「トランプの危険なtrump遊び」:米韓首脳会談に合わせた動画、トランプがツイッターで「戦略的忍耐は終わった」と繰り返す、<追記:こちらの方が重要>文大統領CSISで講演、「米国人3人釈放」で対話可とも (2017年6月30日 「uriminzokkiri」)
2017年6月13日、uriminzokkiriにアップロードされた動画。米韓首脳会談とタイミングを合わせて出している。
Source: uriminzokkiri, 2017/06/30
米韓首脳会談後のトランプ演説は追って。
<追記: 2017/07/01>
トランプのツイッターに北朝鮮関連部分だけが切り取られて掲載されている。共同記者会見では、米韓の不公正な貿易慣行についてもトランプは多く語っているが、彼のツイッターには北朝鮮関連部分だけが切り取られて掲載されていることからして、これを重視している可能性が高い。
*********
北朝鮮に対する戦略的忍耐は失敗した。長年にわたって行われたが、失敗した。率直にその忍耐は終わった。我々は韓国や日本、そして世界中のパートナーと共に、外交、軍事、経済的手法で、我々の同盟国と米国市民をこの北朝鮮というメネスから守る。米国は、アジア地域の大国、そして全ての責任ある国に対して、我々と共に制裁を履行し、北朝鮮に対して、より良い道を選択すること、しかもできるだけ早く選択すること、そして、長期間苦しんでいる北朝鮮の人々に別の未来をもたらすようにすることを要求する。我々の目標は地域の平和、安定、繁栄である。米国は自らを守るし、いつも自らを守る、いつもだ。そして、我々はいつも同盟国を守る。その関与の一環として、我々は共に在韓米軍経費を公正に負担する必要がある。
Source: Trump Twitter, 2017/06/30, https://twitter.com/realDonaldTrump/status/880892632142143490
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<追記2:2017/07/01 pm.>
文ジェインが米CSISで行った演説と質疑応答の動画がYouTubeで公開された。
Source: CSIS, YouTube, 2017/06/30
この動画の中から、北朝鮮関連部分を抽出して訳出しておく。
***************
では、この演説の主題である「偉大な同盟」に関する私の考えを述べます。
韓米同盟は、既に偉大な同盟です。しかし、韓米同盟は、さらに偉大になることができます。私は、その精神をチャンジンホ戦闘から見いだせます。その英雄的な戦闘を指揮したスミス師団長は、ハムフン撤収作戦を後退ではなく「新たな方向への攻撃」と命名しました。これがまさに韓米同盟の精神です。
今、我々の前には特別な課題があります。過去20年間、解決できなかった歴史的難題です。まさに、北朝鮮の核・ミサイル問題です。脅威は既に朝鮮半島を越え、米国に向かっています。
世界的に最も緊迫し危険なこの脅威の前で、これ以上後退せず、未来に向かって新たに跳躍すること、私はそれが韓米同盟が良い同盟を越え、偉大な同盟に向かう道だと思います。
偉大な同盟は平和を導き出す同盟です。
韓米両国は、既に朝鮮半島の平和構想に合意したことがあります。2005年6者会台で採択され9.19共同声明、そしてこれを再確認した2007年南北サミットの10.4宣言、これらの合意は、北朝鮮の核の完全な廃棄と朝鮮半島の平和体制構築を一度に包括的に達成するための内容となっていました。韓米両国の緊密な共調があったのはもちろんです。
平和を叫ぶことは容易ですが、それを実現することはとても困難なことだと承知しています。9.19共同声明の履行手続きまで合意しても、実行に失敗した過去10年の歳月が示している事実でもあります。特に、北朝鮮の金正恩政権は、核・ミサイルが北朝鮮の体制と政権を守るものであるという誤った確信をしています。
