「平壌のガソリン不足は中国の供給減少によるのではと噂」:AP平壌特派員リポート、パイプラインをGoogle Earth (207年4月27日 「TIME」)
4月27日、TIMEに興味深い記事が掲載されていた。APの記者が平壌発で書いているので、脱北者情報などによる信憑性の低い記事ではないと思う。APは、副社長が今年の「光明星節」前に平壌を訪問するなど、北朝鮮との関係が比較的良い西側メディアである。
TIME, Gas Shortages in North Korean Capital Spark Rumors China is Choking the Supply, http://time.com/4757190/north-korea-gas-shortages-china/
記事によると、「平壌のガソリンスタンドで、給油量制限が制限され」、「価格も1キログラム(北朝鮮では、ガソリンを重量で販売しているそうである、ガソリン1リットル=約730グラム、同軽油=約830グラム)当たり70-80セントから1.4ドルに水曜日(4月26日)に値上げされた」という。
給油量制限や突然の値上がりの理由は公式には説明されていないが、➀中国からの石油供給減少、②石油を軍事部門に優先的に配給(そもそもそうしているであろうが、特に不足状況の中で)、③中国からの石油供給カットなど、有事に備えた備蓄、④今回の急な値上げとは直接的には関係ないとは思うが、平壌の自動車数が増加したことによる需要超過などが考えられる。
過去記事でも紹介したように、中国メディアは「6回目の核実験をすれば、石油供給を減らす」と言っているが、実は実施する前に、「やったらもっと苦しくなるよ」という警告の意味で石油の供給量を減らした可能性がある。だとすると、昨日記事にした「金チョル論評」は、「実施してもいないのに酷いではないか。トランプ言われるがままに締め付けをしてくるのか」という怒りの表出だったのかも知れない。そして、中国は「6回目の実験をしていないことが重要」と、さらっと流しているとも考えられる。
朝鮮人民の生活を見ていると、それほど石油に依存していないと思う。首都の交通機関であるトロリーバスは石炭火力の電気で動いているし、鉄道も電車である。もちろん、軽油で走るバスが運行されているし、物流には軽油で走るトラックも使われている。特に農村では、トラクターに使う軽油は食料生産に直結する重要な燃料である。しかし、平壌のような大都市では、タクシーの急増からも分かるように、ガソリンで走る車の数が増え、中国からの石油供給が少しでもカットされると、それが直接人民生活に目に見える形で影響をお呼びしているのかも知れない。それが『労働新聞』の記事であり、「朝鮮中央TV」での記事紹介に繋がっているのかも知れない。
「経済大国」を実現するためには石油依存型の社会は避けられず、「自力自強」とどれだけ叫んでも、ないものはないということになってしまう。鉄腕アトムではないが、爆弾の代わりに原子力自動車を開発するとか、より現実的には、「科学技術大国」を「世界に轟かせながら」、ソーラー・カーやソーラー・トラクターを開発することで、「自力自強」していくしかない。
中国からの石油供給は、丹東からパイプラインで行われている。過去、丹東に行ったとき、パイプラインの中国側出口を通過したことがある。案内してくれた中国人に写真は撮らない方が良いと言われたので、そのまま通り過ぎた。その場所と、中国側の石油基地、北朝鮮側の製油所をGoogle Earthで見ると下のような位置関係になっている。

Source: Google Earth
出口と受け口を拡大するとこんな感じである。水中のパイプラインがうっすらと見えており、北朝鮮側の受け口の周りには高いフェンスがあることが分かる。

Source: Google Earth
そして経路は不明ながら、パイプラインが新義州市の東にある製油所まで繋がっており、製油所からは鉄道で平壌などに輸送されていると思われる。

Source: Google Earth
ちなみにこの製油所、「元帥様」の新義州別荘からさほど離れていないところにある。

Source: Google Earth
TIME, Gas Shortages in North Korean Capital Spark Rumors China is Choking the Supply, http://time.com/4757190/north-korea-gas-shortages-china/
記事によると、「平壌のガソリンスタンドで、給油量制限が制限され」、「価格も1キログラム(北朝鮮では、ガソリンを重量で販売しているそうである、ガソリン1リットル=約730グラム、同軽油=約830グラム)当たり70-80セントから1.4ドルに水曜日(4月26日)に値上げされた」という。
給油量制限や突然の値上がりの理由は公式には説明されていないが、➀中国からの石油供給減少、②石油を軍事部門に優先的に配給(そもそもそうしているであろうが、特に不足状況の中で)、③中国からの石油供給カットなど、有事に備えた備蓄、④今回の急な値上げとは直接的には関係ないとは思うが、平壌の自動車数が増加したことによる需要超過などが考えられる。
過去記事でも紹介したように、中国メディアは「6回目の核実験をすれば、石油供給を減らす」と言っているが、実は実施する前に、「やったらもっと苦しくなるよ」という警告の意味で石油の供給量を減らした可能性がある。だとすると、昨日記事にした「金チョル論評」は、「実施してもいないのに酷いではないか。トランプ言われるがままに締め付けをしてくるのか」という怒りの表出だったのかも知れない。そして、中国は「6回目の実験をしていないことが重要」と、さらっと流しているとも考えられる。
朝鮮人民の生活を見ていると、それほど石油に依存していないと思う。首都の交通機関であるトロリーバスは石炭火力の電気で動いているし、鉄道も電車である。もちろん、軽油で走るバスが運行されているし、物流には軽油で走るトラックも使われている。特に農村では、トラクターに使う軽油は食料生産に直結する重要な燃料である。しかし、平壌のような大都市では、タクシーの急増からも分かるように、ガソリンで走る車の数が増え、中国からの石油供給が少しでもカットされると、それが直接人民生活に目に見える形で影響をお呼びしているのかも知れない。それが『労働新聞』の記事であり、「朝鮮中央TV」での記事紹介に繋がっているのかも知れない。
「経済大国」を実現するためには石油依存型の社会は避けられず、「自力自強」とどれだけ叫んでも、ないものはないということになってしまう。鉄腕アトムではないが、爆弾の代わりに原子力自動車を開発するとか、より現実的には、「科学技術大国」を「世界に轟かせながら」、ソーラー・カーやソーラー・トラクターを開発することで、「自力自強」していくしかない。
中国からの石油供給は、丹東からパイプラインで行われている。過去、丹東に行ったとき、パイプラインの中国側出口を通過したことがある。案内してくれた中国人に写真は撮らない方が良いと言われたので、そのまま通り過ぎた。その場所と、中国側の石油基地、北朝鮮側の製油所をGoogle Earthで見ると下のような位置関係になっている。

Source: Google Earth
出口と受け口を拡大するとこんな感じである。水中のパイプラインがうっすらと見えており、北朝鮮側の受け口の周りには高いフェンスがあることが分かる。

Source: Google Earth
そして経路は不明ながら、パイプラインが新義州市の東にある製油所まで繋がっており、製油所からは鉄道で平壌などに輸送されていると思われる。

Source: Google Earth
ちなみにこの製油所、「元帥様」の新義州別荘からさほど離れていないところにある。

Source: Google Earth