「元帥様」の「しばらく米国の行動を見る」を受けて、米国務省定例記者会見など (2017年8月15日)
「エビ」の記事の下の方に書いていたのだが、長くなったので別記事にすることにした。
文在寅が光復節演説で「韓国の許可なく、朝鮮半島で戦争を起こすことを認めない」と発言した問題は、米国務省定例記者会見のみならず、中国外交部定例記者会見でも取り上げられ記者から質問が出されている。米国務省定例記者会見で報道官は、「同盟国とは緊密に連携している」と言葉を濁して答え、中国外交部報道官は「文在寅大統領は平和のための努力を惜しまない」とこの発言を歓迎している。
「元帥様」が「もう少し米国の行動を見る」と発言したことについて、記者から「米国はこれを対話に向けた前向きの行動と考えるのか」という質問が出された。これに対して米国務省報道官は、「そうは考えない」とした上で、こんな例を出した。「子供が『クッキーを盗まなかったから、テレビを買って』と言っているようなものだ」と。記者からは直ぐに「金正恩は子供だというのか」と質問が返され、報道官は「ただの例だ」と答えていたが、こういう微妙なやりとりは北朝鮮を刺激することは間違いない。
また、国務長官ティラーソンと国防長官マティスがWall Street Journal に連名で投稿した記事で、「外交による解決に努力する」と述べているという話題も米中両国の外務部署の定例記者会見で取り上げられている。
確かに、何を持って「北朝鮮の前向きの態度」とするのかについては、よく分からない。そもそも、「元帥様」が「核を放棄する」などと交渉に入る前からこの期に及んで言い出すはずなどない。「首領様」の92年の「朝鮮半島非核化宣言」という「遺訓」を持ち出す可能性は残されているが、交渉の中途でこの「遺訓」を引用する可能性こそあれ、最初からこれを言うことはないであろう。
米国務省報道官は、21日から予定されている米韓軍事演習を「定例的で国際的に合法的なものである」としているが、朝鮮半島での戦争を回避し「朝鮮半島の非核化」というより大きな目標を達成するために、中止はしないまでも、何らかのアクションを取ることはできるはずである。「国際的に合法」であれば、緊張を敢えて激化さえてもよいということではない。
過去記事で、「元帥様」は、1994年の核危機を再現し、「偉業」にしようとしているのではないかと書いたが、21日からの米韓合同軍事演習で米国が一歩引き下がれば(中止しなくても、規模縮小や訓練海域変更を公言すれば良い)、「元帥様」の「反米対決戦での戦勝偉業」となり、北朝鮮としても動きやすくなるはずである。米国にとって失うものは何もなく(北朝鮮が「戦勝」宣伝したところで、国際社会はどうせそう考えないのだから)、核・ミサイル問題解決に向けた流れができるのであれば、これぞ外交である。
「元帥様」も「戦略軍司令部視察」で、「米国が周辺から核打撃手段を引き上げれば」というようなことを言っており、明らかに米国による何らかのジェスチャーを望んでいるのではないだろうか。
US Department of State, Daily Press Conference, https://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2017/08/273454.htm#NORTHKOREA
Foreign Ministry of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Hua Chunying's Regular Press Conference on August 15, 2017
2017/08/15, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/t1484923.shtml
文在寅が光復節演説で「韓国の許可なく、朝鮮半島で戦争を起こすことを認めない」と発言した問題は、米国務省定例記者会見のみならず、中国外交部定例記者会見でも取り上げられ記者から質問が出されている。米国務省定例記者会見で報道官は、「同盟国とは緊密に連携している」と言葉を濁して答え、中国外交部報道官は「文在寅大統領は平和のための努力を惜しまない」とこの発言を歓迎している。
「元帥様」が「もう少し米国の行動を見る」と発言したことについて、記者から「米国はこれを対話に向けた前向きの行動と考えるのか」という質問が出された。これに対して米国務省報道官は、「そうは考えない」とした上で、こんな例を出した。「子供が『クッキーを盗まなかったから、テレビを買って』と言っているようなものだ」と。記者からは直ぐに「金正恩は子供だというのか」と質問が返され、報道官は「ただの例だ」と答えていたが、こういう微妙なやりとりは北朝鮮を刺激することは間違いない。
また、国務長官ティラーソンと国防長官マティスがWall Street Journal に連名で投稿した記事で、「外交による解決に努力する」と述べているという話題も米中両国の外務部署の定例記者会見で取り上げられている。
確かに、何を持って「北朝鮮の前向きの態度」とするのかについては、よく分からない。そもそも、「元帥様」が「核を放棄する」などと交渉に入る前からこの期に及んで言い出すはずなどない。「首領様」の92年の「朝鮮半島非核化宣言」という「遺訓」を持ち出す可能性は残されているが、交渉の中途でこの「遺訓」を引用する可能性こそあれ、最初からこれを言うことはないであろう。
米国務省報道官は、21日から予定されている米韓軍事演習を「定例的で国際的に合法的なものである」としているが、朝鮮半島での戦争を回避し「朝鮮半島の非核化」というより大きな目標を達成するために、中止はしないまでも、何らかのアクションを取ることはできるはずである。「国際的に合法」であれば、緊張を敢えて激化さえてもよいということではない。
過去記事で、「元帥様」は、1994年の核危機を再現し、「偉業」にしようとしているのではないかと書いたが、21日からの米韓合同軍事演習で米国が一歩引き下がれば(中止しなくても、規模縮小や訓練海域変更を公言すれば良い)、「元帥様」の「反米対決戦での戦勝偉業」となり、北朝鮮としても動きやすくなるはずである。米国にとって失うものは何もなく(北朝鮮が「戦勝」宣伝したところで、国際社会はどうせそう考えないのだから)、核・ミサイル問題解決に向けた流れができるのであれば、これぞ外交である。
「元帥様」も「戦略軍司令部視察」で、「米国が周辺から核打撃手段を引き上げれば」というようなことを言っており、明らかに米国による何らかのジェスチャーを望んでいるのではないだろうか。
US Department of State, Daily Press Conference, https://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2017/08/273454.htm#NORTHKOREA
Foreign Ministry of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Hua Chunying's Regular Press Conference on August 15, 2017
2017/08/15, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/t1484923.shtml