それにもかかわらず私は、まさに今が困難なことを再び始める機会だと確信しています。トランプ大統領が、米国の外交問題の最優先順位に北朝鮮の核・ミサイル問題解決を置いたことは、歴代の米国政権がしなかったことです。この事実が、北朝鮮の核問題解決の可能性を示しています。私は、最前の動力を尽くしてこの機会を生かそうと思います。
その確固たる前提は、まさに強固な韓米同盟です。北朝鮮の挑発を抑制し、徹底した連合防衛体制を維持する土台の上で、韓国は米国と共に朝鮮半島の平和と繁栄のための行程を始めることになるでしょう。
その行程は、偉大な韓米同盟の行程です。朝鮮半島の非核化から出発し、東北アジア全体の安定と平和へ進んでいく長い行程です。我々の新たな方向は、「戦略的忍耐」から抜け出し、北朝鮮を交渉のテーブルに引き出すために、全ての手段を動員するものであります。
北朝鮮の挑発には断固として強力に対応しなければなりません。同時に金正恩委員長と対話することも必要です。彼が、北朝鮮で核廃棄を決定できる唯一の人物だからです。対話の目標ははっきりしています。北朝鮮が自ら核廃棄を決定することです。
韓国は、朝鮮半島問題の直接的な当時国家です。当事国として、また残酷な戦争の悲劇を再び経ないために、韓国はより主導的な役割を担っていきます。韓国が米国と緊密な共調の下で、南北関係を改善していけば、その過程で米国を含む国際社会も北朝鮮との関係を改善できるでしょう。
私は昨日、このようなビジョンについてトランプ大統領と深く対話をしました。我々は、より積極的に平和を守っていくことにしました。
私はこの場ではっきりと申し上げます。私とトランプ大統領は、北朝鮮に対する敵対視政策を推進しません。私たちは、北朝鮮を攻撃する意図がなく、北朝鮮の政権の交替や政権の崩壊を願ってもいません。人為的に朝鮮半島の統一を加速化することもしません。
しかし、私たちは北朝鮮にはっきりと要求します。非核化こそが安保と経済発展が保障される唯一の道です。北朝鮮もまた、自らの運命を決定しなければなりません。自信の運命を他国を理由に変えることはできません。
対話の門は大きく開いています。重要な選択の岐路で正しい判断を下し、平和と繁栄の機会を掴めることを心より求めます。北朝鮮が正しい選択をすれば、私は朝鮮半島の平和と繁栄の道を北朝鮮と共に歩む準備ができています。
(以上の演説部分は、CSIS動画は下手くそな英語通訳が入っており大統領の韓国語が聞けなかったので、以下の文字から訳出している。『아시아투데이』, http://www.asiatoday.co.kr/view.php?key=20170701010000012)
-質疑応答-
・韓米同盟は新たな分野でどのような協力をして行くことができるのか。
今、韓米両国にとって最も深刻に脅威は、やはり北朝鮮の核問題です。しかし、機器は逆に機会でもあります。もし、北朝鮮の核問題を我々が平和的に解決できるなら、それは朝鮮半島に平和体制が構築されることを意味します。朝鮮半島の平和体制は、南北間の経済協力で達成され、南北で8000万の経済規模が形成されます。そして韓国経済は、中国へ、ロシアへ、シベリアへ、欧州へと大陸に拡張されるでしょう。それは、韓国経済の新たな成長領域となるでしょうし、それは韓米共に謳歌できる経済的繁栄となると思います。
・トランプ政権は、北朝鮮の核・ミサイル凍結の対価として、韓米合同軍事訓練の規模や頻度を縮小することには反対すると言っているが、文ジョンイン統一安保特別補佐官が最近、韓国政府が核・ミサイル凍結と合同軍事訓練中断を米国に要請すると言いました。この点について、トランプ大統領との間で話し合われたのか、文大統領はこうした提案を支持するのか、そしてそのために韓米両国は何らかの譲歩ができると考えているのか。トランプ大統領が、「米韓の間に強力で強固な計画がある」とツイートしたが、その計画は何か。
