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    「TEAM AMERICA WORLD POLICE: I'm So Ronery」

    この映画について、いつか書こうと思っていたのだが、今夜、久しぶりにDVDを見直したので、記事にしておく。TEAM AMERICA WORLD POLICEはTrey Parker監督の米国映画である。なぜこの映画を本ブログで取り上げるのかというと、金正日さん、といっても彼の操り人形が登場するからである。この映画は、操り人形による映画で、雰囲気としてはサンダーバードに近い。ストーリーは、米国のWORLD POLICEを語るチームがテロリスト、そしてWMDで世界を壊滅させようとする金正日さんと戦うというものである。結局、正義(WORLD POLICE)は勝つのであるが、全編パロディーで勧善懲悪ものではない。

    つまり、米国を象徴するWORLD POLICEも、やることなすこと利己主義的(エッフェル塔、凱旋門、ルーブル美術館、スフィンクスなどを目的達成のために躊躇することなく破壊する)で、しかも米国の退廃ぶりを、例えば「誰もがAIDS」という歌を通してパロディーにしている。

    北朝鮮の描写は、やはり米国映画一般に見られるように中国との混同が随所に見られるが、監督がサービストラックのMaking編で語るように、金正日さんについては非常に良く調べられている。特に、彼の眼鏡については、操り人形に付けるためにいくつも作り直したとのことである。映画に出てくる朝鮮語は誤りが多く、また金正日人形が話す朝鮮語も、知っている人間が聞けば出鱈目である。ただし、ところどころ、まともな朝鮮語も出てくるので不思議である。映画の最終部分のクレジットを見ても、韓国系の名前は見当たらないので、朝鮮語を知らない人の自助努力なのかもしれない。

    この映画には、金正日さん以外にも、米国のニュースキャスターであるピーター・ジェニングス、ドキュメンタリー映画監督のマイケル・ムーア、元IAEA事務局長のハンス・ブリックスさんなどが登場するが、クレジットによると彼らは、名前の使用や演技については許可を与えていないという。ちなみに、ハンス・ブリックスさんは、錦繍山太陽宮殿にいる金正日さんを訪ね、核査察を迫った結果、金正日さんによりサメが泳ぐ水槽に落とされて骨になる。

    で、金正日さんはといえば、結局はゴキブリかと思うや、エイリアンで最後の場面では宇宙船に乗って宇宙に飛んでいく。そして、地球征服のミッションに失敗した罰で、その星の炭鉱で労働させられるというおまけまで付いている。これは、クレジットの最後まで見て歌を聞かないと分からない。

    ともかく、米国も北朝鮮もおもいきりオチョクッタ映画であることは間違いない。

    この映画の存在を知ったのは、ある北朝鮮に関する学術書で紹介されていたからである。どの本だったか失念したが、外国人が書いた本であったと記憶している(調べれば分かるが、今は面倒なのでやる気にならない)。上で「オチョクッタ映画」と書いたが、その最たるものは、金正日さんが歌う「I'm so Ronery」という歌である。映画の冒頭では、金正日さんはテロリストと通訳を通して朝鮮語(出鱈目)で会話をするのであるが、通訳が間違っているということで通訳を自らの手で射殺した後は、英語を話し出す。ただ、その英語の発音が悪く、RとLがことごとく逆転している。この現象は、韓国・朝鮮語の話者というよりも、むしろ日本語の話者で発生する問題だと思うのだが、映画ではそうなっている。なので、金正日さんの歌は、本当はI'm so LONELYということになる。

    I'm so Roneryについては、このキーワードで検索してもらえば、その歌詞や曲は見つかるはずである。関心があるのならば、amazonでもこの映画のDVDは購入可能なはずなので、買ってみる価値はあると思う(このブログを読むような人であれば、だが)。私はamazonでいくらで買ったか忘れたが、中古で千円もしなかったはずである。ただし、パッケージをみていたらR-18と書いてあるので、18才未満の人はやめた方が良いかもしれない。18禁の理由は、人形が射殺される場面などでかなりグロテスク(リアル)な描写がされているためであろうか(若干の性描写もある、とはいえ人形であるが・・・)。

    この映画はパロディーであるが、I'm so Roneryの歌詞の中には、実に真実が含まれている。それは、

    But nobody else seems to rearize it
    When I change the world maybe they'll notice me
    But until then I'rr just be ronery
    Rittle ronery, poor rittle me

    という部分で、2行目の「私が世界を変えたとき、世界は私に気付くであろう」である。確かに世界は、金正日さんが核兵器開発に出るまでは、北朝鮮など無視していた。いってみれば、世界の最貧国の一つでという認識であったはずである。しかし、金正日さんが核開発をし、「世界を変えたとき」に世界は北朝鮮の存在に注目した。この歌の歌詞に、そうしたインプリケーションはないと思うが、偶然とはいえ、実によくできた歌だと思う。

    DVDレンタル店に置いてあるかどうか分からないが、邦題は「チーム・アメリカ ワールドポリス」である。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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