「他人の拍子で踊るのがそれほど良いのか」:中国か?、<追記>『環球時報』、『Global Times』の記事で、中国確定、<追記4>中国を見下す表現 (2017年4月21日 「朝鮮中央通信」)
22日、「朝鮮中央通信」に中国を名指しにこそしていないが、相当に辛辣に批判する記事が掲載されていた。以下、全訳。
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他人の拍子で踊るのがそれほど良いのか
남의 장단에 춤을 추기가 그리도 좋은가
(平壌4月21に日発、朝鮮中央通信)
(평양 4월 21일발 조선중앙통신)
21日、発表された論評「他人の拍子で踊るのがそれほど良いのか」の全文は次のとおりである。
21일 발표된 정필의 론평 《남의 장단에 춤을 추기가 그리도 좋은가》의 전문은 다음과 같다.
最近、我々の周辺国で米国が朝鮮半島水域に前例ないほど膨大な戦略兵力を持ち込みながら、情勢を戦争直前へと推し進めていることについて一言も言えず、それに対処した我々の自衛的措置に関連しては「必要な措置」だの、「転換的水準の反応」だのと言いながら、我々を何とかしようと公開的に威嚇する言葉が飛び交っている。
최근 우리 주변국에서 미국이 조선반도수역에 전례없이 방대한 전략자산들을 끌어들이면서 정세를 전쟁접경에로 몰아가는데 대해서는 말 한마디 못하고 그에 대처한 우리의 자위적조치들과 관련하여서는 《필요한 조치》요,《전환적수준의 반응》이요 뭐요 하면서 우리를 어째보겠다고 공개적으로 위협하는 말들이 튀여나오고있다.
特に、今後、我々が誰それの「経済制裁」に耐えることができないと言いながら、私ども(訳注:謙譲語、「わたくしども」)との関係がどれほど重要なのかを再度考慮しなければならないだの、我々に安全を保障する経済復興に必要ない支持と協力を提供するだのと言い、減らず口をたたいている。
특히 앞으로 우리가 그 누구의 《경제제재》에 견디지 못할것이라고 하면서 저희들과의 관계가 얼마나 중요한가를 재고려해보아야 한다느니,우리에게 안전을 보장하고 경제부흥에 필요한 지지와 방조를 제공할수 있다느니 하고 너스레를 떨고있다.
4月18日には、公式メディアを通して、我々が核・ミサイル計画を推進したことにより、過去、敵であった米国を自分たちの協力者にしたと言っているが、そうであるならば我々は今後、彼らをいったいどう呼ぶべきで、どのように対応しなければならないだろうか。
4월 18일에는 공식언론을 통하여 우리가 핵,미싸일계획을 추진한것으로 하여 지난 시기 적수였던 미국을 저들의 협조자로 만들었다고 하는데 그렇다면 우리는 앞으로 그들을 과연 무엇이라고 불러야 하며 어떻게 대하여야 하겠는가.
我々の自衛的核抑止力は、国と民族の自主権と生存権を守るため、我々軍隊と人民が腹を減らしながら作ったものであり、絶対に何かと交換するためのものではない。
우리의 자위적핵억제력은 나라와 민족의 자주권과 생존권을 지키기 위하여 우리 군대와 인민이 허리띠를 조이며 마련한것으로서 결코 그 무엇과 바꾸어먹기 위한 흥정물이 아니다.
我々は、今まで経済制裁の中で生きてきたが、ひたすら自分の力で、我々が選択した正義の道を力強く前進してきた。
우리는 지금까지 경제제재속에서 살아왔지만 오직 자기 힘으로,우리가 선택한 정의의 길로 힘차게 전진해왔다.
弱肉強食が闊歩する今日の現実は、我々が信じられるのは、ただ自分の力だけであり、自力自強による道だけが生きる道であるという哲理を再び骨に刻ませている。
약육강식이 판을 치는 오늘의 현실은 우리가 믿을것은 오직 자기 힘뿐이며 자력자강에 의거하는 길만이 살길이라는 철리를 다시금 뼈속에 새겨주고있다.
万が一、彼らが我々の意思を誤って判断し、誰それの拍子に合わせて踊り続けながら、我々に対する経済制裁にしがみつくのであれば、我々の敵共からは拍手喝采されるかも知れないが、我々との関係に与える破局的結果も覚悟しなければならない。
만일 그들이 우리의 의지를 오판하고 그 누구의 장단에 춤을 계속 추면서 우리에 대한 경제제재에 매여달린다면 우리의 적들로부터는 박수갈채를 받을지 모르겠지만 우리와의 관계에 미칠 파국적후과도 각오해야 할것이다.
