「北朝鮮核問題を解決する希な機会」:「希な機会」に遭遇していると中国 (2017年4月28日 「中国外交部」)
28日の「中国外交部定例記者会見」で、中国報道官は、北朝鮮の核問題を巡る現状について、
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もし、(国連安保理)会合が北朝鮮に対する制裁と圧力強化だけに焦点を当てるのであれば、(北朝鮮核問題解決のための)希な機会を失うだけではなく、関係国間の紛争をエスカレートさせ、平和と対話に向けた現在の努力を阻害することになる。
If the meeting only focuses on scaling up sanctions and pressure on the DPRK, it may not only miss a rare opportunity but also escalate confrontation among various parties and undermine current efforts to promote peace and dialogue.
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Ministry of Foreign Affairs of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Geng Shuang's Regular Press Conference on April 28, 2017, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/t1457731.shtml
と発言している。過去記事にも書いた通り、今回、北朝鮮が6回目の核実験を現時点に至るまで踏みとどまっているのは、米国の軍事的威嚇と中国の核施設ピンポイント攻撃容認姿勢や石油輸出削減方針などの相乗効果によるものである。
こうした状況の中で中国外交部の報道官が「希な機会」という表現を使っているのは、中国が、北朝鮮を説得する端緒をしっかりと掴んでいることを示しているのではないだろうか。一方で、これ以上、制裁と圧迫だけを強化すれば、せっかく掴んだ端緒を逃すことになり、状況は武力衝突へと一歩近づくという認識を示しているのだと思う。
米国は、「中国の役割」に期待をしていると繰り返し言っているが、米国が期待している「役割」は、北朝鮮に対するさらなる圧力だけであり、次のステップに進む「役割」については、大きな期待はしていないようにも思える。しかし、米国もさすがに圧力だけで問題が解決できるとは思っていないはずで、北朝鮮を自制させた上での次のステップの道筋作りも中国に委ねているのであろう。しかしながら、今米国が演じている役柄は、鞭を振り上げる猛獣使いなので、「対話」は表に出せない事情がある。中国は、これ以上、「猛獣使いの言うことを聞かないと大変なことになるし、僕も餌をあげないよ」と言いつつ、猛獣をなだめすかしており、猛獣とて「狂った猛獣」ではないので、情勢を慎重に見極めながら、より美味しい餌を与えてもらうことを考えているはずである。
日本外相は「暴走を続ける北朝鮮に対して、制裁強化を含む抑止力の重要性を強く訴えた」そうであるが、米国の道化としては、その程度の役割しかできないのであろう。軍事衝突に至った場合、大きな被害を受ける可能性が高い当事国としては、もっと他に言うことがあると思うのだが。
『フジテレビ系(FNN)』、「岸田外相「北」制裁強化訴え 安保理会合」、https://news.yahoo.co.jp/pickup/6238104
米国は、「北朝鮮との断交を各国に求める」という報道もあるが、そもそも国交がない日本は、他国に先んじて「断交」をすることができず、さぞかし無念であろう。しかし、どのように「求める」のかにもよるが、一国の外交権にまで介入するのはとんでもない横暴だと思う。それならば、真っ先にスウェーデンに北朝鮮との断交を要求するとよい。そうすれば、北朝鮮における米国の利益保護国たるスウェーデンを米国は失うことになり、北朝鮮内で拘束された米国人と面会してくれる外交ミッションはいなくなる。これも、米国のご都合主義で「スウェーデンは例外」とするつもりなのだろうか。
『中央日報日本語版』、「米国、国連加盟国に「北朝鮮との断交」要請を検討」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170428-00000029-cnippou-kr
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もし、(国連安保理)会合が北朝鮮に対する制裁と圧力強化だけに焦点を当てるのであれば、(北朝鮮核問題解決のための)希な機会を失うだけではなく、関係国間の紛争をエスカレートさせ、平和と対話に向けた現在の努力を阻害することになる。
If the meeting only focuses on scaling up sanctions and pressure on the DPRK, it may not only miss a rare opportunity but also escalate confrontation among various parties and undermine current efforts to promote peace and dialogue.
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Ministry of Foreign Affairs of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Geng Shuang's Regular Press Conference on April 28, 2017, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/t1457731.shtml
と発言している。過去記事にも書いた通り、今回、北朝鮮が6回目の核実験を現時点に至るまで踏みとどまっているのは、米国の軍事的威嚇と中国の核施設ピンポイント攻撃容認姿勢や石油輸出削減方針などの相乗効果によるものである。
こうした状況の中で中国外交部の報道官が「希な機会」という表現を使っているのは、中国が、北朝鮮を説得する端緒をしっかりと掴んでいることを示しているのではないだろうか。一方で、これ以上、制裁と圧迫だけを強化すれば、せっかく掴んだ端緒を逃すことになり、状況は武力衝突へと一歩近づくという認識を示しているのだと思う。
米国は、「中国の役割」に期待をしていると繰り返し言っているが、米国が期待している「役割」は、北朝鮮に対するさらなる圧力だけであり、次のステップに進む「役割」については、大きな期待はしていないようにも思える。しかし、米国もさすがに圧力だけで問題が解決できるとは思っていないはずで、北朝鮮を自制させた上での次のステップの道筋作りも中国に委ねているのであろう。しかしながら、今米国が演じている役柄は、鞭を振り上げる猛獣使いなので、「対話」は表に出せない事情がある。中国は、これ以上、「猛獣使いの言うことを聞かないと大変なことになるし、僕も餌をあげないよ」と言いつつ、猛獣をなだめすかしており、猛獣とて「狂った猛獣」ではないので、情勢を慎重に見極めながら、より美味しい餌を与えてもらうことを考えているはずである。
日本外相は「暴走を続ける北朝鮮に対して、制裁強化を含む抑止力の重要性を強く訴えた」そうであるが、米国の道化としては、その程度の役割しかできないのであろう。軍事衝突に至った場合、大きな被害を受ける可能性が高い当事国としては、もっと他に言うことがあると思うのだが。
『フジテレビ系(FNN)』、「岸田外相「北」制裁強化訴え 安保理会合」、https://news.yahoo.co.jp/pickup/6238104
米国は、「北朝鮮との断交を各国に求める」という報道もあるが、そもそも国交がない日本は、他国に先んじて「断交」をすることができず、さぞかし無念であろう。しかし、どのように「求める」のかにもよるが、一国の外交権にまで介入するのはとんでもない横暴だと思う。それならば、真っ先にスウェーデンに北朝鮮との断交を要求するとよい。そうすれば、北朝鮮における米国の利益保護国たるスウェーデンを米国は失うことになり、北朝鮮内で拘束された米国人と面会してくれる外交ミッションはいなくなる。これも、米国のご都合主義で「スウェーデンは例外」とするつもりなのだろうか。
『中央日報日本語版』、「米国、国連加盟国に「北朝鮮との断交」要請を検討」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170428-00000029-cnippou-kr