北朝鮮の核・ミサイル挑発は、国際法に違反し、安保理決議にも違反する不法行為です。韓米合同軍事訓練は、防衛を目的に久しい前から続けられてきた合法的なものです。不法なことと合法的なこととの交換はできないと考えます。また、私は、不法行動に対して代償を与えてはいけないと思います。ですから、北朝鮮の核・ミサイル挑発を中断するという条件で、韓米訓練を中断できないというのは、韓米感におけるずっと前からの公式的立場です。今もその立場は変わっていません。文ジョンイン教授は、特別補佐官としてではなく、一教授として個人的な意見を述べたまでです。
しかし、トランプ大統領も適切な条件が整えば、北朝鮮と対話ができると言いました。では、いつ適切な条件が整うのか、どのような条件が整えば北朝鮮と対話できるのかということについては、私たちが知恵を出す必要があると思います。例えば、北朝鮮が核・ミサイル挑発を中断することを約束すれば、私たちは北朝鮮と対話できると思います。また、北朝鮮が抑留している米国人3人を釈放すれば、それが対話を始める条件にもなり得ます。その条件についてこの段階ではっきりと述べることはできず、私たちは情勢の変化を把握しながら、韓米両国が緊密に協議しながら決める問題だと思います。この点について、トランプ大統領と私は意見を同じくしました。そして、私たちがどのような条件で北朝鮮と対話をするのかについて、ここにいらっしゃる皆様の知恵を出していただければと思います。
もし、北朝鮮の核・ミサイルの凍結が対話の始まりとなれば、その対話の出口は、北朝鮮の核の完全な廃棄とならなければなりません。核・ミサイルの凍結から始まり、完全な核廃棄に至るまで、北朝鮮と韓米両国は、様々な措置を段階的に取っていくことも可能です。そして、それら全ての段階は、しっかりと検証されなければなりません。この点については、韓国政府は米国政府と緊密に協議していきます。
・中国は、韓国内へのTHAAD配備について一貫して反対してきました。文大統領は、こうした韓中間の問題をどのように解決するつもりか。
今、韓中間で最も大きな懸案は、THAAD配備に対する中国の反対と、その反対を貫徹するための経済的報復です。韓国は、その経済的報復により、既に80億ドル近い損失を被ったものと推計しています。はっきり言えることは、THAAD配備するかしないかの決定は、韓国の主権的な問題です。韓国の主権問題に中国が不当に干渉することは正しくないと思います。また、政治・軍事的問題と経済・文化的な問題は、区別しなければなりません。THAAD配備対する中国の憂慮は理解しますが、それを理由に韓国に対して経済的報復をするのは正しくなく、不当なことなので、撤回することを中国側に強く求めます。韓国政府としても、中国政府の強い反対にもかかわらず、THAAD配備を決める前に中国側と充分な外交的合意を得なかったことも事実です。韓国政府は、THAAD配備を最終決定をするまでに、環境評価などの措置を踏むことにしました。それらの措置の正当性について、トランプ大統領も理解しました。韓国はその過程で中国とも十分に協議していけると思います。そして、その問題について米国側も協力してくれるようお願いします。
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上に「下手な英語通訳」と書いたのは、文大統領の一つ一つの発言に見られる、北朝鮮に対する心遣いが全て省略されてしまっているからである。英語に訳されたものを一通り聞いた後に、韓国文を見たのだが、こんなことを言っていたのかと思うほどだった。日本のメディアでは、「元帥様」と会うと言ったことだけが大きく取り上げているが、それよりも北朝鮮と対話を開始する条件の方が興味深かった。特に、「米韓合同軍事訓練をやめる気はない」ことを表明しておきながら、「北朝鮮が核・ミサイル挑発を中断する約束」を条件にしたり、さらには「北朝鮮の拘留されている3人の米国人の釈放」を「例えば」と言いつつも条件としたことには驚いた。「3人の釈放」についてトランプと話をしたのかは明かさなかったが、トランプがそれに同意しているならば、北朝鮮にとっては、対話を始めるこれほど低いハードルはない。