我々は、敬愛する最高領導者同志の周りに固く団結し、我々の力で国の尊厳を守り、人民の楽園を建設する。
우리는 경애하는 최고령도자동지의 두리에 굳게 뭉쳐 우리의 힘으로 나라의 존엄을 지키고 인민의 락원을 일떠세울것이다.(끝)
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「わたくしども」という表現を敢えて使っていることからして、相手を見下していることが分かるが、中国だろうか。「18日の公式メディア」がポイントとなるので、『人民日報』などを調べてみる。
<追記>
『人民日報(日本語版)』を見る限り、18日には「外交部、朝鮮半島問題の平和的解決への米国の積極的役割を歓迎」しかない。このやりとりについては、中国外交部定例記者会見で読んでいたが、北朝鮮が怒るほどのことはいっていない。ロシアのTASSも調べてみたが、それらしい記事はない。継続調査。
<追記2>
拙ブログに貴重な情報を提供して下さる、中国語を解される方より情報を頂いた。コメント欄にも出ているが、頂いたコメントをそのままこちらに掲載しておく。まさに、上の北朝鮮の反応は、この『環球時報』の「社説」を受けてのものだと思う。
**********
ネット上に18日0時54分(中国時間)のタイムスタンプで公開されている「環球時報」の社説にかなり近い表現があります。
http://opinion.huanqiu.com/editorial/2017-04/10491881.html
「社评:中美半岛合作界限在哪,重点为何?(=社説 中米の半島での協力 限界どこに 重点は?)」
最後の方ですが、当該パラグラフのみ訳してみます。その上段では、「米国が軽度の軍事行動だけを起こせば、米国は報復としてソウル市が被害を受ける可能性を考慮せざるを得ないだろうが、朝鮮の政権が崩壊するほどの軍事行動を起こすならば、人民解放軍は軍事的対応をせざるを得ない」といったことが書かれています。
なるほど、朝鮮半島の問題は全くそれだけもつれているのだ。それでも、朝鮮の核保持に反対することは中米両国の共同の利益であり、かつ、今この瞬間には、その共同の利益は非常に目立つようになってきている。平壌が独断専行する核ミサイル計画によって、中米という朝鮮半島における往年の相手役が協力者に変わったのであり、朝鮮が盲進を継続するのにつれて、中米はどちらも、より多くの制裁手段を行使するのを免れ得なくなるであろう。
不错,朝鲜半岛的问题就是这么纠结。但是反对朝鲜拥核是中美两国的共同利益,而且在此时此刻,这一共同利益变得很突出。是平壤一意孤行的核导计划将中美这两个当年朝鲜半岛上的对手变成了合作者,随着它的继续冒进,中美都使出越来越多的制裁手段将无可避免。
「環球時報」は人民日報系ということなので、一応「公式メディア」には該当するはずです。
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<追記3>
上記のコメントで全てが語られていると思うが、『環球時報』の英語版、Global Timesで英訳された「社説」があるか調べてみたところ該当するものがあった。
Global Times, Boundary line drawn over N Korea nuke issue, http://www.globaltimes.cn/content/1042957.shtml
がそれであるが、
*************
平壌が国際的な意見をあからさまに無視しながら核開発を続けていることが、朝鮮戦争当時の敵国であった中国と米国を協力者の関係にした。平壌が独自の道を進むことに固執するのであれば、中国と米国は制裁強化をせざるを得ない。
Pyongyang's persistent pursuit of its nuclear program with blatant disregard to world opinions, has turned China and the US, once former enemies during the Korean War, into cooperating partners. If Pyongyang continues to insist on having its own way, then China and the US would inevitably increase sanctions.
*************
というパラグラフがある(上記は、その一部)。
教えて頂いた中文よりも、さらにダイレクトに北朝鮮の言っていることを反映する部分が上の英文である(翻訳であろうが、英語に訳す過程で、直接的な表現に変えられたのだろうか)。特に、「blatant」という語彙を使っているのは、何年だったか失念したが、北朝鮮が中国の警告を無視して核実験を行ったときに、中国政府が北朝鮮の核実験を非難する声明の中で使った中国語の語彙に通じるものがある。その時、問題にされた中国語の語彙は覚えていないが、「blatant」、「ずうずうしくも」、「あくどくも」といった表現は中文「社説」に入っているのだろうか。
<追記4>
「わたくしども」というのも、中国語の「我们」を敢えて謙譲表現にしているのだと思う。私の限られた中国語の知識では、基本的に中国語に謙譲表現はなく、「我们」は、通常の北朝鮮の翻訳であれば「我々(우리)」と訳すところであろう。それにもかかわらず、「わたくしども(저희)」としているのは、明らかに中国を見下した態度である。なかなか奥が深い。
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他人の拍子で踊るのがそれほど良いのか
남의 장단에 춤을 추기가 그리도 좋은가
(平壌4月21に日発、朝鮮中央通信)
(평양 4월 21일발 조선중앙통신)
21日、発表された論評「他人の拍子で踊るのがそれほど良いのか」の全文は次のとおりである。
21일 발표된 정필의 론평 《남의 장단에 춤을 추기가 그리도 좋은가》의 전문은 다음과 같다.
