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    「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話:6月22日の米韓合同演習に反発」(2012年6月24日 「朝鮮中央通信」)」

    6月22日に行われた米韓合同訓練に対しての非難記事を「朝鮮中央通信」が「外務省スポークスマン談話」として伝えた。

    報道官談話は、米韓合同訓練が「共和国の自主権と尊厳を蹂躙する厳重な挑発行為」だとし、「史上最大規模の合同実弾射撃演習を展開し、敢えて我が共和国国旗を標的とする無分別な盲動を行った」と非難している。

    そして、「米国がことある毎に誰それの『挑発』について云々するが、今回、我が共和国旗狙った実弾射撃を通じて誰が本当の挑発者であるのかが明確にな」り、それこそが「我が国に対する敵対視政策の最も集中的なあらわれ」であり、「2.29朝米合意で我が共和国を敵対視しないと公約したことが、完全な嘘であった」としている。

    続いて、米国の敵対視政策が朝鮮戦争が勃発した「62年前も今日も少しも変化していない」が、「軍事技術的優勢はもう米国の独占物ではなく、原子力爆弾により我々を威嚇・恐喝した時代は永遠に過ぎ去った」とし、金正日さんが「強力な核抑止力を作って下さったので、我が人民は心置きなく経済強国建設を力強く進めている」と金正日さんの先軍政治による軍事力、特に核開発を称賛しながら、その土台の上で北朝鮮が経済建設に集中しているということを強調している。

    一方で、「世界最大の核保有国である米国の敵対視政策が続く限り、我々は自衛的な核抑止力をさらに強化して行くであろう」と米国を威嚇することも忘れてはいない。当面、これは米国に到達する長距離ミサイルとウラン型核爆弾の開発を意味しているのであろう。そして、米国に対し敵対視政策は、「米国が維持しようともがいている核兵器独占体系に自らの手で穴を開ける結果をもたらす」とも警告している。

    6月22日に行われた米韓合同演習は、明らかに62年前の6月25日、すなわち朝鮮戦争開戦日を意識したものであろう。米韓としては、北朝鮮に対して再び38度線を越えてくれば、完全に粉砕する準備ができているというメッセージを伝えたかったのであろう。そうであったとしても、これが北朝鮮側に「挑発」ととらえられても仕方がない。北朝鮮が行う軍事訓練については殆ど伝えられてこないが、報道されるものだけ見ていても、米韓の訓練はほぼ毎月、休むことなく続けられている。

    北朝鮮は、そのたび毎に「言葉による」威嚇を繰り返すが、実際には何もしない。何もできないといった方が良いのかもしれないが、いずれにせよ自制はかなり効いている。また、今回の非難報道は、このところ行われていた非難報道と比較して、米韓、特に李明博政権に対する非難が見られなくなっている。また、「核開発は続ける」としつつも、「核保有国」となりもう軍事的な準備は十分に整ったので、今は「経済強国建設」に邁進するともいっている。北朝鮮が、本当に「核保有国」を前提に資源を経済建設に傾注していくのかどうかは見極める必要があるが、金正日さんが作った軍事的土台(核・ミサイル、先軍政治)を否定することなく、経済建設にシフトするロジックとしては有効ではないだろうか。

    国際社会は、まずその「軍事的土台」を取り除くことを北朝鮮に求めているが、北朝鮮はそれを「中断」することはしても、白紙に戻すことはそう簡単にしないであろう。2.29合意は、まさに「中断」を約束した合意であったわけだが、北朝鮮の核・ミサイル問題を解決するための入り口としては、実に正しい方法であったといえる。米韓双方の主張を見ていると、いずれもこの合意を水に流したくはないようであるので、米大統領選挙後であろうが、この合意を糸口に米朝交渉が再開される可能性は十分にある。

    62年前のこの日を思いつつ、この記事を書いている。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
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