引が禁じられた品目であっても、既に契約が行われている場合(今回のケースはそれに相当するであろう)、安保理当該委員会に45日以内に報告することを条件に、決議採択から30日以内であれば輸入は許可されている。一方、中国独自の輸入禁止措置にこうした猶予期間が設けられているのかは不明。
下の写真は、咸鏡南道にあるHungnam Manson Trading Companyの加工水産物であるが、これらも安保理決議2371では取引禁止品目とされている。

Source: Foreign Trade of the DPRK, 2016 3, Foreign Trade Publishing House, p.21
<追記: 2017/08/17 1246>
中国当局の禁輸措置に関するコメントをいつもタイムリーに中国語を翻訳してコメントして下さる方から頂いた。本当に有難い限りである。以下、コメントからも見られるが、訳出された部部のみ記事の方にも転載しておく
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国連安保理第2371号決議の執行に関する公告
商務部 海関総署 公告 2017年第40号
国連安保理第2371号決議の執行のため、中華人民共和国対外貿易法にもとづき、ここにおいて朝鮮との輸出入貿易に係わる一部産品につき下記の管理措置をとる:
1 公告の施行日より、石炭・鉄・鉄鉱石・鉛・鉛鉱石・水産物の朝鮮からの輸入を全面的に禁止する。公告の施行日の前に既にわが港に到着している上述の貨物につぃては、通過の許可を与えることができる。9月5日の零時からは、輸入の手続きも行わない(税関が既に申告を受けたが、まだ通過の許可手続きをしていない貨物を含む)。この後、入境する上述の産品については、一律に貨物輸入禁止により処理する。
2 上記の措置は、信頼できる情報にもとづいて、朝鮮原産ではなく、かつ朝鮮の羅津港(Rason)を経由して再輸出されたと輸出国が証明する石炭には適用しないが、輸出国は事前に国連安保理が第1718号決議にもとづいて設立した委員会に報告しなければならない。羅津港を経由して朝鮮原産でない石炭を輸入する中国企業は、国連安保理が第1718号決議にもとづいて設立した委員会への輸出国の報告資料を保持しつつ通関手続きを行わなければならない。
3 関係する禁輸産品の詳細については付属文書を参照のこと。
本公告は2017年8月15日より施行する。
付属文書:国連安保理2371号決議により新増設された対朝鮮禁輸一部産品の明細
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第2項は、一部の石炭が「他国原産の石炭の再輸出」という名目で北朝鮮から輸出されていたことを示しているように思われます。実際、前回の公告第12号を確認すると、輸入を停止したのは「朝鮮原産の石炭」となっているので、北朝鮮の港から来たものであっても「朝鮮原産」に相当しないとされる石炭は輸入可能だったことになります。
今回の措置にそういう「抜け穴」があるのかについては、自分も興味があるのですが、なかなか公告と付属文書の文面だけからでは判断がつけられません。
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コメントを下さった方がお書きに「第2項」は、ロシア産(等外国の)石炭の羅先港経由での第三国への輸出を許可する条項で、安保理決議条項にも含まれている。記憶では、北朝鮮産の石炭輸入に上限を設けた一つ前の決議には既にこの条項はあり、きちんと比較こそしていないが、今回の制裁決議2371でもそれをそのまま引き継いでいるものと思われる。
「第1条項」は、一見、制裁決議を履行する形を取っている。しかし、今一つよく分からないのは「公告の施行日の前に既にわが港に到着している上述の貨物については、通過の許可を与えることができる」と「通過の許可」を与えておきながら、一方で、「9月5日の零時からは、輸入の手続きも行わない」としている点である。「通過」を一度陸揚げされ、そのまま第三国に輸出されるという意味ではなく、「税関を通過させる」つまり、「中国に輸入する」という意味で捉えれば、安保理制裁と内容的には一致するのだが。