最近、我々の周辺国で米国が朝鮮半島水域に前例ないほど膨大な戦略兵力を持ち込みながら、情勢を戦争直前へと推し進めていることについて一言も言えず、それに対処した我々の自衛的措置に関連しては「必要な措置」だの、「転換的水準の反応」だのと言いながら、我々を何とかしようと公開的に威嚇する言葉が飛び交っている。
최근 우리 주변국에서 미국이 조선반도수역에 전례없이 방대한 전략자산들을 끌어들이면서 정세를 전쟁접경에로 몰아가는데 대해서는 말 한마디 못하고 그에 대처한 우리의 자위적조치들과 관련하여서는 《필요한 조치》요,《전환적수준의 반응》이요 뭐요 하면서 우리를 어째보겠다고 공개적으로 위협하는 말들이 튀여나오고있다.
特に、今後、我々が誰それの「経済制裁」に耐えることができないと言いながら、私ども(訳注:謙譲語、「わたくしども」)との関係がどれほど重要なのかを再度考慮しなければならないだの、我々に安全を保障する経済復興に必要ない支持と協力を提供するだのと言い、減らず口をたたいている。
특히 앞으로 우리가 그 누구의 《경제제재》에 견디지 못할것이라고 하면서 저희들과의 관계가 얼마나 중요한가를 재고려해보아야 한다느니,우리에게 안전을 보장하고 경제부흥에 필요한 지지와 방조를 제공할수 있다느니 하고 너스레를 떨고있다.
4月18日には、公式メディアを通して、我々が核・ミサイル計画を推進したことにより、過去、敵であった米国を自分たちの協力者にしたと言っているが、そうであるならば我々は今後、彼らをいったいどう呼ぶべきで、どのように対応しなければならないだろうか。
4월 18일에는 공식언론을 통하여 우리가 핵,미싸일계획을 추진한것으로 하여 지난 시기 적수였던 미국을 저들의 협조자로 만들었다고 하는데 그렇다면 우리는 앞으로 그들을 과연 무엇이라고 불러야 하며 어떻게 대하여야 하겠는가.
我々の自衛的核抑止力は、国と民族の自主権と生存権を守るため、我々軍隊と人民が腹を減らしながら作ったものであり、絶対に何かと交換するためのものではない。
우리의 자위적핵억제력은 나라와 민족의 자주권과 생존권을 지키기 위하여 우리 군대와 인민이 허리띠를 조이며 마련한것으로서 결코 그 무엇과 바꾸어먹기 위한 흥정물이 아니다.
我々は、今まで経済制裁の中で生きてきたが、ひたすら自分の力で、我々が選択した正義の道を力強く前進してきた。
우리는 지금까지 경제제재속에서 살아왔지만 오직 자기 힘으로,우리가 선택한 정의의 길로 힘차게 전진해왔다.
弱肉強食が闊歩する今日の現実は、我々が信じられるのは、ただ自分の力だけであり、自力自強による道だけが生きる道であるという哲理を再び骨に刻ませている。
약육강식이 판을 치는 오늘의 현실은 우리가 믿을것은 오직 자기 힘뿐이며 자력자강에 의거하는 길만이 살길이라는 철리를 다시금 뼈속에 새겨주고있다.
万が一、彼らが我々の意思を誤って判断し、誰それの拍子に合わせて踊り続けながら、我々に対する経済制裁にしがみつくのであれば、我々の敵共からは拍手喝采されるかも知れないが、我々との関係に与える破局的結果も覚悟しなければならない。
만일 그들이 우리의 의지를 오판하고 그 누구의 장단에 춤을 계속 추면서 우리에 대한 경제제재에 매여달린다면 우리의 적들로부터는 박수갈채를 받을지 모르겠지만 우리와의 관계에 미칠 파국적후과도 각오해야 할것이다.