Source: uriminzokkiri, 2017/06/30
米韓首脳会談後のトランプ演説は追って。
<追記: 2017/07/01>
トランプのツイッターに北朝鮮関連部分だけが切り取られて掲載されている。共同記者会見では、米韓の不公正な貿易慣行についてもトランプは多く語っているが、彼のツイッターには北朝鮮関連部分だけが切り取られて掲載されていることからして、これを重視している可能性が高い。
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北朝鮮に対する戦略的忍耐は失敗した。長年にわたって行われたが、失敗した。率直にその忍耐は終わった。我々は韓国や日本、そして世界中のパートナーと共に、外交、軍事、経済的手法で、我々の同盟国と米国市民をこの北朝鮮というメネスから守る。米国は、アジア地域の大国、そして全ての責任ある国に対して、我々と共に制裁を履行し、北朝鮮に対して、より良い道を選択すること、しかもできるだけ早く選択すること、そして、長期間苦しんでいる北朝鮮の人々に別の未来をもたらすようにすることを要求する。我々の目標は地域の平和、安定、繁栄である。米国は自らを守るし、いつも自らを守る、いつもだ。そして、我々はいつも同盟国を守る。その関与の一環として、我々は共に在韓米軍経費を公正に負担する必要がある。
Source: Trump Twitter, 2017/06/30, https://twitter.com/realDonaldTrump/status/880892632142143490
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<追記2:2017/07/01 pm.>
文ジェインが米CSISで行った演説と質疑応答の動画がYouTubeで公開された。
Source: CSIS, YouTube, 2017/06/30
この動画の中から、北朝鮮関連部分を抽出して訳出しておく。
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では、この演説の主題である「偉大な同盟」に関する私の考えを述べます。
韓米同盟は、既に偉大な同盟です。しかし、韓米同盟は、さらに偉大になることができます。私は、その精神をチャンジンホ戦闘から見いだせます。その英雄的な戦闘を指揮したスミス師団長は、ハムフン撤収作戦を後退ではなく「新たな方向への攻撃」と命名しました。これがまさに韓米同盟の精神です。
今、我々の前には特別な課題があります。過去20年間、解決できなかった歴史的難題です。まさに、北朝鮮の核・ミサイル問題です。脅威は既に朝鮮半島を越え、米国に向かっています。
世界的に最も緊迫し危険なこの脅威の前で、これ以上後退せず、未来に向かって新たに跳躍すること、私はそれが韓米同盟が良い同盟を越え、偉大な同盟に向かう道だと思います。
偉大な同盟は平和を導き出す同盟です。
韓米両国は、既に朝鮮半島の平和構想に合意したことがあります。2005年6者会台で採択され9.19共同声明、そしてこれを再確認した2007年南北サミットの10.4宣言、これらの合意は、北朝鮮の核の完全な廃棄と朝鮮半島の平和体制構築を一度に包括的に達成するための内容となっていました。韓米両国の緊密な共調があったのはもちろんです。
平和を叫ぶことは容易ですが、それを実現することはとても困難なことだと承知しています。9.19共同声明の履行手続きまで合意しても、実行に失敗した過去10年の歳月が示している事実でもあります。特に、北朝鮮の金正恩政権は、核・ミサイルが北朝鮮の体制と政権を守るものであるという誤った確信をしています。
それにもかかわらず私は、まさに今が困難なことを再び始める機会だと確信しています。トランプ大統領が、米国の外交問題の最優先順位に北朝鮮の核・ミサイル問題解決を置いたことは、歴代の米国政権がしなかったことです。この事実が、北朝鮮の核問題解決の可能性を示しています。私は、最前の動力を尽くしてこの機会を生かそうと思います。
その確固たる前提は、まさに強固な韓米同盟です。北朝鮮の挑発を抑制し、徹底した連合防衛体制を維持する土台の上で、韓国は米国と共に朝鮮半島の平和と繁栄のための行程を始めることになるでしょう。
その行程は、偉大な韓米同盟の行程です。朝鮮半島の非核化から出発し、東北アジア全体の安定と平和へ進んでいく長い行程です。我々の新たな方向は、「戦略的忍耐」から抜け出し、北朝鮮を交渉のテーブルに引き出すために、全ての手段を動員するものであります。
北朝鮮の挑発には断固として強力に対応しなければなりません。同時に金正恩委員長と対話することも必要です。彼が、北朝鮮で核廃棄を決定できる唯一の人物だからです。対話の目標ははっきりしています。北朝鮮が自ら核廃棄を決定することです。
韓国は、朝鮮半島問題の直接的な当時国家です。当事国として、また残酷な戦争の悲劇を再び経ないために、韓国はより主導的な役割を担っていきます。韓国が米国と緊密な共調の下で、南北関係を改善していけば、その過程で米国を含む国際社会も北朝鮮との関係を改善できるでしょう。
私は昨日、このようなビジョンについてトランプ大統領と深く対話をしました。我々は、より積極的に平和を守っていくことにしました。
私はこの場ではっきりと申し上げます。私とトランプ大統領は、北朝鮮に対する敵対視政策を推進しません。私たちは、北朝鮮を攻撃する意図がなく、北朝鮮の政権の交替や政権の崩壊を願ってもいません。人為的に朝鮮半島の統一を加速化することもしません。
しかし、私たちは北朝鮮にはっきりと要求します。非核化こそが安保と経済発展が保障される唯一の道です。北朝鮮もまた、自らの運命を決定しなければなりません。自信の運命を他国を理由に変えることはできません。
対話の門は大きく開いています。重要な選択の岐路で正しい判断を下し、平和と繁栄の機会を掴めることを心より求めます。北朝鮮が正しい選択をすれば、私は朝鮮半島の平和と繁栄の道を北朝鮮と共に歩む準備ができています。
(以上の演説部分は、CSIS動画は下手くそな英語通訳が入っており大統領の韓国語が聞けなかったので、以下の文字から訳出している。『아시아투데이』, http://www.asiatoday.co.kr/view.php?key=20170701010000012)
-質疑応答-
・韓米同盟は新たな分野でどのような協力をして行くことができるのか。
今、韓米両国にとって最も深刻に脅威は、やはり北朝鮮の核問題です。しかし、機器は逆に機会でもあります。もし、北朝鮮の核問題を我々が平和的に解決できるなら、それは朝鮮半島に平和体制が構築されることを意味します。朝鮮半島の平和体制は、南北間の経済協力で達成され、南北で8000万の経済規模が形成されます。そして韓国経済は、中国へ、ロシアへ、シベリアへ、欧州へと大陸に拡張されるでしょう。それは、韓国経済の新たな成長領域となるでしょうし、それは韓米共に謳歌できる経済的繁栄となると思います。
・トランプ政権は、北朝鮮の核・ミサイル凍結の対価として、韓米合同軍事訓練の規模や頻度を縮小することには反対すると言っているが、文ジョンイン統一安保特別補佐官が最近、韓国政府が核・ミサイル凍結と合同軍事訓練中断を米国に要請すると言いました。この点について、トランプ大統領との間で話し合われたのか、文大統領はこうした提案を支持するのか、そしてそのために韓米両国は何らかの譲歩ができると考えているのか。トランプ大統領が、「米韓の間に強力で強固な計画がある」とツイートしたが、その計画は何か。
北朝鮮の核・ミサイル挑発は、国際法に違反し、安保理決議にも違反する不法行為です。韓米合同軍事訓練は、防衛を目的に久しい前から続けられてきた合法的なものです。不法なことと合法的なこととの交換はできないと考えます。また、私は、不法行動に対して代償を与えてはいけないと思います。ですから、北朝鮮の核・ミサイル挑発を中断するという条件で、韓米訓練を中断できないというのは、韓米感におけるずっと前からの公式的立場です。今もその立場は変わっていません。文ジョンイン教授は、特別補佐官としてではなく、一教授として個人的な意見を述べたまでです。
しかし、トランプ大統領も適切な条件が整えば、北朝鮮と対話ができると言いました。では、いつ適切な条件が整うのか、どのような条件が整えば北朝鮮と対話できるのかということについては、私たちが知恵を出す必要があると思います。例えば、北朝鮮が核・ミサイル挑発を中断することを約束すれば、私たちは北朝鮮と対話できると思います。また、北朝鮮が抑留している米国人3人を釈放すれば、それが対話を始める条件にもなり得ます。その条件についてこの段階ではっきりと述べることはできず、私たちは情勢の変化を把握しながら、韓米両国が緊密に協議しながら決める問題だと思います。この点について、トランプ大統領と私は意見を同じくしました。そして、私たちがどのような条件で北朝鮮と対話をするのかについて、ここにいらっしゃる皆様の知恵を出していただければと思います。
もし、北朝鮮の核・ミサイルの凍結が対話の始まりとなれば、その対話の出口は、北朝鮮の核の完全な廃棄とならなければなりません。核・ミサイルの凍結から始まり、完全な核廃棄に至るまで、北朝鮮と韓米両国は、様々な措置を段階的に取っていくことも可能です。そして、それら全ての段階は、しっかりと検証されなければなりません。この点については、韓国政府は米国政府と緊密に協議していきます。
・中国は、韓国内へのTHAAD配備について一貫して反対してきました。文大統領は、こうした韓中間の問題をどのように解決するつもりか。
今、韓中間で最も大きな懸案は、THAAD配備に対する中国の反対と、その反対を貫徹するための経済的報復です。韓国は、その経済的報復により、既に80億ドル近い損失を被ったものと推計しています。はっきり言えることは、THAAD配備するかしないかの決定は、韓国の主権的な問題です。韓国の主権問題に中国が不当に干渉することは正しくないと思います。また、政治・軍事的問題と経済・文化的な問題は、区別しなければなりません。THAAD配備対する中国の憂慮は理解しますが、それを理由に韓国に対して経済的報復をするのは正しくなく、不当なことなので、撤回することを中国側に強く求めます。韓国政府としても、中国政府の強い反対にもかかわらず、THAAD配備を決める前に中国側と充分な外交的合意を得なかったことも事実です。韓国政府は、THAAD配備を最終決定をするまでに、環境評価などの措置を踏むことにしました。それらの措置の正当性について、トランプ大統領も理解しました。韓国はその過程で中国とも十分に協議していけると思います。そして、その問題について米国側も協力してくれるようお願いします。
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上に「下手な英語通訳」と書いたのは、文大統領の一つ一つの発言に見られる、北朝鮮に対する心遣いが全て省略されてしまっているからである。英語に訳されたものを一通り聞いた後に、韓国文を見たのだが、こんなことを言っていたのかと思うほどだった。日本のメディアでは、「元帥様」と会うと言ったことだけが大きく取り上げているが、それよりも北朝鮮と対話を開始する条件の方が興味深かった。特に、「米韓合同軍事訓練をやめる気はない」ことを表明しておきながら、「北朝鮮が核・ミサイル挑発を中断する約束」を条件にしたり、さらには「北朝鮮の拘留されている3人の米国人の釈放」を「例えば」と言いつつも条件としたことには驚いた。「3人の釈放」についてトランプと話をしたのかは明かさなかったが、トランプがそれに同意しているならば、北朝鮮にとっては、対話を始めるこれほど低いハードルはない。