我々は、敬愛する最高領導者同志の周りに固く団結し、我々の力で国の尊厳を守り、人民の楽園を建設する。
우리는 경애하는 최고령도자동지의 두리에 굳게 뭉쳐 우리의 힘으로 나라의 존엄을 지키고 인민의 락원을 일떠세울것이다.(끝)
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「わたくしども」という表現を敢えて使っていることからして、相手を見下していることが分かるが、中国だろうか。「18日の公式メディア」がポイントとなるので、『人民日報』などを調べてみる。
<追記>
『人民日報(日本語版)』を見る限り、18日には「外交部、朝鮮半島問題の平和的解決への米国の積極的役割を歓迎」しかない。このやりとりについては、中国外交部定例記者会見で読んでいたが、北朝鮮が怒るほどのことはいっていない。ロシアのTASSも調べてみたが、それらしい記事はない。継続調査。
<追記2>
拙ブログに貴重な情報を提供して下さる、中国語を解される方より情報を頂いた。コメント欄にも出ているが、頂いたコメントをそのままこちらに掲載しておく。まさに、上の北朝鮮の反応は、この『環球時報』の「社説」を受けてのものだと思う。
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ネット上に18日0時54分(中国時間)のタイムスタンプで公開されている「環球時報」の社説にかなり近い表現があります。
http://opinion.huanqiu.com/editorial/2017-04/10491881.html
「社评:中美半岛合作界限在哪,重点为何?(=社説 中米の半島での協力 限界どこに 重点は?)」
最後の方ですが、当該パラグラフのみ訳してみます。その上段では、「米国が軽度の軍事行動だけを起こせば、米国は報復としてソウル市が被害を受ける可能性を考慮せざるを得ないだろうが、朝鮮の政権が崩壊するほどの軍事行動を起こすならば、人民解放軍は軍事的対応をせざるを得ない」といったことが書かれています。
なるほど、朝鮮半島の問題は全くそれだけもつれているのだ。それでも、朝鮮の核保持に反対することは中米両国の共同の利益であり、かつ、今この瞬間には、その共同の利益は非常に目立つようになってきている。平壌が独断専行する核ミサイル計画によって、中米という朝鮮半島における往年の相手役が協力者に変わったのであり、朝鮮が盲進を継続するのにつれて、中米はどちらも、より多くの制裁手段を行使するのを免れ得なくなるであろう。
不错,朝鲜半岛的问题就是这么纠结。但是反对朝鲜拥核是中美两国的共同利益,而且在此时此刻,这一共同利益变得很突出。是平壤一意孤行的核导计划将中美这两个当年朝鲜半岛上的对手变成了合作者,随着它的继续冒进,中美都使出越来越多的制裁手段将无可避免。
「環球時報」は人民日報系ということなので、一応「公式メディア」には該当するはずです。
***************
<追記3>
上記のコメントで全てが語られていると思うが、『環球時報』の英語版、Global Timesで英訳された「社説」があるか調べてみたところ該当するものがあった。
Global Times, Boundary line drawn over N Korea nuke issue, http://www.globaltimes.cn/content/1042957.shtml
がそれであるが、
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平壌が国際的な意見をあからさまに無視しながら核開発を続けていることが、朝鮮戦争当時の敵国であった中国と米国を協力者の関係にした。平壌が独自の道を進むことに固執するのであれば、中国と米国は制裁強化をせざるを得ない。
Pyongyang's persistent pursuit of its nuclear program with blatant disregard to world opinions, has turned China and the US, once former enemies during the Korean War, into cooperating partners. If Pyongyang continues to insist on having its own way, then China and the US would inevitably increase sanctions.
*************
というパラグラフがある(上記は、その一部)。
教えて頂いた中文よりも、さらにダイレクトに北朝鮮の言っていることを反映する部分が上の英文である(翻訳であろうが、英語に訳す過程で、直接的な表現に変えられたのだろうか)。特に、「blatant」という語彙を使っているのは、何年だったか失念したが、北朝鮮が中国の警告を無視して核実験を行ったときに、中国政府が北朝鮮の核実験を非難する声明の中で使った中国語の語彙に通じるものがある。その時、問題にされた中国語の語彙は覚えていないが、「blatant」、「ずうずうしくも」、「あくどくも」といった表現は中文「社説」に入っているのだろうか。
<追記4>
「わたくしども」というのも、中国語の「我们」を敢えて謙譲表現にしているのだと思う。私の限られた中国語の知識では、基本的に中国語に謙譲表現はなく、「我们」は、通常の北朝鮮の翻訳であれば「我々(우리)」と訳すところであろう。それにもかかわらず、「わたくしども(저희)」としているのは、明らかに中国を見下した態度である。なかなか奥